あまり好きで無いものについて書くのは気を使う

身近にそれを好きな人がいると尚更で、

普段はそれについて喋らず、聞き手に回り、好きなことハッピーなことで場を満たすようにしたりする

なんとかその魅力について理解しようと努めたりもする


自分が今までほとんど触れてこなかったものにSF作品がある

理系で、しかも物理学なんてものを専門にしていると、SF好きな人も周りには多くて、

どうも自分のように「どちらかというと苦手」までなっちゃう人は珍しいかもしれない

なんで今こんな話をするかというと、

TENETが公開されて、

友達の間でクリストファーノーランの話題で盛り上がったからだ

僕だってもちろん彼の名前は知っているし、作品だって意識せずに何作か見ている

インセプションはちゃんと見たという記憶がある

先々週はインターステラーもオンラインで見た(正確には見ようとした)


しかし残念ながら、どうも自分には合わないようである

好き嫌いなんて誰にでもあるし、別にそれで終わらせることもできるのだが、

僕は自分の好き嫌いも分析したくなる傾向にあるので、この場で吐き出します


大きく分けて二つの要因がある


一つ目は、散りばめられたサイエンスの要素を楽しむことができないこと

作品におけるサイエンス要素というのは、サイエンティストに向けられたときには諸刃の剣だと思う

その知識があるがゆえに、

「おお、これ知ってるぞ。上手くトリックに活かしたな。」や、

「上手く舞台装置になっているな。」といった、感想が先行すれば、

それは好きに直結するはずだ

僕が知っている音楽を映画の中で上手に使ってくれていれば、それだけでポイントは上がるように。

しかし、サイエンス要素は僕に全く響かない

それどころか、もしその設定に緩さが見えると、完全に冷めてしまう

なまじ知っているからだろう

ノーラン作品はその辺頑張っているらしいので冷めることはないが、

だからといってSFとしての努力が僕にとってプラスに働くことが無い

ここが落とされてしまうと、SFというものの魅力は半減どころではなくなる

別にSFじゃなくてもよくなってしまう、これは困った

一応僕もサイエンスのコミュニティーに属しているはずなのだが、

現実世界の驚きと魅力を表現するサイエンスに、そもそも興味があったわけでは無い疑惑が強くて、

コミュニティー内でも周りとの温度差に悩んだりもしてるわけ…笑


二つ目はですね、説明過多に見える点

一般的には馴染みの無いサイエンスを作品に盛り込んだ時点で説明は増えざるをえないので仕方がないんだけど、

これはSFじゃない映画や小説を見ていても、僕が苦手になりうる理由の一つなんだよね

以前に黒澤明と北野武の対談をYoutubeで見たんだけど、
(今もあったら是非見て欲しい)

「北野さんの作品は好きですよ。説明しすぎないのがいいね。」
「場面が急に変わってもいいんですよ。いちいち見せなくても。」

ということを言ってて、確かに僕の好きなソナチネも、

セリフの数は相当少ない(いわゆるハリウッド映画などと比較して)

綺麗な画と音楽だけで魅せているところが多く、人は黙って死ぬ

自分の中で、良い映画(に限らず作品)はそういうものだ、という教科書みたいなものが出来上がってしまっていて、

だから場面場面で舞台設定から心情から次の展開から、何から何まで喋られると、

画や表情を楽しむゆとりがなくなって、ストーリーに乗っからされてる感覚に襲われ、

非常に疲れる

例えば、この前はインターステラーを見たんだけども、

そもそも上映時間が長いせいもあるが、途中でしんどくなって最後まで見れなかった

(アンハサウェイは可愛い)

他の例では、友人が大好きという森見登美彦の小説を一冊試しに買って読んでみようとしたんだけど、

これもやっぱり説明目的のセリフが多くてしんどくなって断念した

とことん相性が悪い

一方、最近見た映画でMAKALAというフランスの映画が面白かったんだけど、

冒頭からただただ斧で木を伐る映像がセリフもなしに続いて、

街まで木炭を売りに行く道中も20分近くセリフなしで音楽と画と表情で魅せている

もうこれはノーラン作品とは逆行したものなので、

こっちが好きならあっちは嫌い、になるのは必然に近い

(ネット上で少し批評を見ると、インターステラーなんかは役者の演技への演出が乏しいという評もあったりして、まぁ自分もそれはそうかなとは思う。そういう方向性で完成度を求めてないかもしれないし、作品が好きな人はそんなこと気にして無いだろう。)


と、まぁ簡単に言ってしまえば、自分が触れてきたSF作品が、

自分の素晴らしいと感じる要素と逆行しており、

それは異なるベクトルでの完成度を比較するのは無意味であり、

僕がそちらのベクトルに引き込まれない限り、溝は埋まらないかもしれない、

というお話でした

この話を元にしてオススメのSF作品があれば、是非教えてください

好きになるきっかけはいつでも待っているので、よろしくお願いします