2018年11月08日

池上奈生美コラム 〜「自らの魅力を表に現す」 〜 

私は子供の頃から演劇が好きで、ずっと演劇に関わる仕事をしたいと
思っていました。

しかし、小学生の頃、クラスの発表会で「劇をしたい。」と言ったのは
私一人で、結局その年はできず、あまりに悲しくて、翌年自ら台本を書き、
みんなを説得したことを覚えています。
そして、先生に「将来役者になりたい」と言うと、
「恥ずかしいからそんな事言うもんじゃない。」と言われました。
あの頃は、演劇というのは、敷居が高く、特別な人がやるものだったのです。


でも私は、幸運にも理解ある家族のおかげで演劇の道に進むことができました。
演劇のおかげで、私は人前で自分を表現したり、様々な感情を自由にコントロールしたり、
いろんな役を通して、人を理解するということを学び、
振り返ると私の人生は、演劇なしに考えられません。

そんな私がインプロと出会い、あるカルチャーセンターで「シアタースポーツ」の講座を
受け持つ機会が訪れたのは、インプロジャパンを創立する前のことです。

そこには、演劇未経験の方も多くいらっしゃり、
それまで、私にとって演劇は、誰かに見せることが目的でしたが、
受講されている方々の「純粋に表現を楽しむ」その姿が、とても刺激的でした。


中でも、その講座を受講されていた一人のビジネスマンの変化は、
今でも忘れられません。
それが、私が、演劇を生業としていない一般の方々に教えたいと強く思うようになった契機かもしれません。

その方は、おとなしく口数も少なく、他の受講生の方々の後を追いかけている
感じで、正直「何が楽しんのだろう?」と思うこともしばしばでした。

しかし、ある日、その彼がスタジオ中を駆け回り、他の受講生を圧倒する演技をしたのです。

皆がいつもと違う彼に驚いたのは言うまでもないのですが、
それ以上に、私が驚いたのは、その変化に、彼自身は「なんとも思っていない」ということでした。

それもそのはず、私たちが「変化」だと思っていたものは、
実は、それ自体がその方の「本質」であり、
今まで内側にあったものが外側に出てきただけのことだったのです。

その姿を見て、私は、
表現とは、まさに「自らを表に現す」ことなのだと知りました。
そして、台本がないインプロだからこそ飛び越えられる表現があることに気づきました。


その人自身が無理に変わるのではなく、
その人が本来持っている力が表に出てくる。

その魅力を知り、私は本格的にインプロの指導をはじめたのです。


それから約20年、今インプロジャパンの受講生の殆どが、
演劇経験のなかった方々ばかりです。
中には、定年を過ぎてから始める方もいます。
みなさん、とても楽しそうに仲間と一緒にインプロをし、
その方だけのオンリーワンの魅力を表現してくださっています。

日本では演劇という文化は少し敷居が高いかもしれません。
劇場に行ったことがない方もたくさんいます。
チケットも決して安くないですし、開演時間に遅れると、
しばし入れないこともあります。
しかし、インプロは、気軽なお値段で見れますし、
大抵は開演時間に遅れてもすぐに入れるし、理解できます。
バーでお酒を飲みながら楽しむこともできます。

表現を観る。
表現をする。

インプロはその両方を気軽に楽しめます。
一人でも多くの方にインプロという表現の素晴らしさをお伝えすることが、
演劇への橋渡しにもなったら、とても嬉しいです。


今月末開催するミニフェスの出演者も、みんな本職は演劇とは全く関係のない世界です。
「インプロ」を通して「演劇」の魅力を知り、ご自身の魅力を次々に表現し、
感動を生み出してくれています。

是非、観にいらしてください。


最後に、海外では、インプロを様々な分野で活かすためのネットワークが
しっかりしています。
それをいち早く取り入れたファシリテーション養成を目的としている協会(AIFA)のワークショップが
12/1(土)、東京で行われます。

演劇であるインプロがどのように日常にいかせるのか、変化を起こせるのか?
知りたくなった方はこちらもおすすめです!

