いきなり三題噺ではない。僕の、今日一日のスケジュールである。厳密に言えば、花見の前に、2件ほど約束があった。
花見は、「青春歌謡〇〇」という、歌好きの仲間に誘っていただいた。頻繁にカラオケ大会などを開催しているようで、しょっちゅうお誘いをいただくのだが、なかなかスケジュールが合わず、失礼を重ねていた。きょうは、満を持して出席した。
いやぁ、良かった。風に吹かれて、桜の花びらが、杯や弁当に舞い落ちてくる。何ともいえない風情だ。
それよりも、僕らを惹きつけたのは、隣に陣取っていたフィリピン人らしい女性のグループだ。胸元露わなノースリーブや、ひざ上30cmはありそうなミニスカートで、意味ありげにこちらを見つめて微笑んでいる。彼女らをちらちらと横目で見ながら、つい酒量が上がってしまった。
おかげで計画が狂った。当初の予定では、花見では飲まないで、読書人倶楽部に帰ってきてブックトークの準備をする。午後4時からのブックトークの講話が終わったら、喪服に着替えて、自分で運転して通夜の会場に行く。そして、焼香だけを済ませてとんぼ返りをし、読書人倶楽部の懇親会に後半から合流し、ゆっくりと飲む。という目論見をたてていた。
それが、フィリピン人に目を奪われたせいで、自家用車での移動ができなくなった。いいだけ飲んでしまってから、その現実に気が付いた。相変わらず馬鹿な僕。
ウェスターホーベン先生のブックトークは面白かった。以前も紹介したように、先生は太宰治の「津軽」や新田次郎の「八甲田山死の彷徨」、谷﨑潤一郎の「細雪」などを英訳・蘭訳された方だ。最近では、村上春樹の作品を積極的に紹介しているとのこと。日本の文学を世界に発信してこられた功労者と言ってもいい。
きょうも翻訳するということについてお話された。翻訳という仕事は、二つの国の文化に橋をかけることにも近いとも言っていた。いかにコンピュータ万能の時代になっても、文芸翻訳という仕事は残るだろうということもおっしゃっていた。
でも、昼間の酒が効いたのか、時々頭がぼーっとして、集中できなかった。フィリピン人の胸元のせいだ。
通夜にはタクシーで往復した。タクシーを待っている間、ほんのわずかかもしれないが、時間をロスした。フィリピン人のミニスカートのせいだ。
とにかく、昼の酒は効く。異国の女性の微笑みは、もっと効く。(4461)