一歩スタジオに足を踏み入れると、
そこは、終始、あそびの空間です。
「子ども達のやりたいでスタジオを埋め尽くす」
毎回、それを目指して、クラスをやっています。
なので、傍から見たらカオスでしょう(笑)
大人の都合で整えること、大人の視点でつくることはしない。
つまり、子どもに『イエスアンド』。
これが、このクラスのモットーです。
それが子どものやりたいことを引き出すので、よりカオス(笑)。
ただ、この状況、ミクロで捉えるとカオスですが、
マクロで見ると彩り鮮やかなひとつの世界なのです。
ワクワクが止まらない世界。
子ども達は感覚的にそれをよく分かっています。
その証拠に、終了後、毎回、子ども達はすぐに帰ろうとはしません。
終わりのご挨拶した後、ホワイトボードでお絵かきが始まったり、
かくれんぼをしたり、異学齢が入り混じり、インプロ・エンドレス(笑)
先日のクラス終了後も、子ども達の遊びが止まらないので(笑)、
その賑やかな声の横で、3名のお母さま達に、
インプロクラスに通う理由とご覧になっていての感想を伺いました。
ちなみに、おひとりは、茨城県からお越しくださっていて、 近所の子ども達ともやりたいと、この夏休みに、 「親子インプロイベント」を企画してくださっています。 お近くにお住まいの方で、ご興味ある方は、 ws@improjapan.co.jp までご連絡ください。 ※ 8/4(日)14:00~15:30 @取手市 |
この先の未来に向けて
インプロジャパン:
お子さんをインプロクラスに通わせている理由をお聞かせいただけますか?
Kさん:
自分自身が独身時代からインプロをやっていて、
子どもができたら、キッズ・インプロに通わせたいと思っていました。
理由は、ひとつには、『イエスアンド』を知って欲しいなと思って。
自分のやりたい事だけでなく、場に応じて、主張したり、
相手をサポートしたりできるようになっていたら、
これから先、本人が生きやすくなるんじゃないかなと思います。
あと、これまで、キッズインプロに通う子ども達を見てきて、
「あんなにしっかりしたお子さま達になるなら、是非是非うちの子も!」
というのもちょっとありました(笑)
インプロジャパン:
”しっかりした子”。
キッズインプロに通っていた子ども達は、
Kさんにはどんなふうに映っていたのでしょう?
Kさん:
大人の中に入っていっても、物怖じせず、
自分の意見も言えるし、人の話も聞けていて、しっかりしているなぁと。
あと、舞台慣れして、人前で話すことができるところもいいですよね。
インプロジャパン:
確かに、そういうところありますね!
これまでの子ども達の成長をそのように風に見てもらえていることが
とても嬉しいです。
Mさんはいかがですか?
Mさんもご自身がインプロやっていらっしゃいますが。
Mさん:
同じように、インプロでの人との関わりが身についていると、
大人になった時に楽だなと思って通わせています。
自分自身が子どもの頃、
人との繋がりの中で自分を表現していくことが生きる上で一番難しく感じていて、
コミュニケーションに何のプレッシャーも感じず、
苦手意識なく、人と繋がれていたら、生きやすかっただろうなと。
そういう意味で、インプロは、人に遠慮して思ったことも言えないとか、
人の話を聞けずに独りよがりといったことがなく、
聞いた上で自分自身が伝えたいことを表現できるので、
そこが基本にあったら、たとえどんな仕事に就いても、
うまくやっていけると思うので、
生きていく上での選択肢が増える気がしています。
それに、インプロのように、想像力を使って創造することは、
例えば何かをつくる仕事に就いたとしても活かせるし、
小さい時からそれが当たり前の世界は豊かだなぁと思うんです。
しかも、インプロの場は遠慮なくその力を伸ばしていけるので、
子どものその成長を見てみたいというのがあります。
インプロジャパン:
生きる力として、、、
やはり、親御さんは、お子さん達の先を見て、
これから生きていくために必要なことを考えて、
その場を与えてあげているのですね。
愛情を感じます。
Kさん:
もちろん、今が楽しいというのが大前提で。
Mさん:
そう、コミュニケーションを楽しんで、苦手と思わないで欲しい。
インプロジャパン:
そうですよね、「今」を楽しむからこその「先」ですね!
Nさんはいかがですか?
「インプロ」で検索して、うちを見つけてくれたということでしたが、
「インプロ」のことはご存知だったんですか?
Nさん:
20年近く前に、友人がやっているのを観に行ったことがあって、
「インプロ」のことは知っていました。
うちの子に向いているかもと思い、
検索してこちらを見つけ、連れてきたのが最初です。
インプロジャパン:
それが、4年生の秋頃でしたね。
それから半年、レギュラーで来てくれていますね。
なぜ、インプロを?