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2018年10月31日

〜ご挨拶〜 池上奈生美(インプロジャパン代表取締役)

本日、インプロジャパンは17歳になりました。
この期間、どれだけの方に助けられ、
イエスアンドをしていただいたかわかりません。
本当に、感謝の思いでいっぱいです。
ありがとうございます。

この17年を振り返ると、どの瞬間も「楽しい」時間ばかりでした。

我々が企業様等で実施している「インプロシンキング研修」では、
最初に5つの約束をしていますが、その中に、「楽しむ」という項目があります。
実際には約束などしなくても、5分もすれば、どなたも自然と大笑いして参加してくれていますが、
「研修」というと、「真面目に受けなくてはいけ ない」「笑ってはいけない」というイメージがあり、
つい意識がそちらにと られるので、敢えて最初にこの約束を言わせていただいています。

ただ、ここで加えて皆さんにお伝えしていことは、
自発的に「楽しむ」ことについてです。

ゲーム、バラエティ、お笑いなど、楽しいことが溢れている昨今、
「楽しむ」とは、ついつい受動的なこと、楽しませてくれるナニカがあるから楽しむということになりがちです。
でも、「楽しむ」ということは、自発的な行為であり、楽しもうという気持ちがそこにあれば何でも楽しくなります。
インプロシンキングの「楽しむ」とは、まさに自発的なこと。
どんな場合でも、そこに「楽しむ」ことを見つけられる力です。

この「楽しむ」を誰かと共有していると、
自然とそこには尊敬、感謝、愛念が溢れいていきます。
そして、その中で創造を共にしていくと、
自然と発見、気づき、感動が溢れていきます。

私が言うのもなんですが、インプロジャパンの受講生たちは、楽しむことの達人です。
どんな瞬間でも、大声で笑い、楽しんでいます。
すると、一見うまく行かなかったシーンの中にも、輝くものを見つけられ、
それこそが真実だと、気づけるのです。
たとえシーンがうまくいかなくても、「うまくいかなかったね」と大笑いを したり、
どんなにゲームが難しくても「難しいことって楽しい!」と何度も何度も挑戦しています。
そしてクラスが終わった時、いつもその場に信頼と 歓喜と憧れが溢れているのです。

もし、読者の方で「なんか楽しいことないかな〜」とふとつぶやいていたら、、
どんな場所でも楽しむことを見つかられる力を、インプロで身につけてみませんか?

私はたくさんの仲間のおかげで、17年間このような素敵な場に居ることができました。
私こそ皆さんに対して尊敬と感謝と憧れでいっぱいです。

これからも、日本中に「楽しむ」ことを届けられるよう、また一歩一歩頑張っていきたいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。



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2018年09月14日

池上奈生美コラム〜「おもしろきこともなき世をおもしろく」〜 

「おもしろきこともなき世をおもしろく」
高杉晋作の有名な辞世の句、です。

今月17日に平均年齢56才のIJメンバーによるシニアチーム
「IJ Soul Project」の旗揚げ公演をいたします。

このメンバーのインプロをみていると、
時折、この句が浮かんできます。
戦後、高度成長期に生まれ、バブル時代を謳歌したメンバーたち。
その世代は、前例のないことに挑戦することを許された世代。
言うなれば、おもしろいうことを見つけ出す達人ばかりです。
メンバーたちは、全員プロの役者ではありません。
それぞれ、仕事を持っている社会人です。
情熱を持って仕事をし、その上で人生をより面白くすることを探し続け、
インプロと出会ってくれました。

「おもしろきこともなき世をおもしろく」
この句はここまでが有名ですが、
下の句(高杉晋作が詠んだものなのかは議論が残っていますが)は、
「すみなすものは心なりけり」です。

ー面白いと思えることのない世の中を面白く。
それを決めるのは自分の心もち次第ー

インプロを長く続けている受講生たちは、
私生活でも変化が起きているようです。
はじめは、仕事以外に面白いこと事を探しにインプロジャパンに来ましたが、
段々、仕事の場でもインプロを活かすようになり、
気がつくと、以前よりも仕事が面白くなってきた。そうです。

以前は、仕事の話はあまりしなかったのに、
段々
「クレーマーのお客と話している内にすごく仲良くなったんです。」
「この前、思い切ってこんな企画をしたんです。」
「最近ルーティンワークに、こんな工夫をして楽しんでるんです。」
そんな風に、ご自身の生きる場をどんどん面白くしています。

17日に出演する6名は、その代表のようなメンバーです。
プロの役者ではないので、決して、お芝居が上手なわけではありませんが、
インプロで大切な、
「お互いを受け入れる力」
「自ら変化を起こす力」
そして、
「どんな状況も楽しむ力」
を十分に持っているメンバーたちです。

