昨日の予告編通り、今回の視察のことについて書く。行った先は久慈市。岩手県北部の太平洋岸の港町だ。弘前市商業連合会の視察なので、勿論、目的は商店街のことである。
 土風館久慈市について先ず行ったのは、「やませ土風館」という道の駅。スーパーマーケットと産直市場・お土産売場・レストラン・それに観光交流センターからなる複合施設だ。2階には、僕らの年代には懐かしいポスターやおもちゃを陳列した「昭和レトロ館」という昭和の思い出博物館も併設している。
 が、この道の駅の一番の特色は、もっと別のところにある。
 皆さんは、”道の駅”と言えば、どんなロケーションを思い浮かべるだろうか。そう、郊外の国道などの幹線道路沿いに、広い駐車場を持った施設。というのが一般的ではないかと思う。弘前市近郊でも、国道7号線沿いの石川や浪岡、あるいは国道102号線沿いの田舎館等がその例だ。
 ところが、この土風館は、街の真ん中、中心商店街のすぐ裏通りに作られている。最寄りの商店街までは徒歩で2分もかからない。弘前で言えば、土手町と平行に走る中央通り、いや、それよりももっと近い、土淵川沿いにあるといった感じだ。
 なるほど、この手があったかと膝をたたいた。地元の人だけでなく観光客も、中心市街地に呼び込み、商店街を回遊させる。確かに、中心商店街活性化のための方策ではある。
 その施設をくまなく見学したあと、今度は、久慈市商工会議所の職員に案内をしてもらって、久慈市の5つある商店街を見て歩いた。
 弘前の下・中・上土手町に一番町を加えたように、4つの商店街が一本の道路沿いに連なっており、そこから枝分かれするように駅に続く駅前商店街がある。街路はどこも綺麗だ。電柱は地下埋設されていて、道路を横断するような電線はみあたらない。
 が、如何せん、シャッターを閉めている店舗が多い。ところどころにシャッターアートを施してはいるものの、それだけでは寂しさを隠しおおせない。
 それに、小売店以外の施設やその駐車場が進出してきている。特に広い駐車場は、商店街としての連続性を断ち切ってしまう、やっかいな存在だ。
 何より、商店街にとって一番大事なものが見あたらなかった。それは、お客様の歩く姿である。平日の15時から17時という時間帯にもよるのだろうが、活気というものは感じられなかった。
 久慈市だけの問題ではない。弘前だって似たような状況なのだ。商店街に何が欠けているのか、どうすればお客様が戻ってくるのか、答えは一つではないかもしれないし、あるいは正解はないのかもしれないが、真剣に考えなければならない。
 三陸今日は、郊外に今年オープンしたばかりという道の駅を見学した。僕らが到着した10時頃は、写通り通りそうでもなかったが、早い昼食を摂って、弘前に向かって出発する頃には、広い駐車場は半分以上埋まっていた。
 高速道路のインター近くだということもあるのだろうが、やはり新しいということが、集客に繋がっているのだろう。やはり、物販施設は、常に新しさを発信していかなければならないのかなと、当り前のことを、帰りのバスの中で考えていた。そのうちに眠くなって、目がさめた時は弘前のすぐ手前だった。(10650)