2022年09月19日

池上奈生美コラム〜 「 全校児童でインプロ」 〜

先日和歌山の小学校で、全校児童対象の対象のインプロ公演とワークショップを開催しました。

コロナ禍で窮屈な生活をしてきた子ども達に、ご父兄の皆さんが、
「全校児童が一緒に過ごす楽しい時間を作ってあげたい」
と、企画してくださいました。

最近、全校児童が一緒に集まることもなかったことなので、
最初は少し緊張している様子。
しかし、あっという間にインプロのお芝居の世界に集中し、
声は出せないながらも、大盛り上がりで拍手したり、立ち上がって応援してくれました。
途中、3名ほどステージに上がってもらったのですが、
とっても上手で、同級生たちも誇らしげに観ていました。

そして、午後のワークショップ。
低学年生がノリノリではしゃぎ回り、高学年のお兄さん、
お姉さんが優しく引っ張っていくという様子が見えました。

最後は、いろんなが学年が合体して、即席チームを創り、
即興ミュージカルです。
ずっとはしゃいでいる児童も、恥ずかしながら演じている児童も、
みんなマスク越しでも分かるほど、とても楽しそうでした。

チュールが大好きな猫ちゃんが、ホワイトタイガーと仲良くなり、
いろんな食べ物に興味をもって健康になるお話や、
スカンクとクマが協力して森を守るお話などが生まれました。

終了後、一緒に見てくださっていた校長先生が、子ども達の前で、
「誰か決まったリーダーがグループを引っ張っていくのではなく、
みんなのちょっとしたアイデアを、そばにいる人が協力して実現していくことの大切さを教えてもらいました」
と言ってくださり、とても嬉しかったです。


ワークショップの時、私たちが言ったことは、最初に一言だけ
「今日は、お友だちが言ったことを、全部いいねって思ってみて」
です。
あとは、ただただインプロのゲームをするだけ。
その中で自然と子どもたちは、
お互いのアイデアをおもしろがることで生まれてくるお話、世界を楽しんでいってくれました。

最初から、
「みんなで協力してやらなきゃ」
ではなく、
友だちの発言、行動をまず「いいね」と思ってみる。
そんなちょっとしたモーメントの積み重ねで、きづくと協力し、
1つの作品が出来上がっている。

そういう時間を一緒に味合わせてもらいました。

私も、まずは誰かのちょっとした一言を「いいね」と思ってみることを
忘れないようにしたいと思いました。

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2022年08月17日

池上奈生美コラム〜 「想像と創造を共有する」楽しさ 」 〜

最近のワークショップのご依頼は、担当者の方から、
「コミュニケーションを楽しんでほしい」
というお声を伺うことが多いです。
ここ数年のことを思うと、当然のことかもしれません。

終わってからのアンケ―トでは、
「『研修』と聞くと身構えてしまっていたが、楽しみながら学ぶことができた」
「インプロ・シンキングの考え方を体験を通じて学べて楽しかったです」
「とても楽しく演じられた」
など、「楽しい」という言葉がたくさん並んでおり、嬉しくなります。

「楽しい」場というのは、どこにでもあるのかもしれません。

ただ、
「1人で楽しむ」と「仲間と楽しむ」では、
ちょっと意味が違ってくると思います。

私もリモートワークが増えて、自宅にいることが多くなると、
観る、聞くなどの「受信」が多くなり、
「発信」も、一方的なものになりがちで、
自分一人の「楽しい」で満足していることを感じます。
もちろん、一人での「楽しい」時間も大切です。

でも、仲間とその瞬間を楽しむ。
そこに誰かとの相互関係があることで生まれる「楽しい」は、
意味自体が全く違うように思うのです。

インプロの場合は、そのうえで、
「想像と創造を共有する」よろこびがあります。

インプロをしている時の想像、創造は、常にそこにコミュニケーションがあり、
自分が想像していることと、相手が想像していることの違い(個性)を共有することで、
それぞれの発想が掛け算となって新しい創造を生み出していくのです。

ですから、アンケートに「楽しい」という言葉があると、とてもホッとします。

そして、この「楽しい」は、その場限りの刹那的に消えていく「楽しい」ではな く、
心に深く刻まれ、その後の活力や自信にもつながっていくと信じています。

誰かと同じ場所にいてインプロを楽しめる。
そんな時間がこれからも増えていくことを願っています。

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2022年07月17日

池上奈生美コラム〜 「インプロでチームビルディング」 〜

あっという間に2022年も半分が過ぎ、7月ですね。
7月といえば、インプロジャパンでは毎年インプロのフェスティバルを開催して いました。
いろんな団体のパフォーマーをお招きし、グループを超えての共演です。
様々なグループの方との共演は、演出するのもとても楽しいです。
インプロなので、内容が変わるのはもちろんですが、
同じスタイルでも全く違う 作品になっていくので、毎年7月を楽しみにしていました。
今は、大人数を集めるわけにはいかないので、充電期間としていますが、
早くまた再開したいです。