「人生にはこんな楽しみ方があるんだ。」
そんなふうに感じていただけたら、この上ない喜びです。

是非是非、観にいらしてください。
お待ちしております。

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2018年08月13日

池上奈生美コラム 〜「誰かのために自分が変わる」〜 

ありがたいことに最近、教員の方を教える機会が増えています。
インプロに限らず「演劇教育」「表現教育」ということが
注目されているからでしょう。嬉しい限りです。
教えるプロの方を教えるのは緊張しますが、
「教えるプロ」は「学ぶことのプロ」なんだなと、いつも敬服いたします。

先日も、教員の方を対象にしたインプロセミナーがありました。
いつもは、学生の方々を教えている先生方に、
子どものようになって楽しんでいただきました。
しかし、もちろん楽しむだけではありません。
振り返りでは、自分のこんなところに気づいた。」
「こうしていきたい。」と真摯に自分と向き合う姿勢に心を打たれます。


インプロセミナーに受ける方で、時折、ツールとしてゲームの内容を知りたい と 来られる方がいます。

子どもたちと一緒に遊ぶ方法が知りたい。
子どもたちにやらせるゲームを知りたい。

と、一生懸命ルールを記録されています。

しかし、インプロを受講されているうちに、
「大切なのは、その手段を知ることではなく、自分が変わることなんだ」
と、皆さん、お気づきになります。

セミナーの前半では、ゲームのルールについて質問されていた方が、
後半では、ご自身について振り返り、自分が変わることで子どもたちに
還元できることを語ってくださいます。


インプロジャパンのレギュラークラスにも、
教員の方が何名かいらっしゃいます。
その方々もみんな、インプロを理解するためではなく、
「子どもたちの気持ちをすぐに感じ取れる自分になりたい。」
「子どもたちの変化に気づける自分になりたい。」
「子どもたちの想像力に、応えられる自分になりたい。」
と、いう想いで通ってくださっています。

皆さんのその後ろに、生徒のお一人お一人の顔が浮かんでくるようですし、
振り返りのお言葉に、子どもたちをもっと幸せにしたい、
という熱い想いが、伝わってきて、いつも感動しております。

「誰かのために自分が変わろう。」
こんな素敵な関わりがどんどん広がっていってほしい、
そのために、私自身ももっともっと変わっていこうと思います。


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2018年07月17日

池上奈生美コラム 〜「生徒の数だけ創造がある」〜 

「以前、池上さんにこんなことを教えてもらった。」
と、言われることがあります。
有難くとても嬉しい事なのですが、
恥ずかしながら、その場面は覚えていても、
言った記憶がないことが少なくありません。

というのも、それは「覚えていない」のではなく、実は「言っていない」
ということもあるように思います。
その内容について、確かに私もそのように思うところではありますが、
実際に、そのことに気づき、言葉にしたのは、
私ではなく、その方自身であることが多いのです。

インプロジャパンでは、段階を踏んで学べるようにクラス設定をしていますが、
クラスは毎回即興です。
その回ごと、テキスト通りに進んでいくわけではありません。
そもそも、インプロは講師が教えることを生徒が覚えるというものではまったくなく、
講師の役目は、受講者の「気づきを促すもの」です。
ですから、その気づきは人それぞれ違っています。
逆を言えば、こうなって欲しい、これに気づいて欲しいと思うことも、
講師のおごりなのかもしれません。

同じことを教えても生徒によって得られる質も量は変わっています。
その個性に合わせた指導を心がけていますが、教える側が望んでいることではなく、
その方が望むものが生まれていきます。
たとえば、講師として「あー今日は、伝え方が良くなかった。」と思うことありますが、
それでも「今日はとても勉強になりました。」と気づいたことを熱弁してくれる生徒は少なくありません。
それは、受講生側の感度の高さの表れです。

私と生徒さんの間には、常に創造の化学反応が起きていて、
その生徒さんの中でその瞬間瞬間創られている何かがあるのだと思います。
だから時として私が教えたつもりは全くないことを、
「以前、池上さんにこんなことを教えてもらった。」と言われることがあります。
ちょっとずるいですけれども、それはそれで嬉しくもあります。

インプロのステージの上でも常に受信発信の中で変化が起きているように、
クラスの中でも私の口から出た言葉は生徒に届く間に、
もうすでに変化を起こし、もうそこで何かが生まれているのだと思います。
ですから、発信受信発信受信、この4つの最後に
何がその生徒さんの中に生まれたもの、
それがその日の創造したものなのです。

生徒の数だけ創造がある。
それを観ている講師は、実はクラスが終わった時、
一番多くのものをもらっているのだと思います。

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2018年06月18日

池上奈生美コラム 〜「インプロの楽しみ方〜観劇編〜」〜

最近は嬉しいことに、あちこちでインプロのパフォーマンスが観られるようになり、
今月も、いくつもの公演が開催されていました。

そして、いよいよ今月末には「IMPROJAPAN PROJECT 2018」が始まります!

