2005年01月28日

歯周病的立場から考えた埋入 Vol 2

歯周病的立場から考えた埋入手術の実際を前回に引き続き考えてみたいと思います

 本数についての妥当性であるが、歯周病患者の欠損顎堤は前述の様に頬舌的はもちろんであるが、垂直的にも吸収が生じているのは周知の通りである。この事に加え、下歯槽管の解剖学的位置、適切な咬合関係の回復ための咬合挙上等の処置も重なり、長い歯冠に短いインプラントの歯冠インプラント比が悪い補綴を行わざるを得ない事が多い。この事を太いインプラントで解決するためには骨幅の問題から歯頚部の骨の予知性は低下する。このためインプラントの埋入本数を増やし多角的に配置することにより、咬合力に対しての予知性を高めることが望ましい。

 歯周病患者の欠損顎堤は解剖学的に悪条件に変化をしており、その条件の中で、メインテナンスの行いやすい補綴形態を想定した埋入が大切と考える。上記の条件から、4mm前後のインプラントを適切な間隔に妥当性数だけ埋入し、小臼歯の歯冠形態を付与することは、解剖学的にも、力学的にも、歯周学的にも妥当性があると考えられる。


歯周病患者に対するインプラントの治療指針」ザ・クインテッセンス、
YEAR BOOK 2003 現代の治療指針 208-209、2003. 小川洋一をブログ用に改編
  

Posted by implant418 at 00:11Comments(0)TrackBack(0)

2005年01月27日

歯周病的立場から考えた埋入

 歯周患者にインプラント治療を長期にわたり成功させるためには、メインテナンスの行いやすいインプラント補綴物を装着する事が重要と思われる。メインテナンスの行いやすい補綴形態は、埋入の時点でその半分が決定される。埋入の位置は残存歯列の連続性を乱さないことが必要で、角度は臼歯部では、咬合平面に垂直であることが望ましい。
 大臼歯部の埋入はインプラントの直径と形態、本数がしばしば論議される点であるが、著者は次のように考え、臨床に応用している。

 大臼歯形態で太いインプラントを選択するか否かであるが、欠損顎堤は頬舌側幅が減少している場合が多くインプラント頚部に骨の十分な幅を持たせるためには4mm程度の直径が応用される事が多い。太いインプラントは、インプラントの直径プラス2mm以上の骨幅がある場合に限られるが適応症は少ない。

 また歯冠形態に大臼歯形態を用いるか否かであるが、メインテナンスの行い易い環境条件として、歯頚ラインの連続性があげられることから、大臼歯の形態が望ましいと考えられるが、直径4mmのインプラントで大臼歯の形態を用い残存歯と調和した歯頚ラインを付与するためには、埋入のポジションを深く設定する必要がある。この事は歯周環境には望ましくない。
 その為、埋入が4mmのインプラントで、妥当性のある埋入深度からは、小臼歯形態を付与することが望ましい。

歯周病患者に対するインプラントの治療指針」ザ・クインテッセンス、
YEAR BOOK 2003 現代の治療指針 208-209、2003. 小川洋一をブログ用に改編  
Posted by implant418 at 00:02Comments(0)TrackBack(0)

2005年01月26日

治療の進め方

数回にわたって歯周病患者に対するインプラントの基本的な考え方を述べてきました。第二部として、その実際を述べたいと思います。実際の治療は、どの様に考え進めていけば良いのかを考えてみました。

埋入手術前の処置

 細菌のコントロールとしては、埋入手術前に保存不可能な歯の抜歯、不良修復物の除去、ルートプレーニング、歯周外科処置を終了させる。また、早期発症型歯周炎を疑わせる様な症例においては、上記の処置を終了させた後、一定期間、抗生剤の投与を行う事も術前処置として行う場合もある。必要であれば、DNAプローブ法等を用い、細菌量を術前術後で定量的に診査し、埋入時期の診断に用いる事も有用である。

 咬合を長期間にわたり安定させるためには、歯周疾患と欠損により崩壊してしまった咬合関係をどのように修復するかも埋入手術前に決定すべきである。診断用ワクシングとプロビジョナルレストレーションを用い、最終的な顎位と咬合関係を模索する。この事より残存歯の咬合的、歯周的評価を行う事が出来る。また欠損部においては適切な埋入の位置、数、方向など、インプラント施術に必要な情報を得ることが出来る。計画に妥当性が見いだせない場合は、治療計画の修正を行う必要性がある。


歯周病患者に対するインプラントの治療指針」ザ・クインテッセンス、
YEAR BOOK 2003 現代の治療指針 208-209、2003. 小川洋一をブログ用に改編  
Posted by implant418 at 00:21Comments(0)TrackBack(0)

2005年01月23日

歯周疾患とインプラント

4f4e6f9c.jpg歯周病患者に対するインプラント治療の基本的な考え方を数回述べました。やはり最終的には、細菌と力を永続的にコントロール出来る事が最も重要な要素となるのではないでしょうか。