普通のお芝居だったら稽古は2週間〜2か月、時にはもっとかかると思います。
しかし、インプロの場合は驚くほど短時間の稽古が可能です。
以前、アメリカ・シカゴのフェスティバルに行ったときには、
空港から直接劇場 に 行き、その場で30分ほど打合せとウォーミングアップをして、すぐ本番でした。
共演者の名前もわからず、打合せと言っても登場の仕方だけで、
内容はもちろんインプロですし、それぞれの英語のアクセントにも慣れないままショーはスタートしました。
ルールはただ1つ「イエスアンド」です。

ずっと、長い期間、稽古をすることに慣れていたので、
すぐにインプロを始めたことに、とても驚きました。
もちろん、事前にきちんと稽古をする団体や公演もたくさんありますし、
このシカゴの公演は特別だったかもしれません。

また、アメリカでは観客として観に行ったつもりが、
ステージに上がっていたことはよくありました。
共演者はみんなプロのパフォーマーですので、
私も何があっても安心して演じ続けることができました。
そして、どんなステージでも終わった後、1つのチームになっていることを感じます。
たった1度共演しただけで、長年の友人のように仲良くなり、
その後、離れていてもずっと交流し、何かあると助けあったり、励ましあったりしています。

チームビルディングにインプロは最適だなと、身をもって感じています。

ステージの上で、自分が素直に発したことを無条件に受け入れられる、
何があっても助けあえる、それぞれの違いを理解しようと関わり続けていく。
この経験は、ほんの数分でお互いの信頼関係を築くことができるのです。

インプロ研修でも、「チームビルディング」は2番目に多いご依頼になり、
また、学校では、新入生を対象とした「クラスビルディング」をねらいとした
ワークショップをご希望されることも増えてきています。

同じ環境にいて、同じことをしていても「1つのチームになる」というのは、
なかなか難しいことかもしれません。
職場であれば、常に目的は個々の仕事であり、
関わることもその目的にとって必要なことだけになりかねません。
忙しい職場であればなおさらです。
でも、チームであれば、たとえ仕事は個々のものであっても助けあうことができますし、
関わり方も目の前のことだけではなく、お互いの思いを感じ取りあい、
それぞれの個性を理解し、いかしあうことができます。

在宅ワークが増え、個々の仕事が増えている今こそ、
離れていても1つのチームであることが大切だと思います。

個々の仕事をちょっと横に置いて、完全に同じことにフォーカスし、
正解不正解にこだわらず、無条件にお互いを受け入れる、仲間のために行動する。
そういった時間を持つことは、その後の業務の流れにも大きく影響していくと思います。

私も海外の仲間たちとは、まだ直接会えませんが、
今でも何かあると、声を掛け合い、それぞれに頑張っているチームであることを感じています。
それが、仕事への活力にもなっています。
そんなチームメイトをこれからも増やせるように頑張りたいと思います。

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2022年06月17日

池上奈生美コラム〜 「普通のアイデアをYesandする」 〜

私は「自分のアイデアって普通だなぁ」と思うことがよくあります。

たぶん多くの方も、自分の発想は普通だと思っているかもしれません。
それはそうですよね。
自分の発想は自分が一番よく知っている”つもり”だから。
他人の発想だと、
「なんでそんな発想が出るの?」
「どう考えたらそんなアイデアが出てくるの?」となりますが、
自分の場合は、その「なんで」を知っているからです。

でも、自分にとって普通に思えるその発想は、
そもそも普通ではないかもしれません。

インプロをしていると、どんな瞬間も二度と起きることがない唯一無二の時だと感じます。
だからこそ、その場に現れてくるアイデアはすべて、
その瞬間、その人にしか生み出せない想いであり、
その1つ1つを切り取って、「普通のアイデア」ということ自体ナンセンスなのです。

ただ、一見「普通に思えてしまう」、逆に「普通ではなく思えてしまう」
ことはあるでしょう。

たとえばストーリーが最初から最後まで、
ずっと一見普通とは思えないアイデアばかりが起きていたらどうでしょう?
観ている側は正直疲れてしまうかもしれません。

どこか慣れ親しんだ理解できる一見普通の状況の中に、
時折奇抜なアイデアが現れるから全体が生きていき、ストーリーを動かしていきます。
そして、その普通ではない奇抜なアイデアは、突然生まれたのではなく、
それまでのストーリーの中に、その種がいくつもあって、
それらが目に見えないところでYesnandされていき、突然大きなアイデアとなった時、表に出てくるのです。

日常生活もきっと同じで、
突如湧き出たように思える斬新なアイデアも、
実はその前にさまざまな呼び水のようなアイデアがあり、
少しずつ周りに影響を与え刺激していき、
ある時思いがけないアイデアに変化していくのでしょう。

だから、日常の中でも
「これはつまらない」
「これは普通」
と思わず、出し続けることが大事ではないでしょうか。
そこには、いつか何かに変化する輝いた種があり、
未来で輝くアイデアを育てる ためになくてはならないものだからです。

