今日は弘前読書人倶楽部の当番の日。恩師のS先生がいらっしゃるので、倶楽部のデスクで少し早めの昼食を摂っていた。
そこへ、電話が入った。見るとM新報からである。さては、文芸時評に苦情が殺到したのか⁉ 恐る恐る着信キーをタップした。

とにかく受け取りに行かなければならない。読書人倶楽部とM新報社は、徒歩5分くらいの至近距離にある。S先生がお見えになったので、畏れ多くも倶楽部の留守番を頼んで、M新報社に向かった。
受付で件の手紙を受け取る。弁護士のM先生からだった。益々不安が広がる。だって、M先生とは旧知の仲である。僕の住所を知っているはずだ。それをわざわざM新報社社気付にしたのは、どう考えても「文芸時評」のことに違いない。僕の書いた文章に盗作の疑いがかかったのか? はたまた誰かの名誉を棄損してしまったのか・・・?
倶楽部に持ち帰ってから開封した。A4サイズ1枚、11行ほどの短い手紙だった。
それが、意外にもお褒めの手紙だったのだ。それも身に余る過分な誉め言葉が並んでいる。「テンポの良さ、意表を突く素材の選択、文章の運びの流麗さ、ウィットの数々・・・」とある。まるで自分の文章ではない。誰か違う人の文章のことを書いているのではないかと思ったほどだ。
ちゃんと読んでいてくれる人がいる。それだけでも嬉しいのに、おだてられると天までも登っていくタイプの僕は、もう有頂天になってしまった。
果たして僕に務まるのだろうかと、手探りで始めた「文芸時評」だけど、M先生からの手紙で俄然やる気が湧いてきた。早くも、3ヶ月先までの構想を練り上げた。しかし、構想はあくまで構想で、締め切りギリギリにならない(締切り日を過ぎない)と原稿にとりかからないのが、これまでの僕の悪い癖だ。
M先生の手紙は「今後とも素敵な書評を鶴首しております」と締められていた。たとえ一人だけだとしても、そうして待って下さっている読者のためにも、生まれて初めて締め切りを厳守しようと決意した次第だ。
右の写真の切手をご覧いただきたい。サラブレッドがデザインされている。
5月28日のブログにも書いたが、今月の時評で採り上げた本は「フェスタ」という競馬の小説だった。そんなところへも、先生の気遣いが感じられ、これまた感涙にむせんだのである。
返す返すも、M先生、有難うございました。(6087)
追伸
あまりの嬉しさに、ついはしゃぎ過ぎてしまった。謙譲の美徳もへちまもあったもんじゃない。以後気をつけますから、今日だけは何卒ご容赦を。