今子青佳

2019年04月

個展を終えて、やっと落ち着いた感がありますが、なんだかまだふわふわしています。というのも、おととい終わって、昨日今日は寝てても立っていても、めまいがしています笑 なんでしょうこれは。ぐわあっと世界が回る。こんなの初めてで、昨日は仕事を休んでしまいました。。。ごめんなさい。疲労困憊なんでしょうか。これをきっかけに、ダブルブッキングが発覚したり、鍵を無くしたり、なんだか最悪の流れです。まずい。とてもまずい。今日は出勤できたけれど、記憶があんまりなく…大丈夫かな。ミスしていないかな。みなさまも、季節の変わり目ですから、くれぐれもお体にはお気を付け下さい。

そして、作品を購入してくださったみなさま、もうしばらくお待ちくださいませ。必ずお送りします。

これまでで、特にとっても楽しい幸せな時間でした。お越し下さった皆様、応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。有難い出会いもあり、これからどのように活動していくかまだわかりませんが、どこかでまた作品を見て頂ける事を楽しみにしています。ゆっくり、しっかりと考えて、進んで行きたいと思います。 



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パフォーマンス写真
 

これまでは、どなたかの言葉を借りて書いた作品でしたが、今回は音の力を借りた作品となりました。個展のテーマ「声まで見えない宇宙船に沈む」は私が考えた言葉なのですが、今となっては、予見していたようなタイトルになりました。

音を書いて今考えていることは、書いた作品に
文字があったわけじゃない。
音楽があったわけじゃない。
声があったわけじゃない。

音がただあっただけ。意識とか無意識とは関係のない場所で。そこに勝手に意味付けをするのは私たちだということです。虫や動物も音や芸術作品のようなものを創り出しますが、それを「アート」だと意味を見いだして美しいものを作ってはいません。人間が考えているだけなんだと思います。

誰もいない場所で木が倒れたら、そこで音はしているのか、という疑問に行きついてしまうような気もしますが、それは置いておいて、ただ「在る」ということが稀有であり、奇跡であった展示会になりました。

会場のgift_labで展示をさせて頂くのは2回目ですが、前回以上に支えて頂きました。心から感謝しております。本当に、ありがとうございます。

thanks
gift_labの皆様
zmiさん
角篤紀さん
雑踏を録音した池袋の皆様
お越し下さった皆様

皆様の周りの音が、音として認識されますように
声にならなかった、音になるはずだった塊あるいは粒が
これからの皆様を守る一端でありますように

明日の最終日は一日中在廊しております。売れて行く作品がまた一つの音として集まることはないと思います。その最後の瞬間を見にお越しください。



「声まで見えない宇宙船に沈む」

日時:3月31日(日)~4月8日(月)12:00~19:00
場所:gift_lab GARAGE(東京都江東区白河1-3-13 清洲寮102) 

「伝わっていなくても、

掻き消されて聞こえなくても、

嘘でも本当でも、

声にならなかったあなたの言葉は、

滲んで、あなたを守っている」

for you
 

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ひらがなとカタカナとそれぞれのもとになっている漢字を組み合わせた作品を、ヘッドフォンから流れてくる雑踏での人の声を聴きながら見て頂く作品です。

書道を勉強している人はそれぞれの元になっている漢字を覚えなくてはいけないんですが、改めて見ると、この字から来たの?!とびっくりするものもあったりします。

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薄墨は筆で、濃墨は指で書きました。黒という色は本来全部の色が混ざってできています。その色を滲みによって分解しやすくするために、墨を配合して色を出やすくしました。

日本語は漢字とひらがなとカタカナで表記できます。でも、漢字が無くても音として表すことができます。そんな言葉が簡単にばらばらになってしまうような危うさや、そうであるからこその不思議さを、滲みを含めた文字で解体した作品です。

