かつては、政治家が謀議をめぐらす舞台は、料亭と相場が決っていたような気がする。赤坂だか新橋だかはしらないが、離れに座敷がある、あの料亭である。障子を開ければ中庭が見える、奥の襖を開ければ床が敷いてある・・・あっ、それは違うか。
 弘前にも、その昔は、料亭や割烹という店が数軒あった。僕も、書店経営時代は、しょっちゅうではないが、時折接待に利用した。
 それが、今では、とんと見当たらなくなった。数が減っていったのは、おそらく、官公庁の食料費が問題となって、官官接待等が厳しく制限された頃からだろうと思う。わずかに僕の家の裏に「H」という店が残っているくらいである。
 それでは、今は、密談はどうしているのか? と言ったら、いい店をみつけた。いわゆる個室居酒屋である。わん
 いや、実際には、「個室」と言ったって、格子戸で、廊下から中は見える。隣の部屋の声も聞こえてくる。密談などは出来っこない。
 それでも、少人数用にはっきりと区切られているので、周囲を気にせずに話ができる。声を潜めれば、話している内容までは、そうそう隣室には届くまい。
 だから、国家転覆のような大陰謀はともかく、ごくプライベートな内緒話くらいは、安心してできるのである。僕自身、隠し立てするようなことは一つもないが、その安心感ゆえに、ちょくちょく利用するようになった。今日も仲間と行ってきた。
 でも、くどいようだが繰り返す。廊下から中は見えるし、隣近所の部屋の声も聞こえてくる。彼女を連れ込んで口説こうなんて、間違ってもできそうにない。
 あーあ、どこかに、そんな甘ーい”蜜”談が出来る店はないだろうか。あっ、仮にあったとしても、相手がいないんだったっけ(8148)

 追伸
 いつものことながら、タイトルは本文とは、あんまり関係がない。だた書いているうちに、懐かしいメロディーが浮かんできただけのことである。