地元の報道機関とは、仲良くお付き合いさせていただいてきたつもりだ。取材には積極的に協力するし、訊かれたことには出来るだけお答えする(僕の場合、訊かれないことまで喋ってしまうきらいはあるのだが・・・)。その代り、こちらの言いたいことをしっかりと書いていただく。そんな関係が理想的だし、それを心掛けてきた。
 まだ書店を経営していた頃である。3階の催事スペースで行なうイベントの広告をT紙に出すことにした。その原稿を取りにきた担当者に、「広告を出すのだから、記事としても採り上げてもらいたい」と頼んだところ、「うちではそういうことはやってませんから」と断られた。随分と頭が固い会社だなとその時は思った。
 それはともかく、持ちつ持たれつといった関係は、誰とにでもある。度を超さないように、大人の匙加減で構築していければ、それに超したことはない。
 議員時代から特に親しくさせていただいていた記者が2人いた。T紙のAさんとM紙のNさんだ。
2人とも議員を辞めた後も、何度もお会いした。保護猫の会の活動も積極的に採り上げていただいた。
 Nさんは、実際に、1人で40匹近く猫を保護している人の家を取材に来てくれた。そのことを大きく掲載してくれたので、保護猫の会の存在と活動が、広く知られるようになった。
 Tさんは、会で製作している保護猫カレンダーを、記事として採り上げてくれた。お陰で、新聞を見たといってカレンダーを買ってくれた人も少なからずいた。
 Aさんが異動になるという話は、3月に議会傍聴に行ったとき、本人から直接聞いていた。だから,今のところNさんが頼りだ。今年も、6月に予定している第2回譲渡会をはじめ、色々お願いをしたいと思っていた。  
 今日、M新報本社にNさんを訪ねた。保護猫の会の会員が新たに始める、高齢者が入院したりする場合一時的に飼い猫を預かる「高齢者飼い猫の短期預かりサポーターen」という事業の説明会が4月26日に行なわれるので、是非取材に来て欲しいとお願いするためだ。  
 そうしたら何と、青森支局に異動になったという。議員時代も、県議会議員選挙に挑戦したときも、頻繁に取材をしてもらっていただけに、正直言ってショックだった。  
 が、考えてみれば、僕は今まで”異動”とは無縁の世界で生きてきた。書店経営時代も、議員時代も・・・。世間一般的には、特に会社務めの方々にとっては、4月は”異動”がごく当り前に行なわれているのである。それを意識せず、のこのこと出かけていった僕が甘かったということだ。  
 何はともあれ、これからまた新しい関係を築き上げていかなければならない。議員であればともかく、一介の年金老人にとって、それは決して簡単なことではない。困った。(5163)