7年前、「議員は市民の道具です」とスローガンを掲げ、市議会議員選挙に立候補をした友人がいた。惜しくも落選したが、おそらく他の誰よりも政策通だったろうと思う。
 が、正直言って僕は、そのスローガンは、ちょっと違うんではないかと感じていた。親しい間柄だったし、お互いの政治信条に口を挟むべきものではないので、黙ってはいた。
 議員の本分は、議場に置いて、しっかりとした信念と責任を持って議論すること、提案すること、表決をすること、だと僕は考えている。”市民の道具”などというと、まるで”御用聞き”、”代書屋”、”口利き屋”のようなイメージも持たれかねない。僕らは、市役所への”萬取次所”ではないはずだ。
 が、そうは言いながら、あれこれと頼まれれば、それを断れない。依頼者のために精一杯動かなければならないことも、厳然たる事実である。
 今日も、相談を受けるために隣の行政区域まで行ってきた。弘前市は全部で10の市町村と境を接しているのだが、あまり事を大きくしたくないという相談者の希望で、そこがどこかをここで書くことは差し控える。
 ある人にそのことを話したら、「何故、弘前から出張っていくのだ? そこの議員はそんなに信用がないのか」と言われた。そんな意味では勿論ない。弘前在住の方の、勤め先のそばで待ち合わせたということだ。
 相談内容は、簡単に言うと、あるトラブルを巡るそこの役所職員の対応についてだった。それこそ僕が出来ることの範疇を超えている。僕がその役所に怒鳴り込むなんてことはやめておいた方が無難だ。
 でも、話を聞いて、解決方法を一緒に考えるのもまた議員の仕事だ。弘前市の事例を挙げて、いくつかアドバイスをした。 
 今日に限らず、他にも、様々な頼まれ事がある。公のことばかりではない。近隣トラブルや離婚、金銭トラブル等々、行政や議会と関係のないことも多い。時には、全くの身の上話の聞き役に徹する場合だってある。
 そういった意味では、確かに議員は”道具”と言ってもいい。しかも、大工道具だとか事務用品だとか調理器具だとかOA機器とかといった、特定の目的をもったものではなく、色んな道具が詰め込まれた”Tool Box"のようなものかもしれない。
 この”Tool Box"というのは、数年前に若くして死んだ、友人のKa君が経営していたデザイン会社の名前だった。中学の時からの親友だった。僕のホームページの作成を彼に頼もうとしてた矢先のことだった。改めてご冥福を祈る。
 「議員は市民の道具です」といったU君も、選挙前には相談の電話も入ったりしていたのだが、その後は、音信が不通である。亡くなったとは聞いていないが、元気でいるのだろうか?
 こうして、何人もの友人が、いつのまにか目の前から消えて行った。世の習いとは言え、寂しさは禁じ得ない。(8737)