一泊二日の入院を終え、午後2時前に、家に帰ってきた。 二日と言っても、実質は、わずか28時間の病院暮らしであった。
 朝食を摂った段階で異常がなかったので、昼食後に退院していいとは言われていた。でも、念のために午前中に、看護婦さんに尋ねた。
 「何時までいてもいいんですか?」
 「この部屋は、まだ次の予定が入ってませんから、何時でもいいですよ」
 だったら、せっかくの機会だ。夕方までゆっくりしていようと考えた。ところが、昨日、僕より少しだけあとに入院した隣室の患者が、正午過ぎには、そさくさと退院していった。そうなると、僕だけが夕方までのんびりしていると、「あの人、よっぽど暇なのねぇ」「帰る家が無いんだわ」なんて、噂されかねない。僕はこう見えて、けっこう人の噂を気にする質なのだ。
 そこで、午後1時には、病室を出た。なんか、勿体ないことをしたように後悔もしている。
 それにしても、入院をしていても、いろいろな電話やメールが届く。携帯電話(スマホ)社会の、利点と言えば利点だが、弊害と言えば弊害とも言える。何もこんな所までと思うが、相手は僕がどこいいるかわからないのだから、これは仕方がない。
 ただ一つ、入院のいいところは、面倒くさい相談事でも、普段であれば断りづらいお誘いでも、「実は、今、入院中なのさぁ」と言えば、取り敢えずそれ以上は発展しない。先日、コメント欄の常連さんから、安請け合いしすぎだと指摘されたが、入院を理由にすれば、安請け合いをすることはしなくて済む。
 まぁ、退院したとなれば、それらが集中してまた来ることは間違いないので、結局、一時しのぎにしか過ぎないんだろう。明日も、早速、入院中のメールのことで、新しい予定を二件入れてしまった。
 しかし、やっぱり、入院など出来ればするものではない。僕の場合、一番の苦痛は、昨日のように絶食なんてことを除けば、夜、眠られないことだ。
 だって、9時消灯なのだ。もともと寝付きはいいほうではないのに、そんなに早くから寝ろと言われても、そう簡単に眠りに落ちることは出来ない。以前も紹介したが、僕は、本を読みながら、いつの間にか眠りに入るというのが、生活のパターンとなっている。いきなり電気を消されるのは困る。むしろ、「眠られなかったらどうしよう」という不安が頭の中で一杯になって、却って目が冴えてしまう。
 昨日は、電気を消したあと、スマホにイヤホンをつけて、子守歌代わりに落語を聞いてみた。益々眠りから遠ざかり、徒に時間だけが過ぎていった。
 だから、今日はもう、瞼が重い。これでワインでもキューっと引っかければ、久々に熟睡できそうだ。でも、今朝、担当の医師から厳重に言われた。「2週間はお酒を飲まないで下さい」と・・・。
 やっぱり病気なんてしない方がいい。(4093)

 追伸、持って行った本は2冊読了した。
 徒然に読む本も、子守歌も、落語。僕の人生は一体どうなるんだろう?