10月12日のブログでも紹介したように、今日、大学生からインタビューを受けた。卒論に使うのだそうだ。
 テーマは、「地方都市における本屋の意義」といったもの。それを文化人類学的なアプローチで考察していくのだそうだ。いいんだろうか? 僕なんかのインタビューで・・・? 
 と柄にもなく硬くなっていたら、最初の質問は、「今泉さんは、子どもの頃、どこで本を買ってましたか?」ときた。これで一瞬にして緊張がほぐれた。
 今だから言うが、あまり本を買った記憶はない。自宅が店のすぐ後だったので、立ち読みならぬ”持ち帰り読み”をしていた。最初に大人買い(全巻買い)をしたコミックスは、「巨人の星」と「ベルサイユのバラ」だあったことだけは覚えている。
 まぁ、読みたいときにいつでも本が、只で手に入る環境で育ったのだ。だから、高校を卒業して首都圏で暮らした時も、本だけには堪え性がなく購入していた。あっ、酒もか・・・。
 そんな話をし始めたら、舌がよくまわるようになった。かつて、紀伊国屋さんが弘前に出店してきた頃は、弘前市内だけで、書店組合加盟店が23店舗もあったこと。そのうち現在も残っているのは銀座外のKu書店だけになったこと等々。
 あるいは、弘前だけに限らず、全国どこでも、地方都市の老舗と言われる書店の多くが姿を消して言っていること。中央資本のナショナルチェーン店との規模の競争も、その原因の一つであることなど、思いつくままに喋った。
 更には、自分の店のことにも触れた。
 例えば、売り場の真ん中に喫茶スペースを置き、そこが文化仁(?)のたまり場となっていたこと。今ではカフェ併設の本屋は珍しくもないが、当時は余り例が無かった。
 また、週刊誌の一冊から、宅配をしていたこと。テーマの「地方書店の意義」ということから言えば、これは大きな意味があると思う。同時に、そのサービスが経営の足を引っ張ったという側面も強い。
 3階にはギャラリーも併設していた。書道会や学生の部活の発表会に貸し出した他、自主企画として、リトグラフ展や豪華本展、「世界の聖書展」や「世界の万年筆展」、絵本の原画展等々、色々な催しを行なった。
 つまり、お客様にどう捉えられていたかは知らないが、少なくとも自分の中では「地域の文化の発信拠点」という気概だけは持っていたつもりだったと”本音”も口にした。でも、結果として失敗したのだから、まぁ大きなことは言えない。
 何せインタビューをする側もされる側も、無類の本好き同士である。大好きな「まわりみち文庫」のことなども、熱く語り合っているうちに、あっと言う間に、予定の時間を過ぎてしまった。
 振り返ってみれば、僕が書店の経営に携わったのは16年間だ。そして、来年の4月を過ぎれば、議員生活も16年目に入る。人生の中のキャリアとしては、ほぼ同じ長さだ。でも、僕の中には、書店人の血が、まだ色濃く残っている。そのことをつくづくと感じた一時間半であった。
 だけど、僕の今日の与太話で、卒論を完成できるのであろうか。卒業できなかったら、僕も責任を感じてしまう。頑張れ! Ka君!(7872)