勝山市は、福井駅からえちぜん鉄道で、小一時間ほど。山間の小さな市だ。人口は、約2万5千人。青森県でけば、黒石市よりも少ない。
    実際に駅を降り立っても、商店街や飲食店、ホテル、お土産屋のようなものは見当たらない。
     その、決して交通の便もよくない、小さなまちに、年間2百万人もの観光客が訪れる。なんだ、弘前の半分以下じゃないか、など侮ってはいけない。人口の80倍もの人が、外からやってくるのだ。単純に弘前の人口に換算すると、1400万人の観光客に相当する。とても、足元には及ばない。
     もともとは、観光の街ではなかった。繊維工業で栄えた町だったという。
      それが、平成元年から始まった県の恐竜発掘調査で、日本産の新種恐竜7種のうちの5種までが、勝山市で発見された。
      これを売り出さない手はない。そこで、平成12年には、県立恐竜博物館が開館した。それを機に、一気に観光の街として成長し、現在も観光の産業化に取り組んでいるという。
      さっき、勝山市の観光客を入込客数を、年間200万人だと紹介した。そのうちの半分が、こも恐竜博物館の入館者数である。すごい磁力だ。
      勿論、勝山市だって、それ頼り切っているわけではない。博物館に隣接する土地に、ジオパークをつくり、また昨年春、やはり隣接地に、ジオターミナルという観光施設を建設した。「かつやまこども恐竜LABO」といって、市内の小学5年生を対象に、専門的に恐竜学を学ぶ講座も解説している。  
       このように、市を挙げて、「恐竜のまち」づくりに取り組んでいる。実際に、まちの中には、至る所に、恐竜のオブジェが立っている。量販店の壁面にも恐竜んかシルエットが描かれている。50ccバイクのご当地ナンバープレートにも、恐竜がデザインされている。
       そのように観光に力を入れている勝山市のだが、悩みは宿泊客が少ないということだ。10万人しかいないという。弘前も宿泊率の低さが課題となっているが、これはさらに低い数字だ。
       勝山の場合、原因は自明である。宿泊施設が少ない。今回、視察に訪れるにあたって調べてみたが、街中には、昨日ホテル以外はなさそうだ。そんなこともあって、現在、勝山市ではホテルの誘致に取り組んでいるとのことだ。
      他都市に来て、いつも思うのだが、弘前市は、観光資源に恵まれている。お城もある。桜もある。ねぷたもある。由緒ある寺社仏閣もある。明治・大正時代のハイカラな建物もある。りんごもある。岩木山もある。白神山地への入り口でもある。恵まれすぎている。
       他市の場合、今日の勝山のように、数少ない資源を、徹底的に磨き上げて、一点突破をはかる。それが勢いに繋がり、新しい価値観を生み出す場合もある。
      だからといって、今更、弘前の恵まれすぎているポテンシャルを切り捨てることもできない。かといって総花的になってもいけない。何と何をどう組み合わせて、どのよう売り出していくか、プロデュース能力が試されるのかもしれない。(6910)