大学時代の友人が、東京から訪ねてきた。彼が弘前に来るのは初めてというわけでもないが、やっぱり遠路はるばる来てくれるのは、とても嬉しい。今日は、弘前市民劇場の例会で、お芝居を観る日だったが、予定を変更して、彼を連れて夜の街に繰り出した。
   大学時代の友情とは不思議なものだ。東京からわざわざ弘前に来る友もいれば、僕が上京した時に、たまに声をかければ、即座に集まってくれる仲間も数人いる。60年を超す人生の中で、わずか4年間だけで同じキャンパスで学んだ仲なのに、いまだにこうして行き来する。地方都市で生まれ育つと、小学校から高校までずっと同じ学校の同学年なんて友人も多いのだが、それらと遜色のない深い付き合いが続いている。
   これが、体育会系の運動部のように、寮で寝食を共にして、励まし合ってつらい練習に耐えたとでもいうならば、話は別だ。僕らは、芸能音楽研究会という、極めて軟弱なサークルだったのだから、これはもう、奇跡に近い。
    でも、まぁ、軟弱なサークルはサークルなりに、いろいろな事をやった。アリスやユーミンのコンサートを主催した。学生音楽大賞などという大掛かりなイベントも成功させた。キャンディーズのコンサートのアルバイトにも精を出した。日比谷公園での、キャンディーズの「わたしたち解散します」の生の声を、僕らは場内整理員として、最前列で、押し寄せるファンを食い止めながら、背中で聞いた。
   飲むときは、渋谷の道玄坂が多かった。KO ボーイなら銀座だろうというのは、世間の偏見にすぎない。そりゃあ、ごくたまにだが、六本木や赤坂にも繰り出したこともある。
   今日来た彼には、アルバイトも紹介してもらった。あの名高い業界紙「オリジナルコンフィデンス」の集計係だ。当時はまだ、パソコンも、勿論ポスレジもなく、レコード売り上げのランキングを作成するために、全国のレコード店に電話をかけて、データーを収集していた。毎週月曜日と火曜日の2日間。仕事自体は単調だったが、業界の最先端にいるような気がして、僕には楽しみなアルバイトだった。けっこう、実入りもよかった。
   今思えば、家庭教師とオリジナルコンフィデンス、それに親からの仕送り。可処分所得は、人生の中で、一番高かったかもしれない。
    久々に旧友の顔を見ると、40年前の様々な出来事が、走馬灯のように頭を駆け巡る。やっぱり学生時代の友は、掛け替えのない存在なのだ。
    それはそうと、いいんだろうか?  こんなに飲んで遅く帰ってきて。明後日は、人生を左右する(大袈裟な!)血糖検査の日なのに。もうそろそろ、あきらめる決断をするべき時かもしれない。そうと決まれば、明日も飲みにいこうか、なーんてね。(12580)