そこで、今回は、私が思う「インプロの楽しみ方」をお伝えします。

ーーその1「積極的に参加する。」ーー
インプロの参加の仕方はいろいろあります。

<タイトルを提案する>
タイトルを提案するのはインプロの醍醐味です。
公演によって、アンケートのように事前に紙に書く場合と、
その場で役者から聞かれる場合があります。
どんなお題でも大丈夫です。
「気の利いたこと言わなくちゃ」と思わず、是非「これが観たい」という素直な感覚でご提案ください。

<大笑い、拍手>
インプロは静かに見ている必要はございません。
客席の空気を気にせず、笑いたい時に笑って、拍手してください。
お客様の反応によって、役者たちのテンションは確実に上がり、
より良いショーになります。

<ステージに上る機会があれば出る>
公演によっては、実際にステージに上る機会があります。
そんな時、躊躇せず、ぜひ上がってください。
難しいことをさせられることはありません。
必ず役者たちがフォローしてくれます。
俳優気分を味わい、素敵な思い出を作ってください。

ーーその2「自分だったらこうすると想像する」ーー
インプロの物語は、その場で創られていきます。
役者たちも先を知らず、演じています。
ステージ上にいる役者全員が、「こうなるんじゃないか」と、
想像しています。
役者と一緒にその先の展開を想像し、時に共感し、時に違いを楽しんでください。

ーーその3「役者の個性を楽しむ」ーー
インプロは瞬間瞬間、役者たちの選択によって進んでいきます。
その選択や、反応には、演じているキャラクター以上に、役者自身の個性が溢れています。
「そういう発想があるのか」
「そのリアクション新鮮!」
と、お気に入りの役者を見つけてください。

ーーその4「イエスアンドのチームワークを楽しむ」ーー
どの役者もイエスアンドをしています。

でも、イエスアンドの仕方はそれぞれ違います。
一見否定しているように見える関わりこそ(例えば敵対する役など)、
お互いの意図を読み取り合える、深い信頼関係によって成り立っていることが
あります。
お互いが助け合い、尊重し合い、進んでいくのです。
どんなストーリーになっても、絶対お互いを見捨てない、熱いチームワークを
お楽しみください。

ーーその5「終演後も楽しむ」ーーー
インプロは、観る方によって、面白かったポイントや、
時にストーリーさえ、違って見えてきます。
是非、終演後、お連れ様と一緒に「私ここが面白かった」
「こう思った」と盛り上げってください。
また、ご自宅に帰ってご家族とインプロのゲームをするのも、
お薦めです!

いかがでしょうか?
インプロを観たことがある方も、ない方も、
ぜひ、ご参考にして、さっそくインプロの公演にいらしてください。
そして、是非、ご自身で6つ目の楽しみ方を見つけてください!

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2018年05月15日

池上奈生美コラム 〜「相手の立場になって考える。」〜 

「相手の立場になって考える。」
よく言われることですが、簡単ではないですよね。
むしろ、不可能なことでしょう。
でも、やはり「相手の立場になって考える」ことはとても大切です。

私達は、相手の気持を100%理解する事は不可能とわかった前提で、
少しでも相手を理解しようと、相手の立場になって考えます。
時には、本人以上にわかったつもりになって
「彼はきっとこう思っているんだよ。」と、
仮定することから、次へのアプローチを考えたりもします。

その時大切なのは、
・100%相手を理解することは不可能という自覚
・100%に近づく努力をし続けること
ではないでしょうか。

インプロのゲームに「キャラクターチェンジ」というゲームがあります。
シーンの途中で、合図がなるとその瞬間に演じている役を交換するというゲームです。
たとえば、
自分が男性役で「結婚してください、」と、目の前の女性にプロポーズしたとします。
その瞬間に合図がなったら、プロポーズされている女性の役になるのです。
まさに、「相手の立場になる」を実践できるゲームです。

もちろん、すべてお芝居ですので、お互いの感情も演じているものではありますが、
発信していた側が一瞬にして受信する側に回る。
完全に相手になりかわり、自分の問いかけに、自分で答える。
そのことで、
「こういうこと言われたら、こんな気持になるんだ。」
「こういうことされたら、こんな感覚になるんだ。」
ということを瞬時に体験できます。