大事なことは、「Yesand」と言っても、いつもいつも
「それは素晴らしい!!最高だ!!」と受け入れられることではなく、
さりげない、しかし確実に相手に届き響いている「Yesand」があるということです。

一気に新商品は誕生しません。
しかし、1つ1つステップアップするように、
「これもありかもしれない、大事に育てていこう」という
寄り添う「Yesand」の積み重ねが、
大きな発明、新しい創造に繋がっているのでしょう。

一見「普通に思えるアイデア」を
出す時も聞く時も大切にYesandしていこうと思います。


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2022年05月18日

池上奈生美コラム 〜 「他人」が「仲間」になり、「居心地の良い場」が広がっていく。 〜

先月のインプロジャパンは、大学、高校、中学校、、、と、
全て100名越えの大人数でのワークショップをやらせていただきました。

全員1年生で、まだ新しい出会いに緊張している様子。
インプロへの期待以上に、これから一緒に過ごすお友達と「どう接していったらいいのか?」に
意識がいっているようでした。
しかも、学生時代の最後の2年間をコロナ禍で過ごし、
卒業旅行も遠足も行けなかった生徒さんたちなので、
大人数でのコミュニケーションをも久しぶりだったようです。

先生方のご要望もあり、できるだけクラスメイト全員と組めるようにチーム分けをしていきました。

私は学生の頃、つい席が近くの生徒と友達になり、いつしかグループができて、
席が遠い生徒とはなかなか話をすることがありませんでした。
これって、とても残念なことだったなと大人になって気づきました。

私たちは誰もが「居心地の良い場所」を求めます。
しかし、いったん「居心地の良い場所」ができると、
その外に出るのはちょっと 勇気が必要だったり、億劫に感じる。。
ということありませんか?

「居心地の良さ」というのはとても大切ですが、
それを広げる努力や挑戦はもっと大切だと思うのです。
今の現状に「居心地の良さ」を感じ満足してしまい、
それ以外は「居心地が悪い」と誤解してしまうというのはもったいないですね。

その点、
インプロは、「居心地が良い、悪い」を判断する前に、「やってしまう」
というメリットがあります。
やってみると、そこには新たな「居心地の良さ」が必ず見つかります。

今回行われたいずれのワークショップでも、
はじめは緊張していた新入生の皆さんも、どんどん積極的になり、
お互いのニッ ク ネームを何度も呼びあったりしている様子をみるのはとても嬉しかったですし、
初めて話しかけた同級生と友達になっていく姿をみると、安心しました。

「他人」だった人が、「同級生」になり、「仲間」になっていく。
自然と、「居心地の良い場」が、グループからクラスへ、クラスから学年全体へ、
そしていつしか学校へと広がっていく。
この瞬間が早ければ早いほど、きっと学生生活も楽しく、平和で充実していくはずです。

そして、今月は教員研修もありました。
初任者研修でしたので、先生方にもコミュニケーションによる心地よい場への変化を
感じていただけたことは大きかったように思います。

このコロナ禍での教育現場において、
先生方にとっても、これまでとは違う環境で学校生活を過ごす生徒さんたちとの関わりは、
今まで積み重ねてきたものとは違うアプローチが必要とされています。

試行錯誤されている先生方にも、いろんな方と出会い、
直接コミュニケーションを楽しむ場が必要だったんだと、感じました。

私にとっても、
「他人」が「仲間」になり、「居心地の良い場」が広がっていき、
この積み重ねが社会への信頼や平和につなげっていくのかもしれないと
思わせていただく貴重な時間となりました。


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2022年04月16日

池上奈生美コラム〜「コミュニケ―ションのズレの中に宝物がある」 〜月刊インプロ4月号

4月に入り、新人研修が始まりました。
ほとんどが、数日前まで学生だった方々です。

学生時代のコミュニケーションは、その多くが、自分と同じ立場の人なので、
使う言語も価値観も大きな違いはないでしょう。
ですので、コミュニケーションの方法についても、さほど考える必要がなく、
その重要性は、自分にとっての心地よさに意識がいきがちです。
また、学ぶということも「試験」という目的や範囲が明確なので、
受動的になりがちです。

しかし、社会人になると、
自分とは違う立場、年齢の方々とのコミュニケーションが主になり、
その都度、相手に合わせることが必要となっていきます。
学ぶということも、その範囲はわからず、そのたびに、
何が必要なのかを自分で考え、想像し、能動的になっていきます。

インプロシンキングの新人研修では、この
学生のコミュニケーションから社会人としてのコミュニケーションへの
違いを意識する第一歩となります。

研修の初めは、
「ご自身にとってのコミュニケーションの課題は何ですか?」と聞くと、
ほとんどの方が、あいまいな答えだったり、中には、
「特にないです」と、やや受け身であった受講生の方も、
研修の終わりには、
「自分の中の固定概念に気づいた。相手の意図をちゃんと理解していないまま会話を
終わらせていて、これからはもっと聞くことに積極的になりたいと思う。」
「YESANDでこんなにも空気が変わることに驚いた。会話が楽しくなり、
相手の方も笑顔になっていき、共有していることを実感できた。もっと挑戦していきたい。」
など、振り返りの時間が大幅に伸びるほど、雄弁に語られます。

