2020年06月17日

池上奈生美コラム 〜「インプロは本当に必要か?」〜

今月1日に、67日ぶりに弊社のスタジオを再開いたしました。
1週間がたち、レギュラークラスすべてが開講したときには、
ホッとし、改めて感謝の思いでいっぱいになりました。
ありがたいことに、全てのレギュラークラスでキャンセルはなく、
むしろ、こんな時だからインプロをまたはじめたいと、
数年ぶりに受講してくださったメンバーも複数いらっしゃいました。

非常時になると、
「エンターテイメントは本当に必要か?」という問題を突きつけられます。
誰にとっても、生きていくためには衣食住が最優先であり、
心の安全よりも、体の安全のほうが大切です。

私たちも、「今インプロを伝える意味はなんだろうか?」と
何度も考え続けました。
「今こそみんなを元気に」「前向きに生きよう!」
「とにかく笑おう!」
言葉ではいくらでも言えます。

しかし、すべて非常時には、意味のない言葉です。

それでも、変化の連続で、新しい生活が余儀なくされている今だからこそ、
その土台となる「心」を強くすることは、絶対に不可欠。
そのためにインプロができることはあると信じて、動いていきました。

とはいえ、答えは発信者が出すものではなく、受信者(受容者)が出すものです。
いくら私たちが、それを伝えたくても、それをやりたくても、
賛同し参加してくれる人がいなければ、全くの無意味です。

「これは皆様が求めているものだろうか?」
「喜んでくれるだろうか?」と、
今まで以上に「インプロとなにか?」をみつめる時となりました。

この2ヶ月間、
私たちスタッフを支え、導いてくれたのは、
「イエスアンド」であり「それはちょうどいい」でした。
そして、その思いを元になにかを発信すると、
すぐに多くの方々がイエスアンドしてくれていました。
そのことにどれだけ私たちが勇気づけられ、励まされたか計り知れません。

「こんなことやりたい」とアイデアを出すことは簡単です。
でも、それを実現することは、それだけでは不可能です。
誰かが新しい活動したときに、
「それ私も思ってた」
「やろうと思ってたんだよね」と言ってしまうことがありますが、
そんなふうに、ただ思いつくことと、
それを実現することとは180度違うのだと、改めて思いました。

その違いは、そこに
「誰かのイエスアンドがあるかどうか」ということでしょう。

スタジオは再開いたしましたが、もちろん今までと同じようにはできず、
マスク着用、飛沫保護シートに囲まれ、
オンライン参加でのメンバーとの画面越しの共演など、
皆様にはご不便をおかけしております。
しかし、イエスアンドが身についているみなさんは、すでに
「こんなシーンができる」
「こんな関わり面白い!」
と、この状況だからできることを次々に生み出してくださっています。

体の安全、衣食住の確保は絶対に必要です。
しかし、非常時を乗り越え、新しい生活を生み出すことは、
それだけでは不可能です。
心の安全、心の力があってこそ、
新しい生活を生き抜くことができるのだと確信しています。

そして、その「心の力」を支えるためにも、
「インプロ、そしてエンターテイメントは本当に必要」なのだと思います。

誰にとっても「新しい生き方」が、幸せに満ちた日々になるよう、
インプロもエンターティメントも自由に楽しめる日々が来ることを
心より祈っております。

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2020年05月08日

おうちでつながるコミュニケーション  〜池上奈生美コラム「固定概念に気づける時」〜

この期間多くの方が、オンライン飲み会をされていると思います。
私も、毎日のようにしております。
しかも、イギリス、アメリカの友人と毎週オンラインで会っています。
そんなこと、ずっと前からできたはずです。
しかし、3月まではメールやSNSで
「今度日本来たら飲もうね」とか
「アメリカ行くときは連絡するね」
と、”いつか”の約束をするにとどまっていました。

それはなぜか、
外国の友人との飲み会は、どちらかがどちらかの国に入国しなければできない。
という”固定概念”があったからでです。
その固定概念によって、こんな簡単な方法があったことに気づこうともしません でした。

”固定概念”
誰もが大なり小なりあるものだと思います。
それはは文字通り、自分の概念が固定されてしまっているので、
それ以外の方法、考え方、選択があることすら、思いつかないのです。

しかし、このひと月
私の固定概念は次々に壊れていきました。

今まで当然のようにあった自由がなくなり、
多くのことができなくなりました。

でも、そのたびに「本当にできないのだろうか?」
それは、私の「固定概念ではないだろうか?」と自問自答していました。

そして、オンラインでのインプロワークショップを開催しました。
受講された方のほぼ100%が、最初は
「オンラインでのインプロなんて、限られたことしかできないだろう」
そう思っていらっしゃいました。
しかし、ほぼ100%の方が、受講後
「オンラインでもこんなに自由にインプロができるなんて思わなかった。」
と、口にしてくださいました。

(ご受講者の声をご覧ください。
https://www.improjapan.co.jp/workshop/online/#online_voice )

今は様々なことが制限されています。
1日も早く、もとの生活が戻ることを心より願っています。
しかし、この状況は私の中にある固定概念に気づく機会かもしれません。
「できない」「無理」と自然に思っている自分に気づき、
それは本当に「絶対できないのか?」「できる方法がないか?」を
考えることで、今まで見えていなかった道が見えてくることもある。
そのことは、自粛後にも大きな力になるはずです。