歯周疾患とインプラント

 歯周疾患を併発した患者へのインプラントの施術に当たっては、基本的には歯周補綴処置と同様に、細菌のコントロールと力のコントロールに十分な配慮が必要となる。歯周疾患により欠損が生じている様な患者の口腔内の細菌叢ではインプラント周囲炎を容易に起こす可能性が高いであろうし、咬合関係は崩壊し、正常な下顎位を維持することが困難と考えられるからである。また正常な咬合関係は残存歯の保存に必要な条件とも言えよう。

歯周病患者に対するインプラントの治療指針」ザ・クインテッセンス、
YEAR BOOK 2003 現代の治療指針 208-209、2003. 小川洋一をブログ用に改編

第一部 完

次回からは基本的な対処法を考え、治療の実際を考えてみたいと思います

つづく…..>  
Posted by implant418 at 19:39Comments(0)TrackBack(0)

2005年01月21日

残存歯の診断

インプラント治療の予知性が高まった現在、顎口腔機能の長期的安定は残存視の予後に大きく左右されるようになったと言っても過言ではないでしょう。残存歯に対してどの様に考えて行けば良いのでしょうか。

インプラント治療の予知性が高まって残存歯の診断基準に変化が生じた。抜歯に至る多くは、歯周疾患や歯根破折が原因のことが多い、予知性の低い天然歯を保存し、後に抜歯に至るケースでは、その多くで周囲の硬組織、軟組織の消失が顕著に認められる。この事は後の修復治療やメインテナンスにとっては致命的である。その為、現在では長期的に、咬合的要素、歯周的要素の両方に長期予後の見いだせない場合は、早期の内に抜歯をすることが、歯周組織の保存という観点、その後のインプラント治療を含む修復治療の予知性からは望ましいと考えられるようになった。しかしながら、インプラントによる修復された補綴物は決して天然歯を凌駕するものではなく、また再生療法の進化を考えると、抜歯、保存の適応を多角的に検討し、長期的な機能回復にあたりどの選択肢を適応するかを患者と十分に論じ、その利点欠点について十分なインフォームドコンセントが実践されなければならない。

歯周病患者に対するインプラントの治療指針」ザ・クインテッセンス、
YEAR BOOK 2003 現代の治療指針 208-209、2003. 小川洋一をブログ用に改編  
Posted by implant418 at 10:56Comments(0)TrackBack(0)

2005年01月20日

治療の目標

 歯周病患者に対するインプラント治療において治療計画を立案する採に基本的に冠がなければならない治療の目標を考えてみます。

 インプラント治療を望む患者に対し治療計画を考えて行くことになるが、治療の目標は長い期間にわたる高い予知性を持ったものでなくてはならない。その為には、安定した咬合関係、清潔な歯周環境の確立が必要となり、何よりも永続したメインテナンスの行いやすい治療ゴールが重要である。それに審美性が伴うことが望ましい。その為には、残存歯および、歯冠修復物、インプラント修復物の全てに、長期間咬合を維持させる事、自己メインテナンスが良好に行えること、の二点を柱とした治療計画を立案し細部にわたる診査、診断を行う必要性がある。

歯周病患者に対するインプラントの治療指針」ザ・クインテッセンス、
YEAR BOOK 2003 現代の治療指針 208-209、2003. 小川洋一をブログ用に改編  
Posted by implant418 at 00:02Comments(0)TrackBack(0)

2005年01月19日

歯周病患者に対するインプラントの治療指針

一般歯科治療について連載してきましたがインプラント治療について話題を戻したいと思います。

歯周病患者に対するインプラントの治療指針について数回にわたり述べたいと思います

 インプラント治療が欠損補綴の第一選択と言える様になった現在でも、インプラント治療は全ての症例において条件が異なり、その治療計画を間違えれば高い予知性を得ることは出来ない。
欠損補綴の選択肢としてインプラントを選択する事になるが、診査、診断は欠損顎堤の状態のみならす、残存歯の状態が治療の難易度を左右する事になる。欠損が小範囲で、軟組織、硬組織の欠損が無く、残存歯の歯周環境、咬合状態が良好な場合、治療結果は、咬合、歯周、審美の各要素において良好な結果を得ることは比較的に容易と考えられる。
しかしながら、現在、欠損を主訴とし顎口腔機能の改善を願う患者の多くは、歯周疾患に罹患しており、欠損の原因も歯周疾患が原因であることが少なくない。この様な患者の場合、欠損顎堤は軟組織、硬組織共に欠損が生じ、残存歯は歯周、咬合共に問題が生じている。
 
 現在、来院する多くの患者はこういった数々の問題点を抱え、ただ単に欠損部位にインプラント補綴を行っても、高い予知性を得ることは出来ない。多くの患者は応急的な欠損部への補綴を望んでいるのではなく、如何に永く快適に咀嚼出来るかを求めているからである。

歯周病患者に対するインプラントの治療指針」ザ・クインテッセンス、
YEAR BOOK 2003 現代の治療指針 208-209、2003. 小川洋一をブログ用に改編  
Posted by implant418 at 18:14Comments(0)TrackBack(0)

