大腸内視鏡検査を受けてきた。肛門からカメラを入れて、腸内を隈無くかき回されてしまう、あの検査だ。
最初に大腸ポリープが発見されたのは、僕が議員2期目の終盤だったから、もう8年近く前のことだったと思う。何度も肛門を開放し、悪い腫瘍を摘出してもらった。
爾来、1年~1年半に一度は、この検査を受けてきた。だから、もう10回近くは経験を積んだことになる。
が、一向に慣れない。何度やっても、嫌なものは嫌だ。
第一、前の日から食べる物が制限される。病院から、食べて良い物と悪い物のリストが渡され、それに従わなければならない。食物繊維の多いものや、種のある野菜や果物、海藻、きのこ類、脂っこい物等は駄目なのだそうだ。できるだけ消化の良い物をということで、大好きな唐揚げやとんかつを食べることができない。
そこで昨日は、自分でうどんを煮て卵を落として食べた。おかずは豆腐だけである。
加えて、夜の9時以降は、水とお茶以外は絶飲食なのだ。これがどんなに辛いことかは、酒飲みならばわかってもらえるだろう。
今日の午前中は、ひたすら下剤を飲み続けた。腸の中を空っぽにするためだ。何度もトイレに駆け込み、その度に便の状態を確認しなければならない。
その薬というのが、ポカリスウェットを数倍甘ったるくしたような液体だ。マニュアルには、2時間10分で1.6リットル飲むこととなっている。ほぼ一升近くだ。
これはけっこうきつい。ワインやウィスキーでさえ、2時間飲み放題で2本空けろと言われても、今の僕には無理だ。
そういう難行苦行を乗り越え、午後、いよいよ左肩を下にして検査台に身を横たえた。下半身は、後部に大きな切れ目のある専用の病衣一枚だ。膝を深く曲げ、その切れ目からお尻を突き出して、医師が来るのを待つ。何回経験しても、この格好は恥ずかしい。
「さぁ、始めますよ。力を抜いて」 背後で声がした。じょ、女性の声だ。女医さんだ。恥ずかしさは一層強くなった。
でも、医師に背中を見せたままなので助かった。もしも女医さんと目と目が合って、その人が絶世の美女だったら、一体どうなっていたことだろう。(4178)