漱石風に書き出せば、親譲りの天邪鬼で小供の時から損ばかりしている、とでもなるのだろうか。坊ちゃんは”無鉄砲”だったが、僕は”天邪鬼”だ。昔から、権力とか趨勢に阿ることを良しとしてこなかった。圧倒的強者に黙って従うことが癪という性格であった。弱い者、人気の無い方に味方をしてきた。
例えば、大相撲の「柏鵬時代」には、第三の横綱 佐田の山を応援していた。プロ野球の話をすれば、国民的人気を誇った長嶋よりも王の方が、テレビ中継の多いセリーグよりパリーグの方が好きだった。キャンディーズの中では、最も人気の低かった(?)みきちゃんのファンであった。
そんなわけだから、物ごころついて以来、自民党という政党を支持したことはない。政策とか理念というレベルの話ではなく、専ら僕の性格の問題なのだ。
今日の党首討論を、運転中、ラジオで聞いた。途中、遅い昼食を摂ったり、コンビニに寄ったりして、ところどころ聴き逃した部分もある。だから正確ではないのかもしれないが、安倍総裁の持ち時間オーバーが目立ったように思う。司会者が制しても、なお喋り続ける場面もあった。制限時間というルールを守ろうという意識が希薄だ。あるいは、時間内に自分の発言をまとめきる能力が無い。そんな印象を受けた。こんなところが気になるのも、天邪鬼な性格ゆえだからかもしれない。
新聞で読んだ限りでは、未来の党の主張が、一番しっくりきていた。「卒原発」「脱増税」「反TPP]というのが、僕としてはもっとも近いと思った。でも、今日の党首討論では、ちょっと迫力に欠けた。百戦錬磨の国会議員達を相手に、おとなしすぎた。ラジオでは、話している途中で妙な間があいたり、言葉をつっかえていたように聞こえた。
日本維新の会の石原は、党の政策というよりも、自分の思いを早口で呟いているみたいだった。社民党はひたすら支持を訴えていた。ちょっと場所を間違えているのではないかと思った。他の党首の発言にも一長一短があった。
別に、この場で、各党党首を採点しようというのではないし、僕の支持政党はどこだとかを書くつもりはない。ただ、人前で、決められた時間内で、中身のあることを訴えることはとても難しい。それをつくづく感じたのだ。演説にかけてはプロ中のプロであるはずの政党党首であっても、苦心している。
僕も一応は政治の片隅で仕事をしている身だ。突然発言を求められることもある。先ずは、しっかりと時間を守って話すことから心がけよう。
それにしても、党首が11人だ。これでは議論も噛み合わない。確か、小選挙区制度を導入した時は、「政権交代可能な二大政党制」というのが目的だったはずだ。
今の政界は、新日本プロレスと全日本プロレスという二代メジャー団体の力が衰え始めた時、一斉にインディーズと呼ばれる小団体が勃興し乱立した、20世紀後半のプロレス界に、よく似ていると思う。