2011年04月25日
「unknown/アンノウン」旧作ネタバラシ映画感想文。
『unknown/アンノウン』
【ストーリー概略】
薬品工場内で5人の男が目を覚ます。
ボンベから漏れ出した有毒ガスを吸い込んでいた5名は、誰もが有毒ガスの副作用で完全に記憶を失っていた。
工場は電子ロックで解錠不可能な扉と、割ることの出来ない頑丈な窓ガラスで脱出不可能だった。
そして掛かってくる一本の電話。
自分たちは誰なのか、ここは何処なのか、自分以外は一体誰なのか。
工場内を探し回るうちに、トイレに置かれていた新聞に身代金目的の誘拐事件の記事を見付ける。
そして自分たち5人はその事件の当事者であり、2人は誘拐された会社のCEOと財務担当者、あとの3人はその誘拐犯であるという事が明らかになる。
しかし誰が犯人で誰が被害者なのか、誰が最初に記憶を取り戻すのか。
そして、犯人グループの仲間たちが工場へ向かっている事を知り…。
[U.S. Official Trailer]
【ネタバラシ映画感想文】
物語は薬品工場内と誘拐事件を追う警察という、密室と追跡の二元中継的に進行していく。
「日暮れ頃には工場へ着けるだろう」と伝えてきた誘拐犯の仲間が到着することに、記憶を失った5人全員がおびえている。
そして自分以外の誰が被害者で誰が誘拐犯なのか、という疑心暗鬼の心理が描かれる。
誰が味方で誰が敵なのかわからない状況下で、今ここへ迫る危機と現状を打開しようという「イヤでも盛り上がりそうなプロット」だ。
しかしこれがイマイチ盛り上がりに欠けるのだ。
自分が誘拐犯なのか、被害者ではないのか、という自らへの疑いはほとんど描かれない。
そして早々のうちに被害者の二人は断片的な記憶が蘇り、被害者の一人であることを知ってしまう。
しかし、それは主人公ではなく、ほどなくして主人公の記憶が蘇り、犯人グループの一員であることを知ってしまう。
こうした「自分は誰で何者なのか」というサスペンスでは、様々な証拠を発見してピースの掛けたパズルを埋めていく過程が盛り上げる。
その描写がほとんどないのだ。
例えば、主人公だけが目を覚ましていた状況で、誘拐犯の仲間から掛かってきた電話で3人の名前がわかっているにも関わらず、名前と人物の照合を全く行わないので、折角のヒントが活かされていない。
だからクライマックスで主人公が誘拐犯のボスから名前を呼ばれても盛り上がらないのだ。
結局、主人公は誘拐犯の一味だが潜入捜査官であることが判明して、残りの誘拐犯と撃ち合いとなって誘拐犯を全員撃ち殺す。
小道具として重要な役割を果たしていた「娘の名前が刻まれたジッポライター」を放り誘拐犯一味の死体を燃やしてしまう。
なぜそこまでの描写が必要だったのか全くの謎である。
さらにどんでん返しが待っている。
CEOの妻と主人公は不倫関係で、夫の資産を狙っている妻が主人公と組んだ誘拐だったのだ。
その犯罪のからくりは、財務担当者を主犯と見せかけるという計画だった。
それが有毒ガスによって大きく狂ってしまった、というのが最終のオチ。
そういう計画なのであれば、工場内で「誘拐犯の主犯が財務担当者である」という偽の状況証拠が出てきて「誰がその財務担当者なのか」という二重の謎解きが描かれないとオチのプロットが全く活かされない。
とはいえ、85分という短い時間で次々とスピーディに展開していくので、飽きずに観られる。
誰が誰なのかわからない状況での悪人捜しという点では「タバコを吸う者は悪者」というアメリカ映画の定石通りに描写されているので、すぐにわかってしまう。
主人公は「黒でも白でもなくグレイ」という結論は、最後の最後に「ライターを持っているがタバコは吸わない」という設定であることがバラされるのも、この定石に従っているからだろう。
評価=★★★☆☆(3)
unknown/アンノウン(2006)
原題:UNKNOWN
公開:アメリカ/日本 2006年11月1日/2006年11月3日
監督:サイモン・ブランド
製作:ダービー・パーカー、リック・ラッシュブルック、ジョン・S・シュワルツ
脚本:マシュー・ウェイニー
出演:ジム・カヴィーゼル、バリー・ペッパー、グレッグ・キニア他
撮影:スティーヴ・イェドリン
編集:ポール・トレホ、ルイス・カルバリャール
音楽:アンジェロ・ミィリ
製作:アメリカ
上映時間:85分
製作費 $3,700,000
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