書の世界は、基本的に師匠に言わずに(許可を得ずに)作品発表すると破門になります。(書道会や師匠にもよります)私の周りでは、作品を積極的に発表している人がいません。だから、師匠に言っても「あなたはまだ早い」と言われると思っていました。
書の世界は今、閉鎖的です。例えばすごい大家(と言われている人)の作品と素人の作品を、名前を隠して並べて見て、誰もが大家の作品を素晴らしいと思うでしょうか。それが、分かれるから、段位があるのだと思っています。 大きな展覧会に出品する時もお金がかかり、受賞すればまたお金がかかり、もちろん作品の表装にもお金はかかります。受賞の枠も、団体ごとに決まっていることもあります。だから公募は受賞しづらかったり。
それは「悪いこと」であるとは言い切れませんが、書が発展しにくいこと、一般には敷居が高いと思われがちなことにも繋がると感じています。
だから、私は組織ではないところで作品を発表したかったのです。破門になってもいいと思っていました。
しかし師匠に本当にバレて、「とりあえず家に来なさい」と言われ、もう、気が気ではありませんでした。
私の書道生活で二人目の師匠でしたが、小さいころから書を教えてくれ、 今の師匠だからこそ、ここまで続けてこられたし、書以外の部分でも、生き方を教えてくれる、寺子屋のような居場所でした。子どもたちもたくさん通う、みんなが集まりやすく親も安心できるような、本当に素晴らしい師匠と環境だったのです。
そのひとつの居場所が、師匠との関係性がなくなるのは、自分のせいではありながら、堪えられないほど苦しいことだとやっと痛感しました。あまりにも自分勝手でした。
師匠はいつも通り明るく振る舞ってくれましたが、それがかえって淋しく、私は泣き崩れてしまいました。
「どうしてそんなことをしたの?」と先に聞いてくれる師匠は、本当にいつでも「教育者」だなと感じました。
私の思いを、理解してくれました。
「これからは作品を持って来なさい。」と。
「意見はするかもしれないけど、決めるのはあなたの自由だから。」と。
素晴らしい師匠についていたんだなと心から思いました。この師匠のために、私はもっと頑張らなきゃいけないな、とも思いました。
これからもついていきます。これからも、よろしくお願い致します。