僕の女房の死因は、肺癌だった。左の肺の半分を切除し、抗癌剤治療を続けながら、1年と言われた余命より2年近く頑張った。
 母も癌で亡くなった。膵臓癌だった。「年寄りの癌は進行が遅いから、まだまだ長生きできるよ」と慰めていたが、発見されてから1年足らずで永久の眠りについた。
 他にも、身の周りには、随分と”癌”が多い。
 かく言う僕も、もう8年くらい前だろうか、市の癌検診で、大腸が「要再検査」という判定となった。市立病院で内視鏡検査をしたところ、腫瘍があるという。
 大学病院を紹介してもらい、そこで手術を受けたのが、12月の下旬。その年の有馬記念は、病室で視た。外れた。
 今日の予算委員会で、4人の議員が、”癌”のことを採り上げた。僕は、興味深く聞いていた。
 それによると、弘前市の死因ベスト3は、①癌 28.9% ②心臓疾患 15.3% ③脳疾患 7.7%と、いわゆる三大生活習慣病だけで、全体の半数以上を占めるのだそうだ。
 一方で、これほど身近な病なのに、”癌”に対する市民意識は、極めて低い。最新データでは、胃癌検診の受診率は14.7%、大腸癌は9.6%、肺癌は4.0%しかない。いずれも令和元年度の数値より減少している。
 質問をしたTo議員によると、国では50%以上を目標としているそうだ。弘前は遙かに及ばない。  
 I議員は、検診料が高すぎて、受けたくても受けられない人がいると理事者に迫った。答弁を聞き、調べてみると、胃・大腸・肺のセット検診で、国保加入者は950円となっている。しかも、生活保護受給世帯や住民税非課税世帯は無料だ。勿論、何を以て高いとするか安いとするのかは、その人の経済状態や価値観によって大きく異なるが、受診率の低さの主たる要因は別のところにあるように思う。
 もっとも、市の検診料自体はそれほではなくても、要再検となって、医療機関で本格的な検査を受けるとなると、これはそれなりのお金がかかる。そこに対する財政的な救済措置が必要ではないかということは、以前議会で採り上げたこともある。
 別の視点で、To議員(男)は、もっと受診の必要性をPRしろと言った。別のTo議員(女)は、予約して行っても長時間待たされる受診の億劫さを指摘した。
 僕も、そう思う。もっと、いつでもどこでもスムーズに受けられるような仕組みづくりが必要なような気がする。
 僕の場合、手術後、1年~2年に一度、定期的に内視鏡検査を受けるようになった。早期発見だったせいか、その後何事もなく無事に経過している。もし仮に、再発したにせよ、毎年のように検査をしていれば、手遅れになることはあるまい。
 それを考えれば、あの時、市の癌検診を受けて本当に良かった。950円は、僕にとっては、命の値段として、決して高い額ではなかったと、つくづく思っている。(4975)