行きつけの本屋で、懐かしい友に、ばったりと出会った。まさか弘前にいるとは思ってもいなかったので、心底びっくりした。
彼も僕も、かつては、土手町で商売をしていた。お互い、店を閉めてからというもの、共に励ましあって生きてきた(と僕は思っている)。ある時期は、一緒に、某政治家の選挙事務所で働いた。早朝から深夜まで、休む間もなく働いた(と僕は思っている)。慣れない仕事で、苦労も多かったが、その候補者が当選した時は、本当に嬉しかった。
そこを辞めた後も、リンゴの収穫、イベントの設営、チラシの毎戸配布等、連絡をとりあって、仕事を見つけては、ともに汗を流した。中年フリーター仲間だったのだ。
流した汗の量の数倍、駅前の安い居酒屋でビールを酌み交わした。もう一人の仲間とともに、当時は、数少ない酒飲み友達でもあったのだ。
5年前、僕が初めて市議会議員の選挙に立候補した時には、後援会長まで務めてもらった。地盤も鞄も看板も無い僕を、一生懸命支えてくれた。企業の朝礼で挨拶させていただくときも、彼が同行した。僕が挨拶している間に、せっせと討議資料を配ってくれていた。そう、彼は僕の恩人でもあるのだ。
選挙が終わったあとしばらくして、彼も就職が決まって、弘前を離れることになった。全国展開をしている大手家電店の関連会社だと聞いた。今は無き、角み小路の角の3階にあるスナックで、ささやかな送別会を開いた。
さすがに全国に店舗を持つチェーンである。最初は新潟支店だったはずだが、その後、電話で連絡をとるたびに、赴任地が替わって行った。今年になって電話を掛けた時は、秋田にいるという話だった。
そんな彼と、弘前で出くわしたのだ。今は青森店にいるという。よかった、よかった(と僕は思っている)。彼はあまりうかないような顔をしていたが、生まれ故郷に帰ってこれたのだ。それが何よりではないか。
あまり突然で、今日は、数分間の立ち話しかできなかったが、今度は、一杯飲みながら、ゆっくりと話をしたい。何人かに声をかけて、歓迎会を開くのも面白そうだ。
ああ、又、飲む機会が増える。僕は単純に喜んでいるが、医者は何ていうだろう? 明日は、月に一度の血糖検査の日だ・・・。