失敗した。何を? 一般質問をである。
 いや、今日はその前に。もっと大失敗をした。言い訳がましく聞こえるだろうが、最初の失敗がずーっと尾を引いていたような気もする。
 今日は、朝一番での登壇だったので、いつもより、ちょっと早く登庁した。いつもの通り、議会事務局に入って「おはようございます」と、大きな声で挨拶をした。 
 そこで、初めて気がついた。入れ歯を忘れてきてしまったのだ。
 眼鏡だったら、かけないと、物がよく見えない。ところが入れ歯は、口をきいたり物を食べたりしなければ、何も不便を感じないので、つけていなくても気にならない。誰かと会話を交わした時に、息がスースーと抜けるような感じになり、ようやく付けていないことがわかる。
 しまった! 慌てて家に帰った。入れ歯を無造作に差し込んで、市役所にとんぼ返りをした。市役所の駐車場からは走った。たいした距離ではないのだが、息がきれた。ぎりぎり、自分の登壇時間に間に合った。
 もう、その段階で調子が狂ってしまった。加えて。悪いことに、時間がなかったため、ポリグリップ(入れ歯接着剤)もつける暇が無かった。だから、喋っていても、歯がカタカタと動いているのがわかる。いつ外れるか心配だった。
 最悪のコンディションである。そのせいか、質問の出来はよくなかった。うーむ、やっぱり言い訳かな? 
 他にも失敗の原因はある。欲張って5項目も通告したのが、そもそも間違いだった。タイムアップで、最後の質問は尻切れとんぼになった。4項目にしておけばよかった。思わずマイクの前で、そうつぶやいた。
 板碑途中で終わった最後の質問は、中別所という集落にある板碑群についてである。その中の一基が、国の重要美術品として指定されている。中世の様子を伝える貴重な歴史資料である。
 ここが荒れているという連絡を、先月、ある郷土歴史家からいただいた。早速、現地を視に行った。確かに大変な状況だった。雑草は伸び放題。その中で、多くの板碑が傾いている。板碑と板碑が、”人”の字のようにもたれ合っている。
 その整備を要望したかった。併せて、国指定国指定重要美術品の一基以外も全て、板碑群として、文化財に指定するよう、質問を組み立てていた。が、そこまで至らなかった。
 午前の部が終わってすぐ、担当の教育部長の席に行って、聞けなかった質問をし、改めて要望を述べた。取り敢えず言いたいことは言った。
 が、議員の本分は、会議中に議場で発言するところにある。正面から質問をし、その質疑応答を会議録に残してこそ、公式発言となる。その点では、今日の僕は、はっきり言って落第だ。深く深く反省している。
 今日が、49回目の登壇であった。それなのに、いまだにそんなところで躓いている。進歩の無い自分が情けない。(3806)