この秋は、おめでたい受賞のニュースが続いていると、一昨日のブログに書いた。でも、当然のことながら、吉報ばかりではない。ご縁のある方の、それも偉大な功績を残された方の訃報もあった。
 長部日出雄先生である。去る10月24日に亡くなられた。84歳だったとのことだ。
 長部先生は、弘前出身の直木賞作家である。何が凄いと言って、新潮社や文藝春秋社、はたまた講談社などといった、中央の大手文芸出版社からではなく、津軽書房という一地方出版社から出した作品で、直木賞を受賞したことだ。


 非常に希なケースである。駆け足でその後の受賞作一覧を目で追ってみたが、おそらくそれ以降は無い。
 書店を経営していた関係で、何度かお目にかかっている。店でサイン会をやっていただいたこともある。先生の新刊が出ると、入り口すぐの一番目立つ棚に、どーんと平積みをしたものだった。
 最後にお会いしたのは、ペンクラブが主催した映画会の時である。石坂洋次郎原作の「若い人」を上映した。吉永小百合の、はちきれそうな若さと美しさが瞼に残る映画であった。
 その時に、基調講演の講師として、弘前にお招きした。石坂洋次郎作品の再評価について、熱く語っていただいた。同じ弘前生まれで、弘前高校の同窓生という他にも、長部先生にとっては、石坂洋次郎は、直木賞受賞時の審査員の一人だったという、深い縁がある。
 今だから書けるエピソードがある。講演用に、フロアーより20㎝ほど高いステージを用意していた。ところが、下見をされた先生が、これでは高すぎて上れないという。本番直前になって、あわててステージを造り直した。
 講演会が終ったあと、会場の1階までお見送りをした。奥様に支えられてタクシーに乗り込んでいた。体力が弱られているのだなぁ、歩くのには難儀していそうだなぁと感じた次第である。
 新聞報道によれば、葬儀は既に、近親者のみで執り行ったという。だけど、「生まれ故郷である弘前で何もやらなくていいのか」という声が、あちらこちらから、弘前ペンクラブ会長の所へは寄せられているのだそうだ。
 そこで、今日、急遽、会長の研究室に集まって打ち合わせをした。長部先生は、弘前ペンクラブの名誉会員でもある。やっぱり何かやらなくてはいけない。
 取り敢えず、日時を決めた。12月25日だ。場所も仮押さえをした。ペンクラブだけでなく、他の団体にも広く呼び掛けることにした。弘前読書人倶楽部も一枚噛むことになりそうだ。
 12月25日といえば、あと一月半しかない。また、バタバタと忙しい日々が続きそうだ。(4243)