普段の生活では、問題が起きないとミスコミュニケーションは気づきにくいものです。
しかし、インプロをしていると、お互いの受発信の瞬間に、
「ズレ」ていることに気づくことができます。
そして、この「ズレ」の中に、宝物があることに気がつけるのです。

コミュニケーションとは意思疎通をすることですが、
どんな人とも100%の意思疎通は不可能です。
ですから、必ず「ズレ」は生じるといっていいでしょう。

誰もが、その人独自の考えや価値観があり、慣れ親しんだ伝達方法があります。
その違いによる「ズレ」に気づかないと、それは「固定概念」や「思い込み」のまま
ミスコミュニケーションを生んでしまいますが、
その「ズレ」に気づいたとき、それは、「発見」「学び」「共感」につながって いきます。

私自身、インプロをはじめるまでは
「コミュニケーションを学ぶ」ということの意義がわかっていませんでした。
しかし、インプロをすればするほど、
「相手に伝えきれていない」こと、「自分も理解しきれていない」ことの多さに気づかされます。
そして、それを知ることで、自分の人生が豊かになっていくことを実感しています。
「あ〜そういう価値観があるのか」
「なるほど、こういう考え方があるのか、自分も実践してみよう」
と、「ズレ」に気づくたびに、自分が成長し、挑戦したいことが増えていくことを感じるのです。

昔は、一人の時間を大切にしていましたが、
今では、自粛生活などで、1日誰とも会わないと、
人生の中の1日を無駄にしてしまったような気さえします。

人生を豊かにするためにも、
「ズレ」の中にある宝物を掘り出していきたいと思います。

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2022年03月15日

池上奈生美コラム 〜「インプロに国の違いはない」〜月刊インプロ3月号より

先日の「IJ talk PROJECT」で、海外のインプロについてお話しました。
アーカイブがこちらです。

【IJTP vol.24】インプロで世界とつながれた(1)
https://www.youtube.com/watch?v=jVkYUfNsRn0
【IJTP vol.25】インプロで世界とつながれた(2)
https://www.youtube.com/watch?v=DzuZ49KeSEc&t=305s

私は、7カ国でインプロをしており、共演したパフォーマーは20カ国以上だと思 います。
どこも、とても貴重な体験でした。

しかし、「どの国が印象的だった?」とか「どんな違いがあった?」と聞かれる と、本当に困ってしまいます。

なぜなら、インプロをしているとどこも「同じ」だからです。
たとえ言語が違っていても、インプロのシーンをしているときに
「この人はアメリカ人だからこうしょう」とか
「この人はイギリス人だからこう言おう」ということは、全くなかったです。

私達の共通言語は「イエスアンド」であり、
それ以外の違いは、国の違いではなく人の違い、つまり個性でしかないのです。

そして、思い返すと全員、
インプロが大好き=インプロをしている人が好き
という思いが伝わってきていました。
ステージ以外でもイエスアンドにあふれていて、
ちょっとでも困ったことがあると、すぐに助けてくれ、何倍ものサポートをしてくれるのです。

ショーの時は、始まる前から「あなたとインプロができて嬉しい」と
みんなで伝えあっていました。

「イエスアンド」つまり「すべてを受け入れ合う」。
それはある意味、
「自分の思い通りにならない」という世界でもあります。
自分は生徒の役をやりたいけど、他の人に「先生」と呼ばれたら、
その瞬間に自分の意見を捨て、相手の意見にのっかります。
たとえ、「自分が生徒をやったほうがいいのに」
「生徒役ができたら、すごいお話のアイデアがあったのに」
と思ったとしても、そこにはこだわらず、
相手を受け入れ、全力でサポートします。
それを、どの国のパフォーマーも、とても幸せそうにしていました。

はじめてサンフランシスコのショーに出たとき、
夫婦の会話のシーンが続き、その途中で入らなくれはいけませんでした。
しかし、緊張した私はいつも以上に英語が聞き取れず、夫婦の会話がわからず
とにかく、突然入ってもおかしくない設定、としてお腹の中にボールを入れて、
不倫相手が「あなたの子ができたんだけど、奥さんと別れて」と入ってくる設定にしました。
おそらくそれまでの会話とは全く関係ない流れです。
でも、私が入った瞬間に2人はその状況を受け入れ、夫婦喧嘩をし、
その喧嘩がエスカレートしていきました。
いつの間にか妻は愛人に同情し、女同士の友情が生まれ、
最後は2人で強く生きようと、机の上で踊るというシーンになったのです。
ステージに出るまでは、ずっと緊張していたのですが、
ステージに出た瞬間から、安心でき楽しい時間であったのは、
2人の共演者が、それまでの自分たちの設定にこだわらず、
私という異質なものを受け入れ、イエスアンドしてくれたからです。

