未明、風の音で目が醒めた。 台風から変わった温帯低気圧の影響だ。明るくなるのを待って、障子を開けて見た。僕の視野の範囲では・・・隣の小屋の屋根も、我が家の庭も、取立てて変わったところはなかった。
 それで、安心して、きょうは弘前学院大学の学園祭に出掛けた。この大学は、以前は女子大だった。亡くなった女房の出身校でもある。だからといって、感傷に浸りに行ったわけでもないし、勿論(?)女子大生を見にいったわけでもない。
 懇意にさせていただているS教授が、ご自身の研究室で、懐かしいヒット曲を聴きながら、当時の世相を語り合おうという催事をやっていたからだ。僕は、その企画立案から携わっていた。
 レコードS教授のことは、以前にもこのブログで紹介したことがある。稀代のレコードコレクターだ。演歌から、アイドル歌謡・フォークソング・ロックまで、いわゆる”ドーナッツ版”といわれたシングルレコードからLPまで、研究室を覆い尽くすくらいの古いレコードを蒐集している。
 懐メロファンにとっては、涙が出るくらい嬉しいコレクションだ。今では、ここでしか聞けそうもない遠い昔の曲もある。
 弘前読書人倶楽部でも、弘前芸術鑑賞会でも、教授にレコードとプレイヤーを持ち込んでいただいて、レコード鑑賞会を開いたことがある。いずれも好評だった。
 今日の午前中の一時は、たまたま聴衆は僕一人だけであった。それをいいことに、僕の好みの曲をバシバシとリクエストした。沢田研二の「君をのせて」「コバルトの季節の中で」「白い部屋」、ちあきなおみの「別れたあとで」、浅丘ルリ子の「愛の化石」、ジュンとネネの「愛するってこわい」等々。曲を聴きながら、世相を語るどころか、自分の思い出話と蘊蓄を存分に語ってきた。
 振り返れば、昨年のこの大学の学園祭では、社会福祉学部主催の、若者と政治参画といったテーマのシンポジウムにパネリストとしてお招きをいただいた。市民の請願権のこととか、人口減少対策のこととか、僕なりに生真面目に話をした。好き勝手なことを喋っているようで、それはそれで、かなり緊張をしていた。
 それに比べると、今年は180度違う、随分とお気楽な立場だった。キャンパスを歩いていても、去年より、学園祭の雰囲気を楽しむ事が出来た。
 言うまでもなく、僕は、政治の話よりも、歌謡曲の話の方が、数十倍、得意だ。緊張しないで、いくらでも喋り続ける事が出来る。
 いずれ、どこかで、それこそ「歌は世につれ世は歌につれ」なんてテーマで、講師として呼んでいただけないかと密かに願っている。勿論、講演料は只だ。いや、生ビール一杯でいい。(6075)