今年に入ってから、読書が快調だ。一月の最終日となる今日で、11冊目の本を読了した。勿論、雑誌やコミックの類はカウントに入れていない。3日に1冊をやや上回るペースとなる。
世の中には、ほぼ一日1冊のペースで読まれる方もいると聞く。3日に1冊なんて、たいしたことないと思われる方もいらっしゃるだろう。でも、僕にしてみれば、たいしたペースなのだ。時間が無尽蔵(?)にあった学生時代ならいざしらず、議員という立場についてからは、おそらく新記録だったんではないかな、と思う。
その要因として考えられるのは、青森市に出かけた日が4日もあったこと。往復約2時間の電車での移動は、絶好の読書タイムなのだ。特にその内の一度は、豪雪のため、3時間以上も電車の中に閉じ込められた。JRの対応にいらいらしながらも、本を2冊持っていたので、退屈はしなかった。
今月のお薦めは2冊。と言っても、相変わらず新刊を読んでいる訳ではない。だから「今月の新刊」という意味ではない。僕が今月読んだ本の話だ。
先ずは「安政五年の大脱走」
井伊直弼や長野主膳も登場するが、歴史小説ではない。海上に聳え立つ、表紙のイラストのような、四方を絶壁で囲まれた山頂から脱走を試みるという、フットレルの「13号独房の問題」に代表される、脱獄ミステリーの一種だ。ハラハラ、ドキドキと一気に読ませてくれる。巧みに貼られてある伏線も、筋が通っている。
もう1冊は「仰天・平成元年の空手チョップ」。夢枕獏の、SFプロレス小説である。
SFと言いながら、猪木や馬場が実名で登場する。登場するだけではない。なんとプロレスファンにとっては夢のまた夢であった猪木VS馬場が実現するのだ。でも、なんと、それはセミファイナル。じゃあ、メインイベントは何か? というところがまさにSF小説なのだ。
この小説が書かれたのは、1990年代。まだプロレスに元気があった。多くの人が幻想をいだいていた時代であった。それから20年後、残念ながら、もはやプロレスの存在は、忘れ去られようとしている。
今、この小説を読んで、素直に笑える人は、相当のプロレスフリークだ。是非一緒にビールを飲みたいものだ。
それにしても、安政五年から平成元年まで、時をかける本の旅を楽しんだ。