文字からメッセージ性をなくしたくて作った作品でしたが、楽譜を書きなおすという作品と合わせて考えてみると、記号を再構成していたにすぎないとも感じました。

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「Sonata for smi」


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「音楽法要<六道講式>」(2016.角篤紀作曲)という雅楽の曲の楽譜を基にしています。この曲は深大寺で演奏された曲で、源信の往生要集がもとになっています。この曲をポストカード1枚=1小節として、340小節を340枚のポストカードに書いています。

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violin、篳篥、竜笛、尺八、三味線、ondes martenot、声明のうち、ondes martenotのみ五線譜のまま、ondes martenot以外の音符をド=sun、レ=mercury、ミ=venus、ファ=moon、ソ=mars、ラ=jupiter、シ=saturn

に当てはめて書きました。また休符をviolin=紫、篳篥=青、竜笛=水色、尺八=緑、三味線=黄色、ondes martenot=橙、声明=赤の色で、スパッタリングという手法で示しています。

 

これは音が無いことの存在の意味を現した作品です。


もとのスコアはこんな感じです。
表記例

これが、こうなります。


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これは絵ではないんですか、と聞かれましたが、私は楽譜は絵にならないと思っています。それは、音楽を後々表現し直すために記録したものである楽譜と、誰かが言った言葉を記録したものである書は、とても近い機能があると思っているからです。その「記録」という機能の中で、記号の変換をした作品にしました。

また、休符に色を付けたのは、休符があるからこそ、世の中が美しくなるという見方を作り上げてみたかったのが理由です。書でいわれる余白の美と近いと思っています。美しい楽譜を作ることを考えていらっしゃる角さんの考えをお聞きして、書と関連性があると感じました。

また、電子楽器であるondes martenotのみを五線譜で残したのは、この楽器だけ、あまりにも人とかけ離れていると感じたからです。声明はほぼ人の身体ですし、管楽器は人の息を使い、弦楽器は人の指を使います。でもondes martenotは電子ということもあり、また鍵盤があるのに鍵盤に触れない奏法であることもあり、人に拠らないながらも、そこに存在し続けていることが稀有で孤独だと感じ、そのままを残しました。

これはある作曲家であり、ベーシストでもある方の音を聴いて閃いたことです。彼の音は不思議で、作られる曲もへんてこで面白くて、トリコになる音楽なんです。今回の作品のきっかけが、ご自身の予想とかけ離れていたので、納得がいっていないかもしれませんが笑

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書は一発勝負のような部分がありますが、この作品は忠実に変換することが目的でした。言葉が「記号の拡張」だと今は思っているので、記号の変換によって、書でもなく、楽譜でもないものが出来るのではないかと、それを作ってみたい一心で書き上げました。

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個展が明日最終日となりました。
今回は誰かの言葉ではなく、音をお借りした展示会でした。そのせいか、来て下さったお客さんも違いましたし、私自身も感じた部分が以前とは全く違いました。作品を一つずつ紹介します。

「HITOKOTO for zmi」

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この作品は、オープニングコンサートでコラボレーションしたzmiさんが今回の個展用に作って下さった曲を元にした作品です。ごんべんの漢字だけを6メートルの布に書き続けました。

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zmiさんが作られる曲は、優しい感じがするのですが、どこか冷たい気もする、イージーリスニングのようで、そうでもない曲だと私は感じています。楽譜を描かない即興のような曲が多いからなのか、拍子があまりはっきりしておらず、揺らめいている曲が多いとも感じています。そうやって生まれる揺らぎによって呼吸のしやすくなる曲だなと思っていました。そのイメージを書に変換できないかと考えついたのが、「ごんべん」です。誰かに何かを伝えたいんだけれど、言えない時もあって、また言わない方がいいときもあって、そうなった時の言葉を形にしてみたくて、ごんべんの字を緩急つけて現しました。

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立体的に浮かせた布の影として壁に写り込んだ字は、拓本のようだと言って下さった方がいらっしゃいました。会場のオーナーさんが創り出してくれた光との偶然性によって、できた形があります。

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