EDU IMPRO ブログ

インプロジャパンが行っている教育分野でのインプロ活動をEDU担当、峰松佳代がレポートいたします。 https://www.improjapan.co.jp

公演1

昨年に引き続き、今年度も、
東京都教育委員会の事業「笑顔と学びの体験活動プロジェクト」に参画させていただいています。

今年は、本格的にコロナ禍が明け、
これまで実施できなかった表現活動を制限なく実施できるようになったことで、
学習発表会の時間を久しぶりに「劇発表」を実施する学校が増えたようです。
それに比例して、2倍以上のご依頼の数。
しかも、観劇もあればワークショップも。
学校によっては、両方をご要望頂いた学校も!

そのほとんどが、
「コロナ禍で、大きく表現する機会がなかった子ども達に、
即興での劇づくりを通して、表現って楽しいんだということ、
そして、そこへの興味関心、また意欲に繋げる場を学芸会を前に設けたい」という先生たちの想い。

それが、インプロをご存じない先生方が、
「みんなでつくるインプロ劇場」という我々のプログラムに、興味を持って下さった大きな理由です。

公演観劇、ワークショップ。
いずれもその先生方の想いを大切に、
私たちも、子ども達を前に、「今」に全力で関わっていきました。

公演を実施したある学校では、
舞台で歌う私たちに合わせて、子ども達が自ら立ち上がり、気がつくとみんなで踊り出したり、
また、公演の途中で、舞台に上がりたい子を募集すると、あまりにも人数が多く、
2回に分ける事態になるほど!表現欲求が身体からはみ出す子ども達の様子に、嬉しくなりました。
そして、何より、それを見ている先生方の笑顔は、我々にとって、もう一つのギフトでした。

また、ワークショップを実施した学校では、
最初は個々だったのに、次第にクラスの一体感が見られるよう変化していったり、
普段教室では見られないそれぞれの姿や彼らの素晴らしいところを見つけて、
驚いている先生方もいらっしゃいました。
ある学校では、我々の子ども達の関わりを見て、
「すべてがイエスアンドなんですね。私たちも勉強になりました」
と言ってくださる先生もいらっしゃいました。
最初は一人ひとりやりたいことをやれたり、恥ずかしがってできなかったり、それぞれです。
我々は子ども達に無理強いせず、その子の存在をイエスアンドし、
また、タイミングでやりたくなった時は逃さず、引き込めるようにしています。
ワークショップ自体がインプロとして、動いていた私たちを見てくださっていて、有難い限りでした。


学校の中では、昨年に引き続き、2年連続でお声掛けを頂いた中学校もありました。
その理由は、昨年実施した後の文化祭で、明らかに生徒さん達の表現が変わっていたからでした。
校長先生から聞いたお話では、
「インプロを観た子ども達は、これまでの子ども達と明らかに表現が違っていました。それは、リアクションです。それまでは、セリフをどういうか、セリフを言うことに意識がある演技でしたが、昨年の子たちは、セリフを聞いた子がしっかりと演じていたり、もっというと、セリフをしゃべっていない子たちの演技が素晴らしかったんです。これは彼らにとって大切なこと。」とのこと。
彼らの感度にも感動しましたし、そこに教育的意義を考えていらっしゃる先生の言葉に胸が熱くなりました。
ちなみに、この学校では、今年は観劇とワークショップ、両方実施させていただき、
彼らのイキイキとした表情に、更なる効果を感じてくださって、
早速、来年のお話もしてくださっています。

学校公演やワークショップは、3月まで続きます。
ある子ども達が、私たちのパフォーマンスを見て、「みんな楽しそう!」と言ってくれました。
大の大人が、何も決まっていない未来を恐れず、「今」を全身全力で楽しみまくる姿を、しっかりと届けていきたいと思います。


コロナ禍を経て、久しぶりに「キッズジュニアクラス」を開講しました。
このクラスは、小学校低学年も対象でしたが、この日は、奇遇にも園児たちのみ。
いや~、子ども達のやりたいが止まらないワクワクな90分でした!


子ども達は伝えたいことがいっぱい。
ひとつ尋ねると、それぞれが、いくつもいくつも、思いつくまま、発信。
どうやったら伝わるかな?ではなく、思ったことを身体や言葉でまず伝えてくる子ども達。
しかも、思ったこと、やりたいこと、伝えたいことは、ずっと同じではありません。
表現したそばから、他の子の表現を見ては、変化していきます。
そのスピードはまるでジェットコースター。

しかも、それは時々、一見、それぞれがバラバラのことをしているかのようなこともあります。
ある意味、カオス?!って感じですが(笑)、いえいえそんなことはありません。
大きな視点で捉えてみると、それが一つのワールドを形成しているのです。
というのも、彼らにとっては、その場その瞬間の何かとリンクして、
そこに生まれているので、すべてがリアルで、疑いなく存在するものなのです。

その証拠に、大人の頭で、そのカオスの状態をまとめようと、整えると、
みんなが口々に「違うよ!〇〇だよ!」と訂正されたり、
自分と違うだれが言ったアイデアも、聞いていないようで聞いてて、
見ていないようで見ていて、それありきで、自分から見た物語の世界を創っていくのです。