「受け入れる」その大前提を全員が楽しみ、だからこそ
私が何かを発しようとすると、誰もが「どんな事を言ってくれるんだろう?」
と目を輝かせ、全身で期待してくれていることが感じられます。
そして、それが期待通りじゃなかったとしても、「素晴らしい!」と受け入れ、
その何倍ものエネルギーでアンドしてくれていました。

だから、インプロは受け入れられるという「安全な場」だけでなく、
自然と何でもできる「挑戦の場」であり、
いろんなことが生まれる「創造の場」でもあるのです。

誰もが、自分の価値観や正解にとらわれることなく、
相手を認め、そこに寄り添っていきます。
そしてそれは、「自分の思い通りになる」ことよりも
何倍も面白く建設的であり、幸せな場であることを知っているからです。

そこには国の違いはないと、実感しています。

そんな世界がステージだけでなく、日常のあちこちに広がっていくことが
私の夢であり、その日のために今日も実践していきたいと思います。

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2022年02月16日

池上奈生美コラム〜「自分の観方、見方」〜月刊2月号より

よく、インプロの公演を観てくださったお客様に感想を聞くと、
それぞれ全く違った物語として、記憶されていることがあります。
「あれ?私そんな役やったっけ?」って思うこともあるのですが、
実は、それこそがインプロの魅力なんだと思います。

台本があるお芝居は、作家の思いや、演出家の意図があり、
役者、音楽、照明、衣装などが相互作用して、
1つのメッセージを届けていきます。

しかし、インプロはそのような確固たる中心を持たず、
常に変化し続けていき、誰もがどこに行くのかわかりません。
いつまでもいっても、「未完の芸術」なのです。
そして、その「未完」を埋めるのが観客の想像力です。

以前、即興一人芝居をした時、後日1人のお客様からご自身が描いた漫画をいただきました。
それは、私が演じた役のその後の物語でした。

インプロはその場で生まれ、その場で消えていくものだと思っていたので、
このように次の作品が生まれるきっかけになっていったことに驚き、感動しました。
その漫画は今でも私の宝物です。

このように、演者という提供者の意図と、観客のとらえ方、観方が違うこと、
そして、観ているだけで想像力、創造力を掻き立てられるのもインプロのなのです。

私たちの日常はどうでしょう?
〇〇はこういう見方をするもの、〇〇はこういう使い方をするものと思い込んで
いて、それ以上を想像することは、少ないように思います。
商品には、提供者からの説明書や仕様書があり、もちろん、それは必要ですが、
〇〇は「こう使うべきもの」以外の観方をすることで、より豊かになるかもしれません。

例えば、飲み終わったペットボトルは、
鉛筆立て、花瓶、米びつ、ダンベル、猫よけ、氷嚢に変化しますよね。
皆さんは、他にどのような使い方をしますか?

私は、枕をクッションとして使ったり、コップを植木鉢にしたりします。
若いころはセーターをスカートとしてはいたり、安全ピンをアクセサリーにしていました。

これらは些細なことかもしれませんが、
今や、携帯電話を電話としか使わない人はほとんどいません。

インプロでは、1つの小道具(帽子や布など)を
制限時間内にいろんな使い方をしながらお芝居を作っていくゲームがあります。
物にもいろんな可能性があるのだと、やるたびに教えてもらえる時間です。

目の前にあるものをあえて別な使い方をしてみることこそ、正解なのだと思います。
与えられた正解ではなく、自分の観方(見方)、自分の感性で日々の生活を潤していきたいと思います。

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2022年01月12日

池上奈生美コラム〜「3つの視点」〜月刊インプロ新春号より

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

今年は、「壬寅」
厳しい冬を越えて、芽吹き始め、新しい成長の礎となる年だそうです。
まさに、もうすぐ災難を乗り越え、新しい日々を始める時なのですね。
皆さまにとっても、明るく輝く1年でありますこと心よりお祈り申し上げます。

昨年のインプロジャパンは、やはりオンラインが欠かせないものになり、
おかげで、動画配信もすこしずつ慣れてきました。

そして、どんな時でも、
「それはちょうどいい!」とイエスアンドするのがインプロシンキング!
配信があることによって「第3の目」を意識し、そこに向けた感覚が鍛えられて いきました。

第1の目は、共演者
第2の目は、劇場にいるお客様
そして、
第3の目は、カメラの向こうにいる視聴者の方々の目です。

この第3の目を意識することで、今まで気づかなかったことに気づけるようにな りました。

第1の目、第2の目は、その反応を直接感じることができます。
しかし、第3の目は、チャットやアンケートはあれど、
実際に、直接その反応を瞬間に感じることはできません。

なので、そこには、「想像」することが必要になります。
自分たちが持っているコンテンツを
どのような人が、どのような時に、どのような状態で必要とするのか
そんなことを、今まで以上に「想像」しながら、
より伝わりやすいことを意識し演じています。

