昨日のブログで、「事前通告制で、予め答弁の原稿を準備してきて読むことが多い一般質問よりも、予算決算特別委員会の方が、あるいは丁々発止のやりとりが見られるかもしれない」と書いたが、いささか説明不足の感も否めないし、正確さに欠けるきらいもあるので、今日はその辺りのことを、もう一度書いてみようと思う。
というのは、一般質問と同じく、予算決算委員会の審議も事前通告の形をとっている。とってはいるが、その中身というか徹底する程度が全然違っているのだ。
一般質問の場合、議会初日の前日までに、文書で通告する。例えば「中心商店街活性化政策について」とか「観光行政について」とかいうふうに、いくつかの項目を所定のフォームに記入して提出する。
それだけでは終わらない。翌日、すなわち議会初日の本会議終了後、各セクションの担当者が、具体的に何を聞くのか、どんな答えを用意すればいいのか、各議員の控え室まで聞きとり調査にやってくるのだ。それも一人ではない。各セクションから3人くらいでやってくる。今回の議会でも、全部で22人の議員が一人あたり均せば4~5項目の質問をする。勿論重複する部門もあるので、単純な掛け算はできないが、それでも、ものすごい数の市の職員が、一時に、聞きとりにやってきた。市役所4階の議会のフロアーは、黒山の人だかりと化す。
質問の趣旨ばかりではなく、最初にどんな質問をして、それに対してどんな答えを返して、さらにそれに対してどんな再質問をするのか等々、事細かに打ち合わせをするのが、最初、どうにも理解できなかった。これではまるで、ジャイアント馬場vsブッチャーのプロレスではないか。馬場が空手チョップを打てば、ブッチャーが派手に場外へ落ちて、次は凶器突きでブッチャーが馬場の額を割る・・・。きちんと打ち合わせが出来ていて、流れるような(?)美しさで勝敗が決する。
それが嫌でたまらなくて、五所川原に用事があったのをいいことに、職員が聞き取りに来る前に、庁舎を後にしたことがある。そしたら、すぐ携帯が鳴って、電話で長々とやりとりをした記憶がある。
一方、予算決算委員会の事前通告は、もっと緩やかだ。基本的には文書だけだ。所定のフォームに、予算書又は決算書の中の、どの科目について質問するのかだけを書いて提出する。例えば「○款○項○目の、××について」といった形ですむ。職員が一斉に聞きとりに来ることもない。通告をしなくたっていい。通告をした人が優先だが、各款毎に、事前に通告した質疑が終了すれば、通告外の質問も受け付ける。
この違いはどっからくるかというと、多分、答弁に立つ人の違いからであろうと考える。一般質問は、市長又は部長級の方々が答弁をする。当然、実務の細部まで把握しているわけではない。反面、発言の責任は重いので、答弁も慎重にならざるを得ない。そこで、実務に習熟した職員が予め原稿を書き、答弁者は主としてそれを読み上げることとなる。
予算決算委員会の場合は、主に課長級の職員が答弁に立つ。実務に携わっているわけだし、数字的なことも押さえている。いきなり何を聞かれてもいいように、膨大な資料を積み上げて、理事者席で質問を待ち構えている。
そのようなことがあって、「予算決算特別委員会の方が、あるいは丁々発止のやりとりが見られるかもしれない」と書いたのだ。でも、誤解しないでほしい。一般質問も面白いよ。ジャイアント馬場vsブッチャーばかりではない。アントニオ猪木vsスタン・ハンセンもあるし、中には猪木vsモハメド・アリもあるのだ。一見シナリオがあるようで、実はシナリオを超えたところで真剣勝負をしかける、その一瞬を見逃さないのが真のプロレス者だと、かの文豪村松友視も言っていたではないか。
うーん。この例え話を、一体何人の読者が理解してくれるだろうか・・・?