我が家の食卓の椅子を買いに、全国チェーンの家具屋に行った。平日の昼下がりだというのに、店内には、けっこうお客様がいた。まず、そのことに驚いた。
 これまで使っていた椅子は、それなりに値の張るものだった。木製で、背もたれは藤の格子になっていて、頑丈な筈であった。
 でも、20年以上使っているうちにガタがきた。原因は、偏に僕にある。この重いからだで、酔っ払ってドタンと座る。椅子の後ろ足に全体重をかけて思いっきり反り返る。そんなことを繰り返す度に、一ついかれ、二ついかれ、等々買い換えなければならなくなった。
 その家具屋は、2階の広大なフロアに、椅子だけでも、何十種類もの物が並んでいる。壮観だ。むしろ、選ぶのに迷うくらいだ。こうなると、いかに地元企業贔屓の僕でも、やはり圧倒されてしまう。 
 選択の基準は、①安いこと ②軽いこと ③④がなくて⑤にデザインだ。店内を隈無く見てまわり、実際に座ってみて、気にいったのを決めた。値段も手頃だ。これなら予算内に収まる。
 ところが、カウンターに注文しに行って、びっくりした。まず、商品自体は完成品ではない。自分で組み立てなければならない。組み立てを依頼すれば、別途、1脚あたり2000円かかる。
 その他に、配達してもらえば、別に配送料をとられるというのだ。つまり、椅子の商品代以外に、1万円近くも余分にかかってしまう。これでは予算オーバーだ。
 あれこれ悩んだ末に、自分で商品を取りに行くことにした。それはいい。僕の小さな車でも、2度3度往復すれば、なんとかなるだろう。
 困ったのは組み立てだ。これも、意を決して、自分でやることにした。
 店員さんは、いとも簡単なように説明する。4カ所ネジ止めすればいいですよと。そんなに簡単なら、何も2000円もとらなくてもいいではないかと思ったりもする。
 自慢じゃぁないが、僕は手先が不器用なのだ。図工は大の苦手であった。そんな僕が組み立てて、椅子が壊れて、それでもし誰かが怪我でもしたら、お店は責任をとってくれるのだろうか。いやぁ、やっぱりそれは無理そうだ。
 と、そこで考えた。粗利益率は不明だが、商品単価が数千円から数万円、あるいは数十万円もするような家具屋でも、配送料や組み立て料を、別途徴収する。それに比べて、本屋は、2割そこらの粗利で、僅か数百円の週刊誌でも、無料で配達している。いかに本屋がボランタリー精神に溢れた業界なのか。
 一方では、出版社が、年間契約の読者に、直接配送するサービスもある。それが、送料込みでも、街の本屋で買うよりも安い。一体、出版流通の仕組みって何なんだろう?
 書店を閉めてもう18年にもなるのに、そんなところで思考が立ち止まってしまう。ネットで業界紙を時折読んではいるが、こと書店に関しては、課題となっていることが、10年一日のようでもある。
 このままでは、特に地方の書店業には、明るい未来が見えそうにない。と思うのは僕だけなんだろうか?(8235)