たとえば、インプロの場合、
動画生配信であっても、技術スタッフはいても、
映像監督はいないので、
役者自身が
「カメラに映る範囲や角度」
「聞き取りやすい発声、言葉遣い」
「適度なスピード」
など、その場決めなくてはなりません。

すなわち、
第3の目に対して、
・どう見えるか
・どう聞こえるか
・どう受け取られるか
を、具体的に感じ取れる力が必要と言え、
動画配信を重ねるごとに、その感覚に出会える回数が増えてきたように思います。

そして、この第3の目を意識することで、
不思議と、第1の目、第2の目との共有も深く強くなっていきます。
ということは、カメラを挟んだ特殊な状況だけではなく、
対面であっても、同様に意識することで、これまでと違った表現となり、
より分かりやすい伝え方ができる、ということです。
普段の日常でも、様々な出来事をより広い視野でとらえられるようになってきていることを実感しています。

今年も、さらにブラッシュアップさせながら配信を続け、
この第3の目であった方々が第2の目に、
そして、中には第1の目になってくれる方もいる。
そんな繋がりを信じて、発信していきたいと思います。

本年もよろしくお願いいたします。

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2021年12月15日

池上奈生美コラム 〜「インプロは自由」 〜月刊インプロ12月号より

もうすぐ2021年も終わりになります。
今年は皆様にとってどのような1年だったでしょうか?
緊急事態宣言が長引き、思うように移動も旅行もできなかったと思います。

そんな中、私は、
マリアナ海峡、ブラジル、地球創世記の日本にも行きました。

はい、インプロの世界の中です。

もちろん、演技という想像の世界ですが、自由に行動をしました。

実際には、ほとんど都内から出なかったのですが、
インプロのおかげで、いろんな場所に行き、体験ができることの
ありがたさを改めて感じることができました。

仲間と一緒に、海底を潜るドキドキした気持ち
見知らぬ地で歴史を探訪する好奇心
おいしいものをいっぱい食べておしゃべりする喜び

真剣に演じれば演じるほど、その場所はリアルに感じられます。
しかも、インプロですので、現実では絶対起きないようなハプニングもあり、
大冒険の連続を体験していました。

疑似体験ではありますが、
それでも体験をするということは、現実にも役立ちます。

以前、女性と話すと緊張してしまう男性受講生がいました。
最初は目も合わせられないくらいでしたが、
インプロのシーンの中では、当然目を合わせますし、
沢山お話をし、時にはデートのシーンもあります。
そんな体験を重ね、その方は、いつしか女性と話すことが楽になり、
ついにはご自身からプロポーズをし、最高の伴侶を迎えられました。

私自身も、インプロのおかげで、
異国の地に一人で行く勇気をもらったり、
王勢の前でスピーチをする自信を身につけることができました。

インプロは、物質的な制限も、心理的な制限もあっという間に取り除いてくれます。
「これは、できない。」
「ここには、行けない。」
「この人には、会えない。」
そんな思考は一切浮かびもしません。

そう、「インプロは自由」なんです。

来年は、自由にどこへでも行けることを祈りつつ、
その時、以前よりも心も自由になって楽しめるように、
多くの体験をインプロでしておこうと思います。

そんな体験を一緒にしてくれたたくさんの受講生の皆様。
本当にありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

そして、2022年は、世界中が自由になる年であることを、
心より祈っております。

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2021年11月16日

池上奈生美コラム 〜「何もしない」 〜月刊インプロ11月号より

昔、台本があるお芝居をしていた時、
ある演出家に
「今の芝居、何もしていなくてとてもよかった。」
と言われたことがありました。

私自身は、「やってしまった」と反省するくらい
ダメな演技だと思っていたんです。
それは、何も手応えがなかったからです。
当然、怒られるだろうと思って楽屋に行ったら、
演出家にも、他の方にもすごく褒められ驚いたことがありました。

よくよく考えると、それまでの私は
「いい演技をしよう」と必死になり、余計なことをしていたんだと思います。
しかし、その時は、そんな気持ちは全くなく、
ただ、その場にいて、聞いて、見て、話したくなった時に自然と台詞が口から出ていたのでしょう。
手応えは何もなかったのです。

同じことはインプロにも言えます。
経験が少ないパフォーマーほど、
「何かしなくては、」
「もっとアイデアをだそう」
と必死になり、次々にアイデアを出していきます。
また、確実な技術を得ようと手応えを求めます。

そうすると、自然と発信ばかりになり、受信することがおろそかになり、
YESANDでいう、
YESではなく、「AND,AND,AND、、、」状態です。

それでは、共演者は戸惑いますし、
結局自分が出したアイデアは、YESANDされず消えていきます。

アイデアを出すことは大切です。
しかし、それ以上に「手放す」ことが大切だと思います。
自分のアイデアであっても、口に出した瞬間、それはもう自分のものではなく
その場で変化しています。

インプロにおける技術は、毎回手応えのない感覚に飛び込めることだと思います。

いまになって、ようやく
ほんの少しですが、「何もしない」ということができるようになった気がします。

目の前に起きたことを、ただ見て、聞いて味わう。
そこから自然と生まれてくる感情に従ってみる。
何も浮かばなくても、それすら楽しんでみる。
そうすると、意外と周りにたくさんの宝があることに気がつきます。

