下土手町にあった中三百貨店が、倒産・閉店してから半年と半月が経った。この間、小さなショップの開店もあったが、総じて街の人通りは目に見えて減り、個々の商店も相当苦戦しているやに聞く。
影響を被ったのは商店だけではない。商店街振興組合にも、中三が無くなったことで大きな影響が出ている。端的に言えば、賦課金(組合費)収入が、中三の分、約3割が減少した。事務所費や修繕費などは減らすわけにはいかないので、その減った分は、いきおい販売促進費にかかってくる。
だからといって、決して手をこまねいているわけではない。昨年末には、中土手町商店街と組んで福引大売り出しを行った。概ね好評だったようだ。
現在は、スカイパーク(駐車場)ランチタイム無料サービスを実施している。土日を除く昼の3時間だけだが、実施前と比べて、その時間帯に限れば約2倍の駐車台数を記録している。ランチ営業をしている飲食店の感触も良好のようだ。
今日の理事会では、来年度の販売促進事業について話し合った。桜祭り中の装飾や年末の売り出しをどうするか、ランチタイム駐車場無料サービスを継続するかどうか等々、活発な議論が交わされた。結局、収入は少なくなるけど、販促活動は、基本的には質を落とさず行おうということで、今日のところは落ち着いた。
その他、一方通行解除やスクランブル交差点廃止などについても意見が出た。始められた当初から比べれば、車両通行量も大幅に減っていることは事実だ。県や警察の管轄の問題ではあろうが、まずは商店街から声を上げていかなければならない。
このように、商店街は中三閉店にもめげずに頑張っている。街のこと、組合店のことを真剣に考えている。市からの補助をあてにしているだけではないのだ。
ただ、気になる点がある。弘前市内では、中三デパートの他にも、昨年だけでもイトーヨーカドーや老舗和菓子舗の開雲堂と、中心市街地の閉店が相次いだ。これらはネームバリューの大きな店だったからニュースにはなったが、そうでない小さな閉店もおそらく一つ二つでなくあったに違いない。
ヨーカドーの跡にはロピアという食品スーパーが入った。が、店舗が埋まっているのは地価と1階だけで、2階から上は、各フロアの7割から8割かたは広大な空きスペースとなっている。つまり中心商店街を取り巻く環境は、ほとんど改善していない。
にも拘わらず、市の商工行政には、街の賑わいを取り戻そうという意識が希薄のようにしか思えない。
今、弘前市議会では、来年度予算の審議を行っている。僕は気になったので、商店街対策で何か新規の予算や新しい施策があるのか、知己の議員に訊いてみた。そうしたら、その議員から即座に「無い」という答えが返ってきた。「商工はやる気がないんじゃないですかね」という言葉も添えられていた。
現市政になってから間もなく7年が経過する。その間、商店街に関しては、あまりに無為無策に推移してきた感は否めない。
まぁ、7年のうち約半分はコロナ対策に追われていたことは理解できる。だけど、コロナも猛威もし下火になって久しい今、もう少し商業者の苦境に目を向けてくれてもいいんじゃないかと思う次第だ。(2537)