パフォーマンスのためのゲームですので、
演じている時はストーリーや演技に夢中になりますが、
終わってみると、いくつもの人物を体験でき、
いろんな視点、感覚の充実感があります。

私はこのゲームをやる度に、相手に対する丁寧さが足りないことや、
自分本位の解釈をしてしまっていることに気づかされます。

相手の立場を理屈で理解するのではなく、
その人になったつもりで、その状況の中に身を置いてみる。
理解ではなく、感情を共感しようとしてみることで、
自分だけの価値観を超えた新しい景色が見えきます。
日常生活でも、時にキャラクターチェンジをしているくらい、
相手の立場になって、理解する努力をしていきたいと思います。

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2018年04月16日

池上奈生美コラム 〜「私」から「私たち」へ〜 

クラスを進めていくと、受講生の皆さんにある変化がおきます。
最初のころは、「私は〜」と言っていた方々が、
いつの間にか「私たちが〜」と言うようになっていることです。
すると、課題も目標も、個人からチームに変わっていきます。

初めは、個人の発想力、想像力、実行力が課題だったのが、
チームに対する発信力、傾聴力、柔軟性へと、広がっていきます。

その変化は、クラス後の振り返りにも表れており、
「もっといいアイデアを言えばよかった。」
「今日は、あまり活躍できなかった。」
「もっと違うキャラクターに挑戦したい。」
から、
「〇〇のアイデアにもっとみんなで集中すればよかった。」
「みんなで目的が共有できてよかった。」
「次回は、◯◯が主役になるようにサポートしたい。」
というように、変化していきます。

それぞれ自分の行動や選択が、どの様に仲間に影響を与えているのか、
仲間が自分に何を求めているのか、に敏感になっていきます。
そして、自然と、自分がやりたいことよりも、チームがやりたいことに
意識がいくので、より多くの可能性を感じ、受容力も高まっていきます。

そうなると、それまで悩んでいた個人の課題すら小さなことに思えて気にならなくなり、
それがいつの間にか克服へとつながっていくことも少なくありません。
まさに、人と人との関わりが足し算ではなく、掛け算となっていくと言えるでしょう。

こういった意味でも、なるべく早い段階で、「私」から「私たち」に意識の転換をさせるのは有意義なことです。

新学期がはじまり、今月はインプロを活用した我々のメソッド『インプロシンキング』でも、
新人研修、新入生向けワークショプのご依頼をたくさん頂いています。
初めて握手をする、初めてお互いの名前を呼ぶ、初めて共通の目的に向かって行動する。
そんな新鮮な空気の中、できるだけ早く、みなさんの意識を「私」から「私たち」に変えていく。
そのことは、今後の組織での活動に良い影響を与えてくと思います。

そのためにも私自身がまず率先して、
講師という「私」にとどまらず、みなさんの中に飛び込んでいき、
一期一会のチームの「私たち」を創っていきたいと思います!

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2018年03月15日

池上奈生美コラム 〜「その場の流れをつかむ、感じる」〜 

平昌オリンピックすごかったですね!
アスリートたちの4年間の努力の上に立つ瞬間の輝き、
どの種目も、その姿に興奮しました。
そして、現在行われているパラリンピックでも、
更に、アスリートが秘めているあらゆる力の凄さに感動しています。

さて、オリンピックと言えば、
先日、ある企業様で、元オリンピック・メダリストによる講演会と
それに続いて、我々の「インプロ・シンキング」という
アスリートとのコラボレーションによるチームビルディング研修が行われました。
講演会でのお話は、オリンピックでの経験や、トレーニングのでの出来事など、
トップアスリートならではの体験談で、とても興味深い内容でした。
また、登壇された方は、ペア競技の選手でしたので、
パートナーとのチームワークにも焦点を当てて、お話をされていました。

試合では完璧な呼吸なので、普段どれほど仲がいいのかと思うと、
プライベートではほとんど行動を共にしないそうです。
そんなお二人が、どうして息が合うかというと、
相手を直接意識するというより、
「その場の流れをつかむ、感じる」ということでした。

そして、講演会の後は、まさに「その場の流れをつかむ、感じる」ことを実践できるインプロ研修です。
頭では理解できていても、はじめは「場を感じる」ということができずに、
パートナーともなかなか合わない…といった皆さんが、
ふとした瞬間に、お互いにその場の流れをつかみ、
集中し、意識が揃っていくのを感じ始めます。
すると、言葉を発せずとも合致しはじめ、共鳴しているようでした。
まるで、ペアでありながらも、一つの空間において一人の人間が
本当に動いているような瞬間でもありました。

