2008年09月25日

落日の名門 〜第26節H磐田戦

落日の名門。

観戦記をしたためた東京系のブログを見て回ると、このようなスタンスで書かれているものが多いことに驚いた。
ジュビロを5−1で降すということは、東京ファンにとって間違いなくエポックメイキングな出来事であるが、大勝に浮かれるより、一抹の寂しさを覚えてしまうなんて。

それぐらいインパクトのあることなんだろう。

栄枯盛衰は世の習い。
かつて栄華を誇っていた磐田も、今や降格争いの真っ只中にいる。
しかし磐田にこれほどまでの大差で圧勝する時が来るとは、想像もつかなかった時代もあった。

東京ファンにとって強い磐田と言えば、02年のアウェイゲームで1−6と公開処刑にあった試合が印象深いと思うが、個人的にはその前の年、ホーム国立での試合のほうが、深く記憶に残っている。

昇格2年目の東京は、基本リアクションサッカー。
献身的な守備でボールを奪取すると、素早く前方へフィード。FWがサイドの選手に叩いて、サイドをえぐって上げたクロスにFWがゴール前で勝負、という堅守速攻のスタイルであった。
この戦術は、当時ほとんどが真っ向勝負を仕掛けてくる格上相手との対戦であったということで大いに奏功し、勝ち点差4の3位という好位置で首位磐田との直接対決となったのがその試合だ。
対する磐田は1stステージで優勝。
その後迎える黄金期のパスサッカーの完成形に近づきつつある時期だったが、その日の試合に限っては、その中盤を支えるタレント、名波と奥を欠き、前線にはアルゼンチンへ旅立った高原が不在、という言わば飛車角落ちの布陣だった。
相性のいい雨の国立ということもあって、勝機は十分と踏んでいたのだが、結果は2−5の完敗。
圧倒的な実力差は感じられなかったものの、その試合巧者ぶりはまさにチャンピオンチームの持つそれであった。

終始高いポゼッションで試合を支配する磐田に対し、東京もハイプレスからのカウンターで応酬するという展開で、得点経過も先制から逆転、そして同点に追いつくというシーソーゲーム、後半35分までは互角に渡り合っているように思えた。
しかし後半から前田遼一に代わって登場した清水範久にあっという間に連続得点を奪われて突き放されると、最後はゴン中山に止めを刺されて万事休した。
わずか10分の出来事ではあったが、そこで見せつけられたのは、勝利を手繰り寄せる勝負勘の違いであり、試合の流れを見極め、一気呵成に畳み掛ける、という高度な意思統一がチーム全体に浸透している、という点である。
それも代表クラスを揃えるレギュラーはもとより、途中出場するサブまでもが、高いレベルでチーム戦術を体現できる層の厚さというのがこのチームの凄みだな、と実感させられた試合だった。
果たしてこのジュビロ磐田というチームを倒す時が来るのだろうか、と暗澹たる気持ちで、雨に濡れた落ち葉を踏みしめながら外苑前の並木道を歩いて帰ったものだ。

あれから8年。
昨日の磐田にあの頃の面影は微塵もない。
戦っている選手の顔ぶれはほとんど入れ替わっているとは言え、チームのDNAは容易く絶えうるものなのか。
確かに常勝軍団というイメージから遠ざかって久しいが、それでもコンプレックスを抱える我が東京は、昨年もチンチンにされたのが記憶に新しい。
それがわずか一年で形勢は逆転してしまった。
主力を欠いても、出場機会を得た代役や途中に出番が回ってきた選手が、与えられたタスクを全うする姿や、2点先取した直後に1点返され相手に傾きかけた流れを引き戻す力強さ。
まるであの頃と立場が逆転してしまったような錯覚に陥る。
もちろんあの頃の磐田と並び称するのは時期尚早だろう。
しかし確実にその階段を上りつつある実感は感じられるのではないか。

センチメンタルな感傷に浸りつつ、チームの成長が少し誇らしい。
そんな複雑な胸中の秋の夜長なのである。

まあ、実際問題他所の降格の心配するほど余裕があるのかって言えば、違うんだけどね。(笑)







ikuty1104 at 01:48│Comments(3)TrackBack(0) FC東京 

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この記事へのコメント

1. Posted by やまじ   2008年09月26日 02:47
またまたいい日記に心が熱くなりました。

観戦したのですが、大勝した余裕からか、帰る頃には、とにかくジュビロサポの姿から目が離せませんでした。
私の場合は、80歳近い母親がなぜかジュビロサポということもあり、余計に気になったのかもしれませんが、お立ち台の鈴木に沸返っている東京サポの向こう側で、ジュビロのサポは帰ろうともせず、静かに残り、そして皆でコールしていました。

人の事心配している場合じゃないんですけどね、ちょっと胸が締め付けられるような感じがしましたよー。
2. Posted by いくのしん   2008年09月27日 01:17
>やまじさん

お母さんがジュビロサポとは・・・。

清水なんかもそうだけど、地方のクラブはファン層が広い気がします。
地域に根づいているため、たやすく離れるファンも少ないと思うので、一回下を見てくるのもいいかも知れません。

って当事者じゃないから言えるんですけど。

3. Posted by SOCIO13385   2008年09月27日 12:59
5 いくのしんサンの言う通り!
自分が東京のソシオになった頃の磐田の勝負強さったら半端なかったですよ。
自分が東京のサポになる切っ掛けを与えてくれたのが昔の職場の先輩で浜松出身在京磐田サポの人だったんで昔日の寂しさがあります。
まさに栄枯盛衰ですね。磐田の衰退の一因は前回ACL参加で資金回収に失敗したからとか…。
明日は我身ですね。

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