恐ろしい本を読んだ。
 先週、それまで借りていた本を2冊、図書館に返しに行った。いつもなら、その時にまた、数冊借りてくる。ところが、その時読みたいと思っていた本が2冊とも、未入荷だった。リクエスト用紙に記入してカウンターに提出した。近々入るだろうと思い、その時は手ぶらで帰ってきた。
 以前にも書いたが、僕は、何かを読んでいなければ寝付けない人間だ。また、目覚めてから布団を這い出すまでの間を、貴重な読書時間にあてている。そんな事情で、リクエストした本が入荷するまでの間、さて何を読もうかと、布団の周りを物色して見つけたのがこの本だった。
 実は数年前にYさんから貸していただいて、そのままになっていた本だ。選挙好きのYさんが「お前もこれを読んでみろ」と言って薦めてくれた。「有難うございます」と言って受け取ったものの、何となく暴露本の類かと、これまで敬遠してきた。
 ところが、読んでみるとこれが、よくできた小説だったのである。ついつい引き込まれてしまった。
 舞台は、湘南地方のある都市。そこの市長選挙の物語だ。地名も登場人物も、勿論架空のものである。でも、時折、実在の人物名も登場する。なんといっても、主人公は、プロの選挙参謀としてアントニオ猪木を当選させた、という設定になっている。ひょっとしたら誰かモデルがいるのかもしれない。
 いやはや、そこで描かれる”選挙”は凄い。えげつない。たかだか2万票前後を争う市長選にもかかわらず、巨額の金が動く。系列(?)の市議会議員同士の派閥争い、裏切りと懐柔、対立陣営の支持者を死にまで追い詰める金融業者、そしてハニートラップ・・・。
 選挙とは、ここまで熾烈なものなのか? かくも厳しい闘いなのか? (ハニートラップにはかかってみたい気もしないわけでもないが・・・)   
 などと、ページを捲るたびに、恐怖と不安にかられたのだが、今日は日曜日。いつもの通り、午後中、弘前読者人倶楽部にいた。いつもの通り、色々な人が訪ねてきた。いつもの通り、お茶を飲み、ワインを開け、様々な話をした。でも、選挙のお願いは一つもしなかった。
 告示まであと6週間となったのに、こんなことでいいのだろうか。他の候補者たちは、必死に挨拶回りに動き回っているのだろうに(9668)