秋晴れが続き、街を自由に歩けるようにもなってきました。
少し歩く速度を遅めて、周りを見渡し、身近にあった宝物を探してみたいと思い
ます。

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2021年10月01日

〜ご挨拶〜 池上奈生美(インプロジャパン代表取締役)

10月1日 本日、インプロジャパンは、創業20周年を迎えることとなりました
これもひとえに皆様の温かい御厚情の賜物と心より深く御礼申し上げます。

数年前から、「20周年を大きなパーティーをしたい。」と企画していました。
まさか、大人数で直接会うことができない状況になるとは思っていませんでした。
人生は何が起こるかわからない、ほんとに即興なんだと身に染みる日々です。
人生の台本は日々新しく描かれていきますね。

インプロジャパンの20年分の台本は、どのページをめくっても「幸せ」で満た されています。
なぜなら、インプロジャパンの台本に登場する人物は、
優しいイエスアンドの達人ばかりだからです。
思いがけない出来事、困ったトラブル、たくさんありました。
しかし、そのたびに「それがあったからこそ」の新しいチャンスが生まれてきた のは、本当にたくさんの方々に支えられ、私たちより先に
「こんな方法がある」と手を差し伸べてくださった方々のおかげです。

20年間で、インプロジャパンの受講生はのべ3万人となりました。
ということは、3万種類、いえこの何倍ものイエスアンドに恵まれたということ であり、本当に、この感謝の気持ちはどんな言葉でも表せられません。

そして、

二十歳と言えば成人です。
これからようやく大人として、皆様にもっともっと貢献できるよう、
社会の1組織として気を引き締めてまいります。

私は、大人と子どもの違いは、
「愛されること」が求められるか、
「愛すること」が求められるか、ではないかと思います。

今まで、私たちは多くの皆様に愛されるように頑張ってきました。
しかし、これからは、より愛することができるよう、精進していきます。
「愛する」とは、つねにフォーカスが、相手にあるということであり、
愛したいように愛するのではなく、
相手の方が求めている形に気づき、それをお届けできることであり、
今まで以上に、見解を広め、社会、世界が今必要としていることに応えられる組 織にならなければと思います。

インプロジャパンの台本がこの先あと何ページあるかはわかりませんが、
全ての登場人物が笑顔であふれるよう、これからも努力してまいります。

今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

インプロジャパン代表 池上奈生美

2021年09月12日

池上奈生美コラム 〜「同じ場所にいる」 〜月刊インプロ9月号より

先日、オンラインでのアジアインプロフェスティバルに出演しました。
昨年の2月3月は、ZOOMに入ることだけでも精一杯だったのですが、
今では、背景も映像も自由に変えられ、多少の音ズレがありながらも、
ミュージカルをお届けすることができました。
相変わらずドタバタはしましたが、その様子はこちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=GNLaALXRi7g&t=49s

読者の皆様もオンラインがもう当たり前、生活の一部になっている方もいらっしゃると思います。
私たちも、ショーに限らず、インプロのレッスンや研修、授業などもオンライン が増えました。

受け持っている大学の授業も、オンライン2年目になり、
昨年は、私たちも学生も慣れておらず、
どこか、対面で実施することの代わりの意識がありましたが、
今年は、私も学生もお互いにオンラインの生活に慣れ、
日常の一コマになっています。

ただ、オンラインでの日常が増えるにしたがい、自然と人と交流する時間も減ってきます。
と同時に、最近、 コミュニケーションを学びたいという気持ちも切実なものになっていることを感じます。
昨年までは、まだ言葉通り「コミュニケーションを学びたい。」ということでし たが、
今年は、そもそも「コミュニケーションが足りない」「人と話していない」「どうやって友達をつくればいいかわからない」という、学生が増えています。

当たり前のことですが、PCやzoomの使い方など環境に慣れても、
それが、オンラインでのコミュニケーションに慣れることにはならないですよね。
また、オンラインだから無理だと思っている部分もあるかもしれません。

インプロジャパンのオンラインクラスでは、長いクラスでは3時間です。
休憩はありますが、その間もおしゃべりしているメンバーも多いです。
オンライン会議でも3時間なんて疲れますよね。
でも、インプロジャパンのメンバーにとっては3時間なんてあっという間なんです。

その違いは何かというと、もちろん好きなことをしてるのですが、
それだけではなく、「同じ場所にいる」とイメージできているかどうか、
ということも大きいと思います。
「自分は自分の部屋にいて、パートナーは別の場所にいる」のではなく、
(物理的にはもちろんそうですが)
空想の世界の中では、「全員同じ場所にいる」のです。
おそらくメンバーたちには、同じものすら見えていると思います。
ZOOMですので、見える場所には限界はありますが、
それ以外は、スタジオで一緒に居るのとあまり変わらないそうです。

