生誕太宰治生誕前日祭が行われた。昨年まではコロナの影響で見合わせられていたので、実に3年ぶりの開催となった。
 ”前日祭”とは聞き慣れない言葉かもしれない。実のところ、太宰の誕生日は、明日、6月19日なのである。太宰治まなびの家を管理させていただいている弘前ペンクラブとしては、この日をスルーするわけにはいかない。  
 だけど、生誕祭は、まさしく”生誕”の地、金木で、何年も前から、街を挙げて盛大にやっている。それに対抗しようとしたって無理だ。そこで、弘前では、前日に行うようになった次第だ。
 セレモニー自体はいたって質素だ。その日は、太宰の命日(桜桃忌)ともされているので、献花をし、黙祷を捧げ、会長が挨拶を行う。時間にすればわずか10分程度のものだ。
 が、その後の記念行事に、ペンクラブらしさを出そうと、これまでも企画を練ってきた。
 例えば、津軽地方各地の太宰関連施設の方々にお集まりいただいてのパネルディスカッション。全国の太宰の足跡を調査した方を招いた文化講演会、ドラマリーディング、演劇、朗読会等々だ。  
 葉桜今年は、劇団演人の公演「葉桜と魔笛」を行った。演人とは、その名の通り、弘前で活躍する若い演劇人集団である。主宰は、まなびの家の常駐スタッフでもあるKa君。高齢化が進むペンクラブの中にあって、若手のホープだ。
 原作は、勿論太宰治。1939年に発表された短編小説だ。物語は35年前の回想という形で描かれているので、舞台設定は1904年前後なのだろうか。
 Ka君は、大胆にもそれを、令和の現代にアレンジした。物語の中で重要な役割を果たす”手紙”を、スマホに置き換えたのだ。これ以上はネタばれになるので書けないが、小一時間の作品にまとめるには、スピード感があって良かったと思う。ただ、アカウント云々という台詞が出てきた時、一瞬とまどったのは、僕だけだっただろうか。
 大盛況だった。急遽椅子を追加したくらいだ。終わったあと、「原作を読んでみたい」と言って帰られた人がたくさんいた。「太宰文学の普及」を目的の一つとしているまなびの家としては、最高の結果となった。
 この上演は明日も行われる。とにかく面白い。お時間のある方は、是非、観に来ていただければと思う。(4217)