一泊二日の大宮への旅から帰ってきた。昨日も書いたように全くの私用である。
往復とも新幹線を利用した。大宮までなら、空路を使って、弘前→青森空港→羽田空港→大宮と移動するのと、たいして時間差はない。乗り換えも少ない。それに何より、本を読む時間をたっぷりとることができる。
と言うわけで、大宮駅から読み始めた本がこれ。”アントニオ猪木”本は、これまでも何冊も読んできたが、この本は「1976年のアントニオ猪木」に匹敵する面白さだった。
例えば、心理学者の諸富祥彦が子どもの頃、両親の夫婦喧嘩が始まると、お母さんが猪木のポスターを指さして、「あんたの本当の父親はこの人なんやで」と言われたこと。猪木が北朝鮮で試合を行った時、金正日がこっそりと観戦していて「プロレスは凄い」と言っていたというエピソード。まだ、団体を違えて敵対していたある日、偶然に新幹線のホームで出会った坂口にかけた猪木の言葉。倍賞美津子とのラブストーリーetc
多分これまでも雑誌やムックで細切れに紹介されていたことなのだろうが、1冊にまとめられていることで、猪木という人間の魅力と影響力を改めて知ることができる。と、ここまでは、プロレスに関心のない人には、チンプンカンプンかもしれない。ごめんなさい。
新書サイズで240ページ足らずの本。この程度のものなら、かつての僕なら、大宮新青森間で、楽に読破できただろう。ましてや大好きなプロレスの本だ。
ところが、めっきりと読書力が落ちた。集中力が無い。途中でスマホをいじったり、居眠りをしたり・・・結局、新青森に着いた時は、あと10数ページを残していた。
まぁいい。新青森から弘前までの在来線の中で読み終えられる。そう考えたのが甘かった。
時刻はちょうど17時半過ぎ。通勤通学の帰りの客で、座席はどこも空いていない。吊り革に捕まって立っている客もたくさんいる。
そこで、ふと思った。考えてみれば僕は前期高齢者だ。シルバーシート(優先席)に座ったっていい歳だ。でもだれも席を譲ってくれようとしない。今時の若者は・・・。
普段は、「年寄り扱いするな!」といきがっているくせに、都合のいい時だけ年寄りになりたがっている愚かな自分がそこにいた。79歳になって大病と闘う姿を公開して、勇気と元気を与え続けている猪木と比べ、我ながらなんて情けないんだろう。反省。(7369)