「過去じゃなく未来を見るインプロで、救われました!」

ある高校で、選択授業の一つとして行ってきた『インプロゼミ』最終日での生徒の声です。

もちろん、これは、講師の言葉やどこからか借りてきた言葉ではなく、
本人が体験の中で、見つけた「インプロ」を表す言葉です。

彼曰く、
インプロゼミを受講するようになって、毎回、何かしらの成長を実感でき、授業のたびに、
(今日は何が見つかるのかな?)と楽しみだったとのこと。
元々は、すぐに後悔してしまうタイプだったそうですが、インプロを毎週やる中で、
直感を信じて、イエスアンドすることで、いい方向に気持ちを持てるようになったそうです。


「イエスアンド」についての声は、彼だけではありませんでした。
全授業を終えて、自分の変化を口にした生徒達のコメントから、
どの生徒も一番楽しみ、最も気に入ってくれたのは「イエスアンド」だったということが分かりました。
いずれの生徒も、です。
彼らのその言葉からは、この「イエスアンド」が自信を持つきっかけとなったことも明らかでした。

声の大きさが明らかに変わった生徒は、「排他的だった自分が、イエスアンドで、自分も相手も満足できることを知り、それで相手と繋がれることが楽しいと思えるようになった」と話してくれたり、
また、ゼミ開始当初は大人しい印象だったのが、笑顔が増え、ひょうきんな一面も見せてくれるようになった生徒は、「イエスアンドで、自分の考えていることに自信が持てた。ゼミが終わるのが寂しい。もっとやりたい!」と、主張してくれました。

他にも、出てきたモノをみんなで回収し合うことでの発展を楽しむ生徒や、「アクションすることに失敗はない!」と名言を披露した生徒や、「イエスアンド」の学びが授業を楽しめた理由と話してくれた生徒もいました。


コロナ禍の影響で、2学期からのスタート。
その上、短縮授業で各回45分だった為、毎回あっという間に過ぎていきました。
しかしながら、
『人との関わり中で、生まれるもの。創られるもの。』
それらが、「イエスアンド」のエッセンスによって、楽しいこと、面白いこと、かけがえのない尊いものだと知った彼らは、その45分という時間の中で、「今」を一瞬一瞬、余すことなく楽しみ、大事にしていたように思います。

「素直は武器!」
毎回、彼らの楽しむ力と吸収力、そしてゼミへの集中力に、そんなことを感じていましたが、
彼らの姿勢こそが「イエスアンド」だったと、最終日のコメントで、改めて気づかされました。


そして、彼らのコメントの中で、もう一つキーワードがありました。
それが「自由」です。
ある生徒は、「みんなが、自分のやったことにどんどん便乗してくれるようになったことで、自由度が高くなったところも、著しい成長だったんじゃないかと思う」と語ってくれたり、またある生徒は、
「毎回、自分が言ったことが繋がっていくのが嬉しくて、楽しくて!自由は難しくもあるけど、誰かの考えにプラスしていくことの楽しさを知ったので、イエスアンドすることで行動できる」と、
自由との対峙の仕方は「イエスアンド」が鍵だと考えていることを教えてくれました。

そう、インプロは台本がありません。
自由なのです。
何もない真っ白なところに、即興で物語が誕生していくのです。

それは人生も一緒。
彼らが、ゼミが終わっても、これからも「イエスアンド」していきたいと言ってくれたのは、
体験を通じて、「インプロ」と「人生」がリンクしたのでしょう。
そして、『自由』という共通項がある「インプロ」で、そこにある無限の可能性を見つけてくれたからだと思います。
それは、彼らの発表会が裏付けていました。


「インプロゼミ」の感想を聞く前、この日、チームに分かれてのインプロ発表会を行ったのですが、
それは、まさしく「自由」からの創造で、どの作品も予想外の展開から誰もが想像しない結末をチームで協力して生み出しており、観に来て下さっていた先生方も大変驚き、感動してくださっていました。
「彼らの秘めた才能をここに見て、感動しました」と言ってくださった先生もいらっしゃいました。