先日の授業では、
「対面だと、先生との関わりが、1対40(生徒の数)ですが、
オンラインだと、目の前に先生がいて1対1のように感じて集中できた。」
という学生がいました。

たとえ触れることができなかったとしても、
心は同じ場所にいて、同じように動いている。
そばにいるんだと思うだけで、自然と自分と相手の間の壁もなくなります。

是非皆さんも、オンラインで誰かと会う時に
「同じ場所にいる。」と思ってみてください。
おそろいの背景にするのも楽しそうですね。


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2021年08月17日

池上奈生美コラム〜「人こそ人の鏡である」 〜月刊インプロ8月号より〜

インプロは、一瞬で様々に変化していくので相手のことをよく見ます。
ですので、相手のしぐさや行動を敏感に感じ取り、
1つのシーンやゲームを演じるだけで、深く理解することができます。
だからこそ、仲間から学ぶことはとても多いのです。

「人こそ人の鏡である」とうことわざがありますが、
一般的には、他人の行いを見て、自分を改めるというように、
相手の嫌な部分をみたら自分にも同じものがあるかもしれないという
どちらかというと自分を律するという意味で使われるかと思います。

ただ、逆も言えるのではないでしょうか。
「あの人、こんな行動をしていて素晴らしい」
「こんな一言素敵」
と相手に対して羨望、称賛することは、
一見、自分とかけ離れているように思われますが、
実は、そこに気づいたのであれば、
たとえ、自分は同じ行動や言動はしていなかったとしても、
心の中に同じ感情や価値観があったからこそではないかと思うのです。

インプロの振り返りで、よく「〇〇さんのこういうところすごいですよね。」
と聞きますが、ほぼ100%その発言者も同じすごさを持っています。
ですから、そのたびに、私はその発言者に向かって。
「あなたにも同じ素晴らしさがあります。」時には、
「あなたもすでにしています。」と言います。
それはお世辞ではなく、真実なんです。

そして、他人の良い部分をきちんと言葉にして伝えている人は
ご自身の成長も早いです。
きっと、言葉自体も鏡であり、言葉にすることで、
自分の中のそれに触れ、意識化されることで顕われてくるのでしょう。

自分の長所は気づきにくいことではありますが、
誰かの素敵な行動に気づけたとき、
そこに自分の長所も眠っているかもしれません。

「褒めて伸ばす」とは、
その人の中にすでにある良い部分を教えてあげることだと思います。

であれば、、
誰かの行動で感動した時、感心した時、
「お、気づいた私には同じ部分がある、では、やってみよう。」
と、自分をほめて伸ばしてあげてもいのではないでしょうか?

これって、日常の一番シンプルなイエスアンドなのかもしれませんし、
自分にも他人にも、まず良い部分が見えてくると、
きっと毎日が楽しくなると思います。

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2021年07月18日

池上奈生美コラム 〜「その場を想像する力」〜月刊インプロ7月号より〜

ソーシャルディスタンスという言葉が自然に使われるようになりましたが、
実は、このソーシャルディスタンスを守ることは、舞台俳優は得意なんです。

なぜなら、俳優たちはいつも客席を意識して演技をしています。
そのため、俳優同士で重なったり、客席に背を向けないように、
常に、俳優同士の位置や距離感を意識しているからです。

台本のないインプロの俳優は、特に上手です。

舞台上で、自分はもちろん共演者たちがいつどこに動くかわかりません。
でも、それを感じながら、お客様の目線の邪魔にならないように、
逆に目立てるように、と動いています。
また、自然に生まれる距離感やお互いの形(姿勢)の違いからもドラマが生まれてくることがあり、
それ自体がオファーでもあるからです。

インプロのトレーニングゲームの中で、
複数の参加者が無言で、制限時間内にその場で出されたお題の形を表現するとい うものがあります。
簡単なものでは、〇とか□とか、だんだん難しくなると
未来の車など、この世に存在していない、つまりパートナーと共有していない形 を表現しなくてはいけません。
しかも、制限時間はだいたい10秒です。

そのため、自分の体の形でお互いの意思を伝え、読みあいます。
パートナーの形はもちろん位置も大きなポイントになります。

このゲームをやることで、今まで目の前のことにばかり集中していた方が、
360度意識されるようになったりします。

先日の研修では、建築家の方が、
「この感覚は現場にとても必要だ。大工たちは常にお互いがどこにいるのか感じあい、
言葉以上に呼吸でお互いに動きを合わせなくてはいけない」と、おっしゃっていました。

道を歩いている時も、相手に気づかずぶつかってしまうことがあります。
それは、前ばかりを意識しているからですよね。

どんなに慣れた道でも、同じ状況では二度とはないはずです。
前ばかり見ていてはもったいない。
360度意識することで、思いがけない出会いが見つかるかもしれません。

ソーシャルディスタンスを守るということは、
お互いの状況を意識しおもいやり、理解することにもつながるかもしれません。
触れ合えないことは寂しいことですが、
距離があることで改めて理解しあえることを大切にしたいと思います。

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