コミュニケーションは、相手の発言を理解したり、明確に伝えたり、
とロジカルなことからのアプローチも必要ですが、
体感していく、肌で感じることにより、伝わってくることがあります。
相手の思考のスピードに合わせたり、表情から感情を感じ取ったり、
相手の理解に寄り添ったり・・・

アスリートたちは、それぞれの競技のためにトレーニングしていますが、
ある意味、私達の日常も日々コミュニケーションのトレーニングをしているようなものかもしれません。
その感度を高め、人生のパートナーたちと、人生の金メダルを目指し、
このペアだからこその瞬間の輝きを味わっていきたいですね。

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2018年03月01日

池上奈生美コラム 〜「もし、このような態度(行動)をしたら」〜 

インプロジャパンでは、マナーや思いやりなど、
モラルや社会のルールをテーマとした講演依頼を頂くことがあり、
そんな時、時折、インプロを活用した演劇形式で、
尚且つ、参加型といった一風変わったスタイルをお届けすることがあります。

そのスタイルは、まず、ご依頼くださった団体様が、
現在抱えている問題を事前に確認し、それを基に、
架空の設定で台本を作り、その劇をご来場の方々にお見せします。
その後お客様やご参加者から、
「どのようにしたら、もっと良くなるか?」と、
ご意見を聞き、役者はその通りに即興で演じるのです。

つまり、現在、このような問題があるが、
「もし、このような態度(行動)をしたら」
どのように未来が変わっていくかを、
目の前で体感していただくことができます。

過去には、「防災意識を高める」や「江戸しぐさから日常を考える」などを
テーマに、このスタイルの講演会を実施したことがあります。


昨年も、ある青年会議所様から、学生たちに「武士道の精神」を
日常で活かすことを伝えられないか、とご依頼を頂きました。
その時も、担当者の方と何度かお打ち合わせをし、
最終的に”チームワークがうまくいかない架空のサッカーチーム”の設定を
演じ、武士道の精神によって1つになっていく内容に決まりました。
そして、新渡戸稲造が言う武士道には、義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義が
ありますが、特に、「誠」「名誉」「礼」を中心に、台本を作りました。

この作品において、聴講の方々に投げかけた課題は
「目先の勝利だけをみて、未来を見失っていいのか?」でした。
そこで、勝ちたいと思うがあまり反則ギリギリの行為をしようとする
サッカーチームの様子を演じ、その後、学生の方に、武士道の精神を生かした場合、
どのような行動ができるか?と、伺ってみました。
すると、
「ずるい行動をして勝つより、1回位負けても正々堂々と戦ったほうが、
チームの未来の為になる。」という心強い意見がありました。

その後、その意見を基に、即興で演じ直し、
物語は、とても明るく可能性に満ちた内容に変化していきました。
即興ですので、役者も観客もその場でその違いを感じ気づくことができます。
その学生の方のおかげで、私達も大切なことに気づき、
とてもすがすがしい気持ちになれました。


講演会というと、登壇者が伝えたいメッセージを伝えるという印象が
あるかと思いますが、「インプロ的講演会」の場合は、
講演会を通じて、登壇者と参加者(聴講者)が一つの答えを
一緒に導き出すことが出来るのです。

現に、この時も、学生さんの視点からの言葉から誕生した作品では、
テーマを超えて、
「目先のことだけではなく、先の未来や周囲のことを感じ取れる強い意志を
もつことが大切なんだ」ということを教えてもらうことになりました。


インプロも私達の日常も演じ直す事はできませんが、
このスタイルの講演会を実施するたびに、
選択を求められるその瞬間に、
自分の人生のステージからちょっと降りて、客観的視点から考えてみる。
「もし、このような態度(行動)をしたら」どのように未来が変わっていくか。
そういった冷静な見方や、他者の意見に耳を貸すことの大切さを、
身にしみて感じています。

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2018年01月10日

「新年のご挨拶」〜池上奈生美

「今年の目標」

インプロジャパンでは、毎年「今年の目標」を
メンバーたちに書いてもらうボードがあります。
そのボードは、スタジオの一番目立つ場所に1年間飾られます。
つまり、自分の目標であってもスタジオに来る多くの方々の目に触れ、
その方々に対して「宣言」するようなものです。
インプロと直接関係ないことも多々あり、2018年自分がどうありたいかを想像 し、
みんな真剣に書いてくれています。