クラスの後半でつくったお話では、まさにそんなことの連続でした。
子ども達で結成した「みかきょりま隊」が凍ってしまった地球の為に、
宇宙に星のかけらを探しに行くお話が出来上がったのですが、
ある星に降り立った時、それぞれに物語が生まれて、バラバラに行動を始めました。
しかし、ある子がその大切な星のかけらを見つけ持ち去ろうとしたため、
化け物が現れた瞬間、子ども達がそこに集まってきて、一斉に協力し始めたのです。

最後は、化け物と友達になって、地球に招待したのですが、
子ども達は、自分たちでつけたチームの名前「みかきょりま隊」
とっても気に入ってくれたようでした。


色んなことをやっている人がいて、
色んなことを考えている人がいて、
自分はこれがやりたくて、
自分はこんなことを考えていて、、、

そのバラバラが一つの世界になっていることは、
彼らにとっては、それはごく当たり前のこと。

「これって・・・実は大人になった私たちも忘れちゃいけない大切なことでは?!」
キッズインプロで「ワクワクするカオス」を久しぶりに体感し、そんなことを感じました。

また、終わった後に、保護者の方が、
集団生活を学ぶ学校や幼稚園とはまた別の場所に、
自分の考えや衝動をまず尊重してもらえる場所があることへの喜びを語ってくださり、
とても有難く、改めて場の大切さを感じた1日でした。


ちなみに、この日集まったキッズのパパママたちの多くは、
独身時代にインプロに出会い、親となって、
そして、今回初めて子どもをインプロクラスに連れてきてくれたのです!
こんな時が来るなんて!!!最高ですよね♪

とても感慨深く、最後は、みんなで写真撮影をしました!!

来月も楽しみです!


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突然ですが、皆さんにとって、「ことば」はどんな存在ですか?
企業研修で、時々、非言語コミュニケーション活動の後の振り返りで、
「言葉の大切さを知った」というお声を聞くことがあります。
そして、それと同時に「でも、相手に集中すれば、なくても伝わってくる」ともおっしゃっています。


私たちは、「ことば」という便利なツールのおかげで、お互いを分かり合えたり、
密なコミュニケーションを取ることができます。
ただ、時に、その言葉に頼りすぎてしまい、言葉の向こうにあることに気づかず、
逆に、その言葉の意味だけを取って、傷ついたり、誤解をしてしまったり、
また、本意でないことが伝わってしまったり、、、という経験、誰しも少なからずあるかもしれません。
「言外」に存在するもの。それも含めて受け取り合いたいものです。


先日の中高生クラスでは、子ども達がインプロのワークを通じて、
まさに「言葉の向こうにあるもの」に気づいてくれていました。
この日行ったインプロゲームでは、意味のない言葉「ジブリッシュ」でシーンを創りました。

感動的な釣りの場面、恐怖の山登り、龍を倒し感謝を捧げるシーンなど、、
いずれも、「ジブリッシュ」で伝え合い、演じていきました。

物語づくりでは、日本語とジブリッシュを交互に語り、
ある楽器が老夫婦の窮地を救うというお話が出来上がりました。

その中で、彼らが気づいたこと、それは、頼もしささえ感じました。

・「ジブリッシュ」の向こうにある相手の想い、その行間を考えるのが楽しかった。
・感情が伝わり合い、分かり合えた感覚が嬉しかった。
・相手に読み取ってもらうためには、例え「ジブリッシュ」であっても、自分が何を伝えたいという気持ちをしっかり持つことが大事。

そこには、言葉尻だけの平面的なコミュニケーションではなく、
自分の感覚を総動員して、立体的・空間的にやり取りをすることを楽しむ姿がありました。

そして、この日の最後は、すべて日本語で少し長めの即興劇。
ここまでのところで、言葉に頼らず演じてきたことが大いに発揮され、
キャラクターたちの心が繊細に動き、それが物語となっていきました。

舞台は、海底のど真ん中にある大きな大きなビニールハウス。
実は、人魚たちがここで人間達を飼っているという、物語のスタートはちょっと怖いものでした。
ある日、ビニールハウスの中でお花を育てて暮らす少女ハナちゃんと、
その花を外から眺めて楽しむ人魚の子ども達、ロザちゃんとパラちゃんの間に、
友情が芽生えるところから、物語は進み始めます。

ハナちゃんたちを救い出すため、この世界を牛耳る人魚の魔女が住む城に忍びこみ、
奮闘したロザちゃんとパラちゃんのおかげで、最後には、人間と人魚の共存社会が誕生しました。

今回、特に感心したのは、リアクションから生まれる次の展開でした。
前半、ジブリッシュで、相手役の気持ちに寄り添ったり、仲間が伝えたいことを読み取ろうとしていたことが、登場人物たちの心が動き、次の行動を起こすということに繋がっていたのかもしれません。

即興で演じることを通じて、様々な感情と触れ合い、自分のフィルターを通して伝え合う、
そんなコミュニケーションを楽しいと語ってくれていた彼らのこれからが益々楽しみです!

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