2009年02月

2009年02月09日

出版社:合同出版
著者:吉岡一
[\1800]

吉岡一さんの講演を聞く機会があったので、せっかくだからと熱が覚めない内に読んでみました。

吉岡さんは朝日新聞の元中東アフリカ総局特派員で、イラク戦争の真っ只中ジャーナリストとして命がけで取材をしたルポルタージュです。

9.11米同時多発テロ以降、アメリカは『テロとの戦い』だと言ってはイラクに駐留し続けています。

大統領がブッシュからオバマへと変わったので、今年中には撤退?という空気も漂っていますが、本書を読む限りでは、そう易々と撤退するわけにはいかない理由があるようです。

世間一般のニュースでは、石油だ、テロだ、アルカイダだ、とか様々に報じられていましたが、いまいち妙な感じがしてました。

だって、大量破壊兵器は無かったし、アルカイダとも関係なかったし、9.11の犯人の中にイラク出身もいないかった。
一体、何の為に?

フセインも処刑したし、ザルカウィも死亡、ビンラディンは捕まってないけど、サウジアラビア出身で、イラクじゃないもんね。

日本も税金使って自衛隊まで派遣してたのに、一体何の為だったの?

そして何より、罪もないイラクの一般市民が大勢亡くなっているのです。
ミサイルや銃弾だけでなく、自爆テロや、仕掛け爆弾、戦争が長引くにつれ、始めはアメリカ軍が、次はイラク以外の中東イスラム国が、そしてイラク国内での内戦へと姿を変えてながら、多くの死者を出し続けているのです。

もちろん、死んでいくのはイラク市民ばかりではなく、アメリカ兵や、ジャーナリストなどの外国人も。

なぜ、こんなにも大勢の人が死ななくてはいけなかったのか。
イラクで何が起こっていたのか。

本書はその点を中心に、吉岡さんがイラクで見て、聞いて、感じたことが書かれています。

正直、ニュースでも最近見なくないですか?
時々思い出したように報道するだけで、イラクの今の情勢がどうなっているのか、きちんと報道してる方が珍しいくらい。

読みながら、本当に、なんて不条理なんだろうと、
怒りと、哀しみと、悔しさと、様々な感情が行き場を見失ったように、言葉をなくしてしまいました。

見せかけの民主主義と、かいらい政権と、アメリカがもたらした自由という名の占領。

日本で平和ボケしてる私には、到底理解の及ばない世界でしたが、平和にも様々な種類があって、民主主義だけが平和の象徴ではないし、独裁政権が産み出すのは悪だけではないと思う。



imperfect at 22:14コメント(0)トラックバック(0) 
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