Nさん:
うちは、幼稚園卒園の時にコロナの流行が始まって、
小学校入学してから3年生まで、一番他愛なく人と触れ合える期間に、
学校に行けないとか、放課後に誰かと会うことは悪いこと・・
といった価値観で過ごしてしまって、、
いざ4年生になって「友達と遊んでいいよ」となってもその習慣がないし、
「人とのコミュニケーションが悪」みたいに小学校半分を過ごしてるので、
うちの子だけでなく、周りの子も、
うまくコミュニケーションが取れなくなってるように見えたんです。
例えば、縄跳びしようと誰かが提案して、
したくない子がしたくないと言っただけなのに、
自分が否定されたというとり方をしてしまうようなことだったり、
提案して否定されることにすごく敏感になっているように思えて、
もっと、相手の良さと自分の良さが伝わり合えるような
そんなコミュニケーションが取れたらいいのになぁと。
なので、こういうところに来て、
提案していることに対して否定じゃなく、乗せてくれることで、
みんなが楽しくなるという経験をたくさん積めたらいいなと思って
連れてきたのが一番の理由です。
インプロジャパン:
この3,4年の環境は、子ども達にとって、本当に影響が大きかったようですね。
Nさん:
そうなんですよね。
この時期に、”楽しくみんなで遊べることが良いこと”
という時間がなったので、このままいっていいのかなぁと心配になって。
インプロジャパン:
親御さんだったり、学校だったり、我々周囲の大人がそこに目を向けて、
子ども達がイキイキとコミュニケーションを取って遊ぶ環境を
用意してあげることは、今、必要なことかもしれません。
子どもが秘めたポテンシャルと出会うために
さて、ワークショップはご父兄の方々にもご見学いただいていますが、
子ども達がやっているのを観ていらして、どんなことをお感じですか?
Mさん:
インプロをしている子どもを見ていると、
自由すぎてすみませんと思いつつも、
自由にさせてもらえる場所があってよかったなぁと思うし、
インプロゲームはルールもあって、それを利用しながら楽しめるので、
規則の中でも自由でいられる心を育ててもらっている感があります。
親になって、子どもを見ていて思うのが、
子どもにとってどんなこともすべて新しい経験で、
「わぁ~」と好奇心が湧いている時には、
新しい細胞が生まれている瞬間なんだなぁって。
それが生きることであって、みんな、そのために生まれてきていて、
そういうこと全てが素晴らしいことだったんだなぁと感じています。
「わぁ~」となっているその感動を止めることなくずっとやっていたら、
どんなすごい成長に繋がるんだろうと思う反面、
集団生活ではそういうわけにもいかないので、
親としてはその葛藤があります。
でも、そういう意味で、インプロの場は、その感動の連続が叶う場なのかなと。
見ていて、あまりにも自由にしているので、他の子に迷惑かけてしまっているかも、、
と、親としては注意したくなったり、ちゃんとやらせなきゃと思ってしまうのですが、
子どもの自由を受け入れてもらえる安心感があるので、委ねさせてもらっていて、
子どもも、少しずつ集団の中での自由を
自分で見つけられるようになってきているかなと思います。
Kさん:
「ちゃんとして!」と思う気持ち、私もわかります。
お話とかも「あーそういう方向?!」とか思う事もあるけど、
子ども達がつくったお話の内容については、
絶対、何も口を出さないようにしています。
私が一言でも言っちゃうと、それが子どもにとっての正解になっちゃうから。
”自分で考える”という力をつけて欲しいので、
それだけは言わないように心掛けています。
一方で、この一年半で、すごく成長したなぁとも感じていて、
はじめは自分のやりたい事だけをやっていたり、
協力して作るということが見られなかったのが、
最近では、他の子がやっていることを見てから、自分で何をやるかを決めたりとか、
自分が思いついた話を言葉にして伝えられるようになってきたなぁと思っています。
なので、今は、家族インプロするのが楽しみです。
うちは、旦那さんもインプロをしていて、家族共通の話題がインプロなので(笑)。
そろそろ、子どもということに気を遣わずに、対等になって、
一緒にお話づくりができるんじゃないかなと思っています。
インプロジャパン:
ご覧になっているお母さま達も忍耐ですよね(笑)
ご父兄の方々のご理解あってのキッズクラスだと、常々思っています。
カオスをどこまで耐えられるか(笑)
私としては、お母さま達がこの空間を叶えてくださっていると
感謝の思いでいっぱいです。
Nさん:
先生が待つ方ということもあるんだと思うんですけど、
色々な設定の中でアイデアを出していく時に、
子どもがジーっと考えているのを見てて、
私は、(もう出ないだろうなぁ)と思っていても、
ふいに、「ポッ」って、別の角度からのアイデアを出すんですよね、あれが新鮮で、
「できないだろう」「言えないだろう」って、
私が自分で先に思っちゃってるだろうなと気づきました。
待てば出てくることっていっぱいあるんだなぁと思えて、
そこが私にとっても発見でした。
それに、お話も、例えば、ダークサイドに勢いよく進んでいても、
ある程度のタイミングでお話を展開させる子が現れて、
「お~、(ダークサイドから)戻ってきた、戻ってきた」ってなって、
観ていても面白いですよね。
インプロジャパン:
そうですよね、あれは不思議ですね(笑)
子ども達の中で、その世界に生きているから、
彼らが根っこに求めている方向にお話が進むのでしょうね。
例えば、そんな時、私が下手に良いお話にしようとコントロールすると、
子ども達はそこに偽を感じるのか、大人のいやらしい意図を感じるのか、
逆に私の思い通りには行かないんです、似非の良い話には(笑)
でも、子ども達が出すものに乗っかっていけば、
不思議とたとえダークサイドに行っても、
そのことに意味があるオリジナリティ溢れる物語が出来上がるんですよね。
お話を聞かせていただき、有難うございました。
子ども達が、大人が求める答えでなく、自分が求める答えを出せる環境が
ここに叶っているのは、温かく見守りながら、
この場を信じてくださっているご父兄の皆さまの力は絶大だと思っています。
私自身も毎回発見だらけで、
子ども達のアイデアに触れるたび、鍛えてもらっています。
これからも子ども達のポテンシャルを信じ、引き出し、醸成していく為にも、
彼らが出すこと一つひとつを新鮮にイエスアンドしていきたいと思います。
今後もよろしくお願い申し上げます。