所有者不明土地の原因となっている相続登記未了不動産。
 不動産の所有者として登記されている人を特定しようにも、土地取得時の住所のまま放置されていると売却、相続、用地買収などアクションを起こす時にその所有者や相続人を追跡するのに立ちはだかるのが住民票(戸籍の附票)の保存期間5年問題

 その問題に政府がようやく重い腰を上げるようです。
 実務者レベルから言わせてもらえば遅きに失していますけどね。
 少なくとも住基ネット導入時にそれらの対応をすべきでした。
住民票の保存期間、5年→150年間に 総務省が方針
朝日新聞デジタル:2018-8-2
2
 総務省の有識者研究会は22日、引っ越しや死亡などで抹消された住民票の保存期間を、現行の5年間から、戸籍と同じ150年間とする報告書をまとめた。所有者不明の土地の増加を受け、持ち主を見つけやすくする狙い。同省は関連法の改正案を来年の通常国会に提出する。

人気ブログランキングへ

 にほんブログ村 士業ブログ 土地家屋調査士へ 記事が気に入っていただけたらクリックよろしく

◆ 所有者不明土地調査の最大の壁    
 住民票(戸籍の附票)の保存期間5年問題。
 コイツは我々業務に携わるものとしてはけっこう切実で、隣接地所有者の登記が「登記年月日:昭和8年〇月〇日家督相続」なんて記載を見るとその時点で相当やっかいになる予感がしていました。

 相続人が増えるだけでもやっかいなところに持ってきて、まずその登記されている人を特定するところから困難が始まります。
 というのも、現在それらが記録されている住民票(死亡した場合の除票も)の記録はたったの5年で廃棄(5年以上残っていることもあるが確実ではない)されるからです。
 そのため、公的記録での追跡は非常に困難でした。

 そうなると掲示や探偵さながらに近所の人たちに聞き込みをするのですが、引っ越し、死亡から長期間経過してしまったり近所づきあいが希薄だったりしてそこからの情報も上手く取れなかったりします。

◆ 戸籍は延びたのに…
 戸籍については平成22年6月1日に80年から150年に延長になったのに、住民票はそのままでした。
 まあ、戸籍:法務省、住民票(住基ネット):総務省と管轄が違うからなのでしょうが、縦割り行政のバカさ加減が炸裂しています。

 たしかに相続登記などに関しては戸籍の延長は助かりました。
 相続人特定のための戸籍収集が楽になったのは事実です。

◆ スタートができない     
 しかしそれは相続登記など相続人からの依頼があり、登記されている所有者が特定されている場合の話。
 土地家屋調査士や公共機関の土地買収などの場合、不動産は特定できているが所有者が特定できていない場合にはあまり役に立ちませんでした。
 なぜなら登記記録には住所が記載されており、本籍は記載されていないからです。

 なので、所有者特定のスタートでつまずくのです。

◆ 150年分が復活するわけではない   
 ただし、この改正がなされても今後150年間住民登録を追えるわけではないのです。
 すでに破棄されてしまったモノが遡及的に復活するわけないですからね。
 財務省や文科省の記録と同じで捨てちゃったんだし…

 だから遅きに失してる、って言ったんです。

 まあそうはいっても今後はそれらが破棄されることが無くなりそうなので、業務がやりやすくなるかもしれません。
 また役人お得意の下らん但し書きのようなザルを作らなければね…

 そもそも税金を使って集めた記録類を簡単に廃棄してること自体、国益に反しているんですよ…

 それではまた!

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
兵庫県神戸市中央区相生町二丁目3番13号
いもと登記測量事務所
土地家屋調査士・行政書士 井 本 秀 典
TEL 078-371-5000 FAX 078-371-0349
http://www.imoto-office.com/
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
人気ブログランキングへ

 にほんブログ村 士業ブログ 土地家屋調査士へ 記事が気に入っていただけたらクリックよろしく