2005年01月16日

治療に使う道具

2ed67c56.jpgこれまでの回で、型を採る治療行為についてのステップを重ねながら解説してきました。この治療に使用した材料を紹介します。

ダイヤモンドバー
 ・ 日向和田IDAセット

圧排糸
 ・パスコード 7番

印象材
 ・プレジデントソフトパテ
 ・ プレジデントプラスジェット ライトボディー 
石膏
 ・ フジロック超硬石膏

印象採得時に唾液を排除するために、ドライエイドにて唾液が歯列に掛からない様にします。また唾液の量の多い場合は、臭化プロパンテリン錠を投与し、唾液流出量を抑制する事もありますが、事前の問診等注意が必要となります。  
Posted by implant418 at 22:05Comments(0)TrackBack(0)

2005年01月13日

模型作り

数々の治療ステップを経て、大変な苦労の末、やっと型を採る事が出来ました。専用の顕微鏡で不正確な部分や不具合が無い事を確認しました。やっと一段落です。さあ、今度はこの型に石膏を流して模型を作らなければなりません。ここからは治療ステップは歯科医師の手を離れ歯科技工士の仕事となります。歯科技工士は再度印象をチェックします。その精度にもし疑問な点があれば、歯科医師に質問する事や、再び削り治しや、型の取り直しを依頼する事もあります。良質な医療を行うためには、当事者以外のチェックが行われる様な診療システムが望ましいからです。

04a9764f.jpg5188b2e0.jpg 実際に製作した模型の精度を確認してみます。模型の写真とその一部の顕微鏡写真です。左に見える黒い物が髪の毛です。右側の線状見えるのが削った部分の境目です。左が歯肉側、右が歯の部分となります。一般の方は初めて見る写真と思いますが、この部分が何処の部分の拡大かわかりますか?もし解らなくても、髪の毛と比較しても解るように、こんなに細かい事を口の中でやっている事だけは理解してください。そしてこの事がいわゆる良い治療、そうでない治療のある一つの目安である事も理解してください。

ここまでの精度でしっかり削って、きっちり型を採り、精密なコピーである模型を製作する事が出来ました。後はこの模型にジャストフィットの被せ物を、巨匠と呼ばれるような、熟練した歯科技工士が時間をかけて丁寧に製作します。この時に模型は2つ必要となります。1つは右から左までの全体で構成される「歯列模型」そしてもう1つは製作する歯の部分の「ダイ模型」です。ダイ模型は無駄な部分を削り落とし、毎回しつこく言っている、削った境目の部分に作業をしやすくした、一本々の模型です。シリコン性の材料ですと、安定性が高いため、一つの方で二個の石膏模型を作る事が出来るため非常に有用です。

45611547.jpg時間をかけて丁寧に製作した後は、やはり完成精度を顕微鏡でチェックしてジャストフィットしていたら完成です。写真は被せ物の境目を髪の毛と一緒に写した顕微鏡写真です。隙間が無い事が確認できます。
この被せ物を専用の接着剤で歯に被せるのです。

(図、小川歯科医院HPより改編)

  
Posted by implant418 at 22:51Comments(0)TrackBack(0)

2005年01月11日

型を採った結果

87132f94.jpg緊張の中で型を採る材料を歯の周りに流し込みました。完全に材料が硬化するまでの約10分間、動かないようにじっとしていなければなりません。硬化した後、型を外します。ピタリと顎にはまっているため外すのに一寸苦労しますが、これまで書いてきた事の結果はいかなるものでしょう。
ここに上げた写真は削った歯の一本分の写真です。もちろん型は、一本の場合でも全体のバランスを考える必要が有るため、右から左まで全ての形を精度良く採る必要があります。初めて見るとなかなかイメージしづらいと思いますが、写真の下の部分が歯の部分、上3分の1に線になっている部分が、削った部分と削らなかった部分の境界線になります。立体的にイメージすると実際に凸の形は、型では凹になります。この写真は丁度上下を逆にして凹んだ部分が実際の歯の形となります。3Dでイメージできますか?
3b81fb08.jpg  faf34edd.jpg
では、何処が最も重要かと言えば、この写真で、上3分の1にある一本の細い線に見える部分の精度です。この部分を顕微鏡で拡大した写真が次の写真です。大きく見ると境目のシャープさが確認出来ると思います。下の写真は、拡大率を比較するために、同じ部分に髪の毛を置いた状態の写真です。髪の毛の太さよりも削った境目が細かい事が確認出来ると思います。
84acd92a.jpg
ここの部分を限りなく一本の線になるように精度良く削る事、削った状態を精度良く型を採る事の2つが今回の治療ステップには大切な要素です。なぜならどんなに優れた材質や美しいセラミックを用いても、この部分が不正確であるならば、それを超える治療精度を提供する事は、絶対に出来ないからです。この部分の精度が劣っていると不適合な冠を装着する事になります。やがて冠を装着した後に、新たに虫歯が発生したり、歯周病の原因になったりとトラブルの発生の原因になります。

(図、小川歯科医院HPより改編)
  
Posted by implant418 at 00:14Comments(0)TrackBack(0)