弘前市と大鰐町を結ぶ、弘南鉄道大鰐線という私鉄がある。子どもの頃から、馴染みの深い電車だ。まだ原ヶ平と言っていた頃の西弘駅前に友人が住んでいて、ランドセルを背負ったまま、遊びに行ったりしたものだ。
 今も、時々乗る。しばらくは密集した住宅街の中を走る。まるで東京の私鉄に乗っているような気分だ、こんな街中を電車が走るなんて、弘前も都会だなぁ、と一人悦に入ることができる。
 弘前市と黒石市を結ぶ路線もある。これも今は、同じ会社が経営している。こちらはあまり縁が無い。ただ、夏に運行しているビール列車というイベントには、一度参加してみたいと思っている。
 その両路線とも、赤字なのである。平成30年度で、合せて約7350万円。それがこの先の推計でも膨らむ一方で、このままでは維持が難しい。
 そこで、弘前市を含む沿線自治体では、公費による支援策を打ち出した。当面、令和元年度と令和2年度の運行欠損を、沿線5市町村で分担して負担しようというものだ。損失補填以外の補助も含めて、弘前市の初年度の負担は、4850万円となるのだそうだ。
 今日、議員全員協議会が開かれて、公式には初めて、その説明を聞いた。市長は、「鉄道は、先人達の築き上げてきた貴重な地域の財産だ。一度無くしてしまえば、もう2度と手に戻すことは難しい。知恵を絞って、この貴重な地域資源を守っていきたい」と熱く語った。思いは充分に伝わってきた。
 しかし、そこに、財政とか経営という視点は希薄だったように感じた。如何に公共交通の名のもとにおいてでさえ、民間企業の損失を無制限に補填していくことが許されるのか。将来まで見据えた市の財政負担は如何ほどになるのか・・・?
 そもそも、その運行損失というのには、どこまで含まれるのだろう? 電車運行以外の事業収益があったとして、それは含まれるのだろうか? 他で利益を上げていても、運行が赤字だからと言って、丸丸補填するつもりなのか?
 といったことも併せて、実は、根拠となる数字が示されていない。今日、渡された資料でも、1ページには経常損失の額が記載されて、2ページ目から運行損失が記されている。都合良く言葉と数字を使い分けていると思われても仕方がない。
 その経常損失も不可解だ。平成30年度の会社の決算書では、経常損失は、約6750万円となっている。ところが僕らに渡された資料では7350万円。この差は、おそらく、前述の鉄道事業以外の収益分だろうとは思うが、定かではない。
 まぁ、頭から反対するつもりもないが、少なくとも民間企業の赤字補填に市民の税金を投入する以上、そういった数字は明らかにしてほしい。2月21日から始まる定例議会では、きっと、この件でたくさんの議員が質問に立つことだろう。多分、僕も・・・。(8802)