朝から、強風が吹き荒れた。
 午前中に、車で移動をしていると、目の前で、風にあおられたのか、自転車の女子大生が転倒した。あとちょとタイミングが遅ければ、あるいは巻き込またかもしれない。
 外堀の桜は、もうほころびかけていた。今日の嵐で、散ってしまわないかと心配しながら、脇を車で通りすぎた。
 春の嵐なのである。
 「春の嵐」といえば、ヘルマン・ヘッセだ。 僕は、中学時代、ヘッセを愛読していた。ただ、その頃は、「車輪の下」や「デミアン」等、少年が主人公の作品が好きだった。「春の嵐」は、大人の恋愛を描いたもので、当時の純情だった僕には、 登場人物に感情移入することはできなかった。
 数年前、何かのきっかけで、45年ぶりに読み返してみた。主人公の思いが、ストレートに理解できた。涙を流すこともできた。
 僕も、ようやく大人になることができたということか。その年の、僕の読んだ本ベスト10の第一位にあげたはずだ。
 「春の嵐」といえば、由紀さおりのヒット曲もある。歌いだしが印象的な名曲だ。
 久々に、僕の好きなうたベスト3を挙げてみよう。由紀さおり編だ。
 ①夜明けのスキャット
 ②手紙
 ③いきがい

 ①は、最初に放送で聞いた時には、衝撃的だった。心が洗われるような声だった。テレビに出るまでは、どんな美人が歌っているのか胸をときめかせた。これ以上は書かない。

 そんな嵐の中、和徳学区町会連合の総会が開催された。昨年暮れから、町会長代理として、連合町会の会議には出席していた。でも総会と名のつくものは初めてだ。
 大いに緊張した。なにせ僕が一番の若造だ(61歳にもなるのに)。何か粗相があってはいけない。発言も控えて、隅で小さくなっていた。
 おかげで、総会会場までは嵐も吹かず、全議案、原案通りに承認された。総会終了後の懇親会では、外の嵐もなんのその、話に花が咲いた。 (9116)