1年経った時、達成されてる人もいれば、その先に向かっていった人もいます。
中には、他の人の目的に憧れているうちに、自分の目的を忘れ、
そちらを達成した人もいます(笑)
みんな、そこに書き宣言することで達成率は上がっているように思うのです。

私も毎年書かせてもらっています。
今年は、「願いを持ち続ける」と書かせていただきました。
どんな行動にも、どんな思いにも、
必ずそこにもは「願い」があるはずです。
でも、ついつい忙しくなったり、目の前に美味しいご褒美があると、
「願い」とは違う選択をしてしまうことがあります。
そのせいで、2017年には幾つもの反省を残してきました。
今年は、365日「願い」を忘れず、
自分に正直な選択を常にしていきたいと思います。

ここで言う「願い」は、「インプロジャパンの5大目標」のような
現実を変える具体的な目標ではありません。
もっと根っこにある、私自身が「どんな人間でありたいか」ということです。

今、この瞬間目の前の方にどんなオファーを出したいのか、
今、この瞬間目の前の方のオファーをどう受けたいのか、

です。

インプロをしていると、この瞬間のオファーの受発信が、
いかに大きなことであるか思い知らされます。
たった一瞬、不誠実な受け方をしたことで、
不本意な結果になることは、多々体験してきました。
もちろんその不本意というのも、結果的に
新しい道ということではあります。

しかし、今年は、その「願い」を忘れることなく365日積み重ね、
自己成長に繋げていきたいと思います。

さぁ、私はここに宣言してしまいました。年末には、皆様に達成の御礼が
できるよう、精一杯がんばります!

皆様は、今年どのような願いや目標をお持ちでしょうか?
是非、お近くの方に宣言されてはいかがでしょうか?

皆様の、願いや目標が花開き、輝く1年となりますこと、
心よりお祈り申し上げます。

本年もよろしくお願いいたします。


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2017年12月15日

池上奈生美コラム 〜「プラスのエネルギーを与え合う」 〜

皆さんは「コミュニケーションが上手な人」という言葉に
どんなイメージがありますか?

人見知りしない人。
積極的に話せる人。
自分から関われる人。
いつも笑顔な人。

などでしょうか?

確かに、このような人を見ると、とても魅力的で、コミュニケーションが上手だ なぁと思いますよね。

コミュニケーションとは、「交流すること」ですよね。
そして、それは相互作用であり、お互いに何かしらの情報やエネルギーをやり取 りしあい、変化することです。

と、すると、コミュニケーションが上手な人とは、上記の他に、
お互いに「プラスのエネルギーを与え合える人」ということも、
大事な要素なのではないでしょうか?

一方向の笑顔だけではなく、相手の笑顔も引き出せる人。
一方通行の思いではなく、相手の思いを引き出せる人。
頼らせてもらう、頼ってもらう。
聞いてもらう、聞かせてもらう。
関わることで、自分も相手もプラスに変化し合える人。

インプロのクラスでも、良い空気が流れている時は、
クラス全員が響き合いお互いにプラスのエネルギーを渡しあっています。

そして、クラス後はいつも
◯◯さんのおかげで、〜な挑戦ができました。
◯◯さんのおかげで、〜な気づきがありました。
◯◯さんのおかげで、〜なことをやりたいと思いつきました。

このような振り返りが多く聞かれます。
しかも、○○さんというのは、そのクラスのある一定の人を指すのではなく、
どなたの名前も挙がるのです。

「ありがとう」
「こちらこそ」
これが、心から言える人・・それこそ、コミュニケーションの達人と言えるのではないでしょうか。

12月15日からインプロミニフェスティバルが始まります。
ステージ上ではまさに、プラスのエネルギーのキャッチボールが見られます。
そのエネルギーは必ず客席までお届けします。

是非是非、観にいらしてください。

そして、2018年も沢山のプラスのエネルギーを皆様からいただきました。
有難うございました。
2018年は、その倍のエネルギーをお届けしたいと思います。

良いお年をお過ごしください!

