三浦市立郷土文学館で、弘前ペンクラブ会長による、「北の文脈講座」が開催された。テーマは「三浦文学の神髄」。現在文学館ではスポット企画展「生誕90年 三浦哲郎展」が行なわれており、それに併せた講演会であった。
 雪に変わりそうな冷たい雨の降りしきる中にもかかわらず、会場は一杯になった。20余り用意した椅子は、全て埋まった。
 三浦哲郎は南部八戸市出身。青森県初の芥川賞作家である。弘前ペンクラブの会員が、太宰治や石坂洋次郎について熱く語るように、八戸ペンクラブでは、三浦哲郎がこよなく愛されているらしい。
 津軽と南部の中の悪さは喧伝されている。その八戸の作家を、何故、弘前の文学館が採り上げるのか? 
 その答えは、今日の説明によると、三浦哲郎は、葛西善蔵、太宰治と続く、私小説の系譜には欠かせない存在だからだそうだ。また、太宰が師事した井伏鱒二とも親交があったことも理由とのことだった。
 三浦哲郎と言えば「忍ぶ川」である。芥川賞受賞作だ。
 「忍ぶ川」と言えば、栗原小巻である。当時、サユリスト、コマキストと、映画ファンの人気を二分していた彼女のヌードシーンがあるということで、世間では評判になっていた。僕も期待に胸を膨らませながら、映画館に足を運んだ。高校2年生だったから、それほどマセていたわけでもない。
 栗原小巻と言えば、一度だけ”生コマキ”を見たことがある。市民劇場の役員をしていた時だ。ある月の例会で、彼女がヒロインを演じる「アンナ・カレーニナ」の公演を主催した。
 僕らスタッフは、開演1時間半前くらいには集合する。その時も、いつものように、市民会館1階ロビーで、輪になってミーティングを行なっていた。
 すると、2階へ通じる階段から誰かが降りてくる気配がする。ふと見ると、栗原小巻さんだった。僕らスタッフのために、わざわざ声をかけに来てくださったのだ。
 いやぁ、ビックリするくらい痩せていた。胴回りですら、僕の足よりも細いのではないかと思われるほど痩身だった。
 それなのに、舞台に立った時の動きはシャープで、声には1300人収容のホールに響き渡るような迫力があった。開演前の印象とのギャップに大いに驚いたものだった。
 さすがに、基礎のしっかりしている舞台俳優は、何歳になっても凄いものだと感心した。そして美人は何歳になっても美人だと・・・。吉永小百合さんだって、今でも美しいと思うのは、僕だけではないはずだ。
 あっ、いつの間にか、文学講座から美人女優に、話がすり替わってしまった。いかに僕が文学の素養に乏しいかが、これでまたバレてしまう。(8731)