「温もり」を今年のキーワードに挙げました。

そして、9月技術専門誌に
『Withコロナ社会の技術マーケティング −ウェルビーイングへの貢献−』
を掲載いただきました。私なりの「温もり」の一つの形です。

寄稿内容は、ざっと以下のようなものです。

■Withコロナ社会の技術マーケティング

Withコロナ社会の下、全ての分野において人を中心とする考えを元にする活動が増えています。
技術マーケティングは、人々の幸せに貢献し社会を良くするモノ・コトの創造を主活動として、ますます重要になってくるでしょう。

これからの技術マーケィングの実践のポイントを考えてみたいと思います。

■Well-being視点の導入
今後はWell-being(良好な状態)の視点を持つことが大切だと思います。
そもそもマーケティングは顧客満足の追求に焦点をあてる点において、ウェルビーイングとの親和性が高い分野です。

*Well-beingについては、WHO(世界保健機関)の、健康とは単に疾病のない状態や病弱でないことではなく、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態である。という説明がわかりやすいです。リンク 日本WHO協会


■Well‐being市場のターゲティング
Wellbeingは分野横断的に広範囲にカバーしています。
医療、福祉分野以外でも健康経営の他、ヨガ・鍼灸・マインドフルネス、観光・レジャー、文化・芸術・スポーツ、SNSなど多方面に及びます。

ちなみに、私のWell-Beingは、鍼灸や散歩、料理やNetFlixなどかなと..。

私たちはどこでビジネスをすればよいのでしょうか。

強みが活かせる分野×人々のありよう
自分達の強みが活かせる分野とその分野の複雑・多様で変化する人々のありように思いをはせ複眼で市場を設定することです。
実際、人と言っても、体力の衰えた高齢者もいるし、お金持ちでも心や身体に不安がある人もいます。人は、複雑・多様かつ日々変化します、人々のありように思いをはせることは難しいことです。私は、まず自分事として、とらえようとすること(これもなかなか出来ることではありませんが)かな、と思います。
具体的な市場が思い浮かばないのであれば、技術の進化とWell-being社会の変化を掛け合わせるホライズン・スキャニング(Horizon Scanning)の手法を活用するのも良いでしょう。

社会の動向については、行政、企業など様々な機関で研究されています。
たとえば、内閣府では、家計と資産、雇用と賃金、住宅、仕事と生活(ワークライフバランス)、健康状態、教育環境・教育水準、社会とのつながり、自然環境、身の回りの安全、子育てのしやすさ、介護のしやすさ・されやすさ、などの分野を設定しています。
 リンク 内閣府Well-beingに関する取組



■Well-being商品の社会実装
Well-being商品の定義があるわけではないのですが、社会がWell-being商品で満たされるには企業活動が主体となることは、間違いありません。
Well-beingは、人の心のありよう、体験、経験の比重が高く、企業単独ではカバーできないケースも多くなると思います。
現在、Poc(Proof of Concept)や実証実験に取組んでいる組織が多くなっています。
私は、Well-being商品こそ設計者、現場の作業者、ユーザなどが一堂に会せる実験場が有効だと思っています。
実験場は、人々が自分らしい生活をするために必要なコトをワクワクしながらできる場で参画者はそこでの成果物を占有するのではなく、広く社会に普及することを目指すのです。
実験場のイメージは下図の通りです。
図1

この実験場の元になったのは、別のブログに書きました私自身のリハビリ体験です。リンク 温もりが技術を活かす。

実験場では次のような成果が期待できます。
・主人公のユーザーである人々は安価にウェルビーイングの機会を得て体験できる。
・現場ユーザの独自性を尊重することでユーザ目線の特徴のある商品の開発が可能となる。
・実験場の成果物は参画企業の集合知として活用することでマーケットが拡張できる。
・現場のノウハウのデータ解析、深化により現場作業者の経験値・技術力が向上する。

実験場の実現は、知財の取り扱い方、成果の配分など乗り越えなければならない課題は多く
まだまだ”お花畑状態”ですが新しい資本主義の姿としてぜひ実現てほしいです。


■技術者のWell-being
技術者は価値創造者でありWell-beingの視点では、社員であり生活者です。
コロナ禍、働き方は変貌しました。分断を余儀なくされたコミュニケーション手段をささえるのは、人々と共有した目標でありその実現です。人々に対する理解と共感、思いやりはマーケティングの土台です。
このような時こそ、マーケティングの思想が働く場で必要なのです。
多くの企業が健康経営に取り組んでいます。それは望ましいことだと思いますが、会社目線で生産性向上を目指した取組が多いように思います。
経営者・経営幹部のみなさん、技術者は生産性向上や付加価値向上の手段ではなく、人的資本です。技術者が幸福感、働きがいが持てる職場をつくり育てなければいけません。
人は新しいものを創ることに生きがい感を持ちます。まさに技術者冥利につきるとはこのことだと思います。

技術マーケティングは技術者のためでもあるのです。
コトを前に進めるにも、意志決定は、前例や組織の力学に従うのではなく、
参画者のメンバーが同じ場で意見を出し合い、メンバーの感性や情熱、
メンバーの専門家としての多様な解釈を踏まえて現場主体で実践する。
これが職場のウェルビーイング向上につながるのではないでしょうか。



以上のように寄稿文では、技術マーケティングの一つの方向性として
・技術マーケティング実践者が、Well-beingの視点を持ち、人々のありように思いをはせること
・Well-being商品の社会実装には、技術者・現場・ユーザが一体となった実験場を創り活用すること
・経営・現場両面で、技術者の幸福感、働きがいに、もっともっと焦点をあて組織も業務プロセスも変革すること
以上の「3つのこと」が大切だと思います。

作り手である技術者が活き活き、ワクワクするからこそ、使い手も活き活き、ワクワクするのだと信じています。