齋藤春香さんと今関勝さんが、今年の1月、相次いで弘前市役所を退職された。
 春香さんは、ご承知の通り、元ソフトボール日本代表チームの監督として、北京オリンピックで金メダルを獲得した。市職員となって7年半以上、弘前市のスポーツ振興の先頭に立たれてきた。
 今関さんは、元プロ野球選手であり、弘前市に来る前は、楽天球団の職員であった。弘前での一軍戦誘致等に貢献をされてきた。 
 二人とも、前市長の肝いりで採用されただけに、今回の時を同じくした辞職には、色々な憶測も飛んでいる。「辞職の理由は何か?」 今日の一般質問では、O議員が、ストレートにその疑問をぶつけた。
 答弁によると、春香さんは、日立製作所ソフトボールの監督として、今関さんは(一社)日本野球機構の職員として、それぞれ新しい道を歩むために辞められたとのことだった。もっとも、何か他の事情があったにせよ、議会という公式の場では、それ以上の話はできないのだろう。O議員もそんなことを滲ませていた。
 今関さんとは、あまり話をしたことはなかった。が、春香さんとは、実は深い仲だった。誤解のないように言っておくが、怪しげな仲ではない。って、誰も誤解するはずもないだろうが。
 今から6~7年前のことである。春香さん率いる市職員チームと、何故か運動嫌いの僕が事務局長を務める議員チームが、ソフトボールの対抗戦を行なった。選手を9人集めるのがやっとの議員チームである。無謀な闘いを挑んだ。 
 ところが、驚くべきことに、最終回裏、市職員チームの攻撃、2アウトまで、僅差ではあるが議員チームがリードしていた。あと一つアウトをとれば奇跡が起きる。
 と、そこに代打で登場したのが春香さんだった。さてこの勝負の行方はいかに!? 両チームが固唾を呑んで見守る・・・なんて暇もなく、初球を振り抜いた春香さんの打球は、克雪トレーニングセンターのライト壁面最上段に突き刺さった。絵に描いたような逆転さよならホームランであった。
 喩えて言えば、相手に攻めさせるだけ攻めさせておいて、最後に空手チョップ一撃で仕留める力道山のようなものだった。うーむ、適切な喩えだったろうか?
 春香さんには、弘前読書人倶楽部でブックトークをしていただいたこともある。去年の8月のことだ。さすがに選手としても指導者としても頂点を極めた方だ。とても蘊蓄に富んだお話しであった。
 それらの想い出に、きちんとお礼も言わないうちに、春香さんは去っていった。退職された日に、挨拶に行けばよかったと、今でも悔やまれる。
 この上は、春香さんが、実業団チームの監督として大成功をおさめて、弘前に凱旋することを祈ろう。そうしたらまた議員チームを結成して、ソフトボールで挑戦したい。
 まぁ、蟻が象に闘いを挑むようなものだろうが・・・。いや、それ以前に、僕らは皆、グラウンドに立つことさえ困難になっているおそれもある。(9759)