「別れましょう」と言われたことはあっても、自分から「別れよう」と言い出したことはない。あの時も、あのひとにも、あの場所でも・・・。
我が家には、車が2台ある。どちらもHONDA車だ。
1台目がステップワゴン。これは、父が脳卒中で倒れ、半身不随になった時に買った。それまではセダンタイプに乗っていたのだが、父の車の乗り降りに不便を生じた。特に。降車時に、後部座席から車椅子に移動する際に、何度も失敗して、地べたに尻餅をつかせてしまうことが何度もあった。
そこで、ディーラーから、身体しょうがい者用のリフトがついているワゴン車を薦めてもらい、購入した。この車で、父を施設や病院に送り迎えをした。家族で、あちこちにドライブにも行った。
もう一台は、ザッツという軽自動車である。元々は女房の車であった。女房が事務機屋で営業をしていた時に使っていた。
僕は、女房が亡くなってからは、専らこの車を使った。ステップワゴンに乗るのは、年に数回程度。来る日も来る日も、女房の形見のザッツで仕事をした。別に思い出に浸っていたということでもない。軽の方が燃費が圧倒的にいいし、小回りも効くからだ。
そんな訳で、11年間で11万㎞超。何度か事故も起こしたし、随分と酷使をしてしまった。
今日、車検の見積もりを聞かされた。驚くほどの高い金額であった。どれくらい高いかというと、格安の居酒屋だと、半年間以上、毎日通えるくらいのお値段だ。聞けば、長年の酷使が祟って、あちこちにガタがきているらしい。あれもこれも取り替えなければいけないということだ。
ここにきて僕は、ザッツに”別れ”を告げることにした。実際に運転していても、限界は感じていた。今日の見積もりが、背中をぐいっと押してくれたようなものだ。
水道光熱費や三度三度の食費を除けば、男の生活の中で最もお金を喰うのは、”酒と車と〇”と言われる。確かに車は、持っているだけで、税金だ保険だ車検だと支出が必ずある。使えば使ったで、ガソリン代だって馬鹿にならない。そう考えれば、僕の今の立場で、車を2台も保有する必要はないようにも思う。
それに、歩かなければならない、本気になってダイエットと血糖コントロールに励もうと、ちょうど1週間前から考えていたところだ。そういう意味でも、車検の見積もりはグッドタイミングだったのかもしれない。
が、しかし、いつでも気楽に乗り回せる軽自動車が玄関前にあったら便利だよなぁ。議員の仕事をしている以上、市内全域が活動エリアだし、フットワークも必要だしなぁ・・・とも思う。
ザッツにさよならをするのは決心した。でもさよならの向こう側は、まだ見えていない。
言わずもがなかもしれないが、冒頭の2行は、全くのフィクションである。誤解のないように。あっ、まんざら間違ってもいないか。(6380)
追伸、きょうのタイトルは、ご存じ、山口百恵の晩年のヒット曲からいただいた。美人なのかそうではないのか、歌が上手いのか下手なのか・・・なんとも不思議な歌手であった。でも、日本アイドル史(というものがあれば)に、燦然と輝く、1970年代のトップスターだったことは間違いない。