とりわけ、最後のシーンは圧巻でした。
全員で即興で10分強の劇をつくりましたが、決まっていたことは、タイトルの「海」だけ。
あとは、白紙。
何もありません。
そこに、全員が少しずつアイデアを積み上げ、その場その瞬間に、自分で役割をつくり、演じ、表現することで、ある一つの世界に一つのドラマが生まれました。
止まることなく、経過する時間の中で、自由にイエスアンドする姿は、観ていた先生方、我々に感動をくれました。

どこから用意したものを見せるのではなく、「今」そこに起こっていることに関わることは、
「生」もので、それは、「生きる」そのものでした。

これから彼らが歩む世界、何が起こるか、もちろん白紙です。
大変なことにもきっと、いや、必ず遭遇するでしょう。
でも、その先を自由に描けると知った彼らなら、楽しく未来を描いてくれることと信じています。

5年後、10年後、30年後、、、
自分なりのオリジナルストーリーを、自信もって描いていってくれることを願っています。

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最後に、
彼らが創った総決算のオリジナル物語をお届けします。
想像してお楽しみください。

「海」

ここは、大きなクジラが見えることで有名な海。
クジラを慕って、サメをはじめ大きな魚たちもたくさん泳いでいる。

海の家では、クジラサイダーが売られていたり、
伝統的な捕鯨が行われていたりすることもあり、
多くの人が観光に訪れるようになってきた。

それもあって、ヤドカリがたくさん歩くキレイだった砂浜も、
ここ最近はごみが増え、海にはゴミが投下されることもしばしば。
その影響もあり、以前は豊富なサンゴも壊滅状態に近かった。

しかしながら、クジラをはじめ魚たちは、ここから離れることはなかった。
というのも、海の底に眠る宝箱を守っていたからだった。

ある夜、海の底に宝箱があるという噂を聞きつけた海賊たちが、
この海域にやってきた。
魚たちの居ぬ間に、海賊たちが宝箱に近づこうとしたその時だった!

瀕死状態にあったサンゴたちがあり得ないほどの光を放ち始めた。
「悪い奴らだ!最後の力を振り絞って、ヤァ―――!!!」
サンゴたちは口々にそう言いながら、残り僅かとなった自分達の身体から必死にエネルギーを放出した。

「わぁーーー、何だ!!この光は!!うぅーーー」
光に包まれた海賊たちは、あっという間にやられてしまい、退散していった。

一方、砂浜。
今日も、海の家は賑わっていて、食べ歩きをする若者が多く見られた。
そんな中、一人の青年が、海の変化に気づいた。
「あれ?なんか海がキラキラ光っていない?」
「ホントだ。こんなにキラキラしていた海に、僕たちはごみを捨ててたのか!ポイ捨てしてごめんなさい!」
海や砂浜にゴミを放置していたことを後悔し、心改める人々が増え、次第に海はきれいになっていった。ヤドカリたちも、海がきれいになったことで、美味しいプランクトンが増え、喜んでいた。

そしてこの海の影響は、世界に広がり、瞬く間に地球の海は青色を取り戻していった。

一方、サンゴたち。
最後の力を振り絞ってエネルギーを放出したことで、力が尽き始めていた。
そこに、宝箱を守っていたクジラの王様がやってきた。

「お前たち、ご苦労さんだったなぁ。お前たちに、まだあの力が残っていたのだな。褒美に、生命を蘇らせる秘密の栄養が入っているこの宝箱をお前たちにあげることにしよう」

そういうと、宝箱を開き、中に入っていた粉をサンゴたちにふりかけた。
すると、サンゴたちはスクスクと伸び始め、そのことが更に海を浄化させていき、海の生き物たちはイキイキとしていった。

こうして、宝箱を守ったサンゴたちが、その後も、地球の海を守っていくのであった。