EDU IMPRO ブログ

インプロジャパンが行っている教育分野でのインプロ活動をEDU担当、峰松佳代がレポートいたします。 https://www.improjapan.co.jp

2019年09月

キッズクラスがスタートして、12年が経ちました。
このスタジオで、どれだけの数のアイデアが子ども達が生まれたのか・・
考えるだけで、一つひとつのアイデアが目に浮かび、ニヤニヤしてしまいます(笑)


はじめた頃は恥ずかしがったり、人見知りをしていた子ども達も、
何回か通っているうちに、この空間に慣れてくると、
容赦なく(笑)、アイデア砲をとめどなくボンボン飛ばしてきます^^ゞ
子ども達に問いかけながら、世界を創っていくのですが、
一つの問いかけに、何個も何個も、人数が多い時は、何十個単位(笑)で飛んでくるんです!

できる限り拾う、いえ、できる限りでなく、聞こえたものは全て拾う。。

それが私がインプロキッズクラスで第一に大切にしていることです。

たとえ、「えっ?!」というアイデアも・・です。
拾わずして、その先のストーリーの可能性に出会えないなんてもったいないじゃないですかー
だから、必死に拾います(笑)

さて、先日のキッズジュニアクラスの話をしたいと思います。
この日は、地域のイベントや習い事の発表会などが重なり、
お休みされたお子さんが多く、少人数での実施でした。

しかしながら、人数の少なさは関係なく、終始エネルギッシュなキッズジュニアたち。
しかも、今回は経験があるお子さん達ばかり。
例にもれず、やはり、出てくる出てくるアイデアラッシュ(笑)

最後のお話づくりもとまらず、
ある種、物語の観点からしたら、アイデアだらけで、見ようによっては、
飽和状態だったかもしれません。

「森」の中にある鼻水に効くキノコを探しに行く旅だったのですが、
色んなことがあって、ようやくキノコを手に入れ、物語は終息に向かっていた時のことです。
ある年長さんの女の子がポロっと言った一言に驚きました。

「あ!!○○は使ったっけ?あれもつかわなきゃ!」

そうなんです!!
彼女、インプロはアイデア出すだけでなく、それを活かすことが大事って気づいていたんです!!

中高生クラスでは、出てきたアイデアを活かし合うことを、
「フラグ回収」というオリジナルの言葉で表現してくれていますが、
彼女は、インプロクラスを何度か受講するうちに、
年長さんにして、既に、自然とその意識が芽生え、その気持ちを大切にインプロに臨んでくれている
んだということが分かり、私自身も喜びでいっぱいになりました。


インプロ・キッズクラスは、答えを教えるところではありません。

子ども達が関わりの中で、自ら感じ、考え、大切にしたいことを見つける。

そんな場所を目指しています。

なので、旗から見ると、ただ遊んでいるだけに見えるかもしれません。
はじめてご覧になられる親御さんに驚かれることもあります。

でも、子ども達の感性は侮れません。
大人の想像をはるかに超えて、遊ぶ中で、大切なことを見つける力を持っています。

そして、子ども達が言葉に出していることだけでなく、
感じているその瞬間瞬間も逃さず拾っていくことが、
子どもたちの次に繋がるのだと思います。

その為にも、一緒に遊ぶ我々ファシリテーターは、
常にインプロヴァイザーとしてそこに居続けることが必要なのでしょうね。

次回も、子ども達のアイデア炸裂を楽しみにしています!
全部拾うために、私も老いていられません。
鍛えなきゃ(笑)

先日のキッズ・シニアクラスは、中学生クラスと合同で行いました。

この日のクラス最後に誕生したお話の主人公は男の子達でした。
それは、青春の匂いがするもので、彼らは自分ではない人物になりきって、
そこで瞬間瞬間即興で生きる道を選択し、その姿はとても微笑ましく、
また、彼らの中にある純な心も投影されていました。

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舞台は、二人の男子高校生がケンカをしているところから始まりました。
ケンカの最中、一人がこう言います。
A「俺たち、幼稚園の頃は仲良かったじゃないか」
B「そうだな、あの頃はいつも一緒に遊んでいたな」

~回想シーン~ 仲良くボール遊びをする二人。~~~

A「なのに、いつからかお前は、俺を避けるようになった。なんでだよ!」
B「それは、お前が俺を裏切ったからだ!」

~回想シーン~ 
中学になったある日、Bが皆で飲みに行こうと誘う。
A「俺たち中学生だぞ、ダメだよ!」
B「みんなで楽しもうぜ!」
A「お母さんに言うからな」
~~~

B「お前、俺を裏切って、チクっただろ!俺は、お前やみんなと一緒に楽しみたかっただけなのに!」
A「お前、みんなと一緒に楽しむ時間が欲しかったのか!
だったら、俺、良いところ知ってるよ!インプロっていうんだ。これから連れて行ってやる!」

そう言って、彼らはある場所に向かう。

場面変わって、、

そこでは女の子たちがビーチボールで遊んでいる。

A「皆、今日、俺、友達連れていたんだ。一緒に入れてくれ」
B「こんなのできねーよ」
A「何事もやってみないと分からねーだろ、さ、入れよ!」

渋々、中に入るB。

一時間後、みんなの中に、表情が柔らかくなったBがいた。

B「たまには、こういうのもいいな」

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インプロは、その場その瞬間に、自分がやりたいという人物になって演じていくので、
違う人物でありながら、本音が聞けるときがあります。

また、台本がない中で打ち合わせをせずに、
「今」ここで、思い、感じたことからストーリーがつくられているので、
物語に、やっている人達の心が反映することが往々にしてあり、
特に、キッズや中高生と一緒にやっていると、その素直な反応から生まれるストーリーには
彼らが大切にしたいと思っていることが見えてくることがよくあります。

思春期になると、恥ずかしくて言えないような真面目に大切にしたいことも、
インプロでだったら、演じられるのかな(笑)

そんな、純粋な彼らのインプロに、胸がキュンとした一日でした。


ちなみに、今回、キッズシニアと中学生が合同で行い、
いつもより人数が揃っていたので、
終わった後、表現は違えど、多くの子が同じようなことを振り返っていました。

「最初は、人数多い中でみんなで一緒にインプロやるのは、
思っていなかったことばかり起こって二人だけでやるより大変だと思っていたけど、
やっていくうちに、難しいと思っていたことが面白くなった」
「2人のコミュニケーションより、複数のコミュニケーションの方が大変だけど、
それぞれが考えていることが受け入れ合っていくと、その数だけ色んな方向を楽しめた」
・・・
インプロで物語を創ったり、違う人物になってみたり、それをただ楽しんでいる・・
だけではない子ども達の感性に、感動してしまいました。


次回は、どんなお話が生まれるか、どんなことに気づいてくれるのか、
来月も楽しみです!

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