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2017年11月18日

池上奈生美コラム〜「分かり合える喜び」〜

今年の7月より、「大人のインプロ」としてR50クラスを
祝日の度に開催しています。
その日だけ参加する方もいらっしゃいますが、多くは、
他のレギュラークラスを受講しているメンバーたちです。
つまり、そのメンバーたちのインプロは毎週見ているのですが、
同年代が集まる「R50」になると、
本当に同じ人だろうか?と、思うほどいつもと違う自由さを見せてくれるので す。

同じ世代というだけで、共通している世界があります。
たとえば、黒電話、写りの悪いテレビ、巨人大鵬卵焼き、
など、誰かの一言で次から次に、
「あ〜あれね!」と体が反応し、
その時代の景色が生まれていくのです。

懐かしい過去を思い出すことは、それだけで脳にとっても良い刺激になります。
その上インプロは、その世界の中で仲間と共有される新しい体験が重なり合う
ので、さらに脳が活性化されていきます。
「R50」クラスの後の打ち上げが、とても盛り上がるのは、
ご想像できると思います。

ただ、ここで思うのは、分かり合えることの喜びを感じるということは、
私たちは、自然と「分かり合いたい」という意識があるということです。

それは、相手が誰であっても、例え共通していることが少なかったとしても・・
です。

例えば、どのメンバーも、違う世代の方とのインプロを、みんな楽しそうにしていますが、
その一方で、自然と、相手のことを考え、
・これは伝わるだろうか?
・これは受け入れられるだろうか?
・これは相手の意図にあっているだろうか?
と、その瞬間に思考し、自分の表現を選ぶことがあります。

これこそが、
「分かり合いたい」という願いの現れであり、
協力し創造していきたいというコミュニケーションなのではないでしょうか。

伝わらないから、諦める、のでも
分からないから、関わらない、でもなく、
「分かり合いたい」という思いのもとに、
様々な表現を探っていく。

その関わりが、円滑なコミュニケーションを生み出すのだと思います。

来月15日(金)〜17日(日)に、インプロジャパン主催の公演があります。
どの公演も、様々な年代のパフォーマーの共演です。
全員、世代の違う仲間を「分かり合いたい」と切磋琢磨しております。

是非、観にいらしてください!

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2017年10月01日

〜ご挨拶〜  秋山桃里

ここ数年、「VUCA」「アジャイル」など、
即応力に関係するキーワードが注目を集め、
やっと時代がインプロに近づいてきた感を強くしています。

これから時代の変化はますます加速度を増し、10年もすれば、
今とは全く違う世界が広がっていることでしょう。
しかし、その変化は私たちが作り上げるものです。
自然が司る変化以外は、私たちの想像力から生まれます。
言い換えれば、私たちが想像したものが、私たちの未来になるのです。

何もないところから始まる即興劇は、ある意味、未来を作る作業です。
未来を皆で協力しながら作り上げていくのです。
あなたの頭の中には今どんな未来が描かれているでしょうか。
その未来を皆で共有しながら、これからもインプロを通じて、
共により良い未来を作っていければと思います。

〜ご挨拶〜 池上奈生美(インプロジャパン代表取締役)

本日、インプロジャパンは16歳になりました。
この期間、どれだけの方に助けられ、
イエスアンドをしていただいたかわかりません。
本当に、感謝の思いでいっぱいです。
ありがとうございます。

16年前、演劇のことしか知らなかった私は、
社会人の方に指導することに、いつも緊張していました。
特に、目上の方には言葉を選ぶのに必死でした。
研修では、今よりも女性講師も少ないですし、
「なぜコミュニケーションを学ばなければいけないのだろう?」
という空気がありました。
演劇出身の講師に対して、当惑している方も。

そんな中、つねに私に自信を与えてくれていたのは、
受講生の方々の変化でした。
はじめは不安そうな方が、クラスが終わると目を輝かせ、
大きな声で笑いあっている。
その姿を拝見する度に、私は、インプロが持つ力を目の前にし、
「たとえ自分に自信を持てなくても、『インプロ』には自信を持とう」
そう、思っていました。
おかげさまで、今では、人生の先輩方にも、
私の言葉で胸を張って「インプロ」の素晴らしさを伝えられています。

先日、あるテレビ番組のプロデューサーとお話をしました。
すると「インプロは、子どもとか大人とか、
うまいとか下手とか無いですよね。本質ですものね。」
と言ってくださいました。
嬉しかったですね。

そうなんです。
大人だからこうあるべき、子どもだからこうあるべき、
親だから、子どもだから、男だから、女だから、社長だから、教師だから、、、、
こんな「こうあるべき」はインプロにはありません。

今も、インプロジャパンのクラスでは、
いろんな年齢の方、いろんな職業の方が、一緒になって楽しんでいます。
それぞれが違うから、
「自分のままでいる」
それだけでもう誰にとっても「特別な存在」です。
これからも、その特別さを見つけ、引き出し、輝きを増す場を創っていきたいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

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