先日、学生たちのオンラインレッスンがありました。
最初は不安そうだった彼らも、仲間の顔を見てインプロをするうちに、
大きな笑い声、元気な表情になっていきました。
私たち大人にとって今回のことは、
人生の後半におとずれた大災害であり、これをどう乗り切ろうかと必死です。
しかし、若者たちにとってはこの出来事からなにを経験するかが、
これからの人生を強く生きていく礎になるのでしょう。
そのためにも、大人として不安だけではない、希望の姿勢を見せていかなければ、と思いました。

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2020年04月15日

おうちでつながるコミュニケーション  〜池上奈生美コラム「オンラインレッスンの可能性」〜

皆さん、お元気でいますでしょうか?
窮屈な毎日、どこにいても不安がつきまとう日々だと思います。
家から出られない方もいれば、逆に忙しくて大変な方もいると思います。
それぞれの場で、「いのち」を守っていらっしゃること、感謝いたします。

インプロジャパンでは先月よりZOOMを使った、
オンラインのレッスンを開催しております。
まるで目の前にいるように感じ、
リズム連想や、物語づくり、シーンづくりなど様々な創造を楽しんでおります。

もちろん直接触れ合うことはできませんし、
お互いの気配を感じることもできません。
正直、私たちも、始める時は不安でした。
しかし、やってみると皆さんからはポジティブなお声ばかりを頂いています。

「他の人の反応が常に見えているので、
実際の場で見落としているものを感じることができた」
「いつもより情報が少ないので、その分集中して相手の立場になって
理解しよう とする意識が生まれた」
「対面だと人の反応を気にしすぎるけど、
ZOOMだとその都度自分の意識に集中することもできる。
それでいて相手の顔も見え、お互いに深いところでイメージの相互作用をしている気がする」
など。

見えている部分が限られるからこそ、「相手に集中する」意識が高まり、
今まで以上に丁寧なパス回しをしている事に気づきました。
また同時に喋ることはできませんので、「今、誰が発信しようとしているのか」を感じあい、
お互いの表情を読み取る、ということも自然に身についているように思います。

そして、何より、発信以上に受信に対して重きをおくことになりますので、
参加者全員が一人ひとりの発言、発信を、受容する、理解する意識が
高まってい きます。
これは、まさにイエスアンド力が試されているようです。

先日は、スローモーション実況中継というゲームをしました。
ある動作をゆっくりやるメンバーがいて、それを見た他のメンバーが実況、
解説するのです。
見えている部分は一部ですし、普段のように360度の体の動きで伝わってくるものありません。
しかし、だからこそ、「あ〜、そう捉えたのね」「そう見えたのか」と、
それぞれの感性の違いを一瞬にしてイエスアンドし、そこから生まれる化学反応で、
どの瞬間も笑いで満ちていました。

共有できることが少ないからこそ、共有できる瞬間に喜び、
ほんの些細なハプニングも全員でフォーカスし、
いつも以上に笑いや感動が共鳴していく幸せな時間でした。

しばらくの間、みなさんもオンラインでのコミュニケーションが増えてくると思います。
是非、心の免疫力を上げるために、ZOOMでのインプロレッスンを参加してみませんか?
おうち時間がきっと特別なものになると思います。

自粛要請が終わった時、すぐにダイレクトなコミュニケーションに戻れるよう に、
空いた時間でZOOMインプロやってみましょう。

ネット環境さえあれば、海外でも繋がれます。
是非、この機会に、お待ちしております!

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2020年03月10日

池上奈生美コラム〜 「心と体で演じる世界」 〜

インプロのパフォーマンスを初めてみた方によく、
「頭の回転が速いね」とか、
「どうしてあんなに瞬時に言えるの?」と
おっしゃっていただくことがあります。
私は特に頭の回転が速い方ではありません。
むしろ、日常ではじっと止まって考え込むタイプです。

では、なぜインプロでは速く見えるかと言うと、
答えは簡単で、
「無駄に理解しようとしていない」からです。

なにしろインプロの世界は、
あっという間に、金のうさぎが登場したり、
学校が空に浮かんだりします(笑)
その都度、なぜそうなったんだろう?と、
それを理解しようとしていては、間に合いません。
「あ、金のうさぎがいるのね」
「了解、今学校は空ね」
と、あるがままに受け取る、ことが必要です。

とはいえ、これが実はとても難しいのですよね。
なぜなら、私達人間は考える生き物であり、
どんなに早口で話しても、
どんなに速い動きをしていても、
頭はそれよりも早く動き、
ともすれば、先を心配したり、過去にこだわったりするなどして、
今、目の前にある「あるがまま」を受け取るよりも、
ついつい、それ以上の情報へ意識がいってしまう。
結果、「今」を逃してしまいます。

自らの頭の中だけでことが進んでしまうことで、
本質を見失うと言ってもいいかもしれません。


もちろん、インプロだって、過去を覚えていることも、
未来を想像することも大切ですが、
それは心と体に任せるようにしています。
そして、その為に、心が不安に惑わされず、
体が様々な発信を捉えることができるよう、
目の前の必要最低限なことにのみ集中することを心掛けています。

自らを信じ、共演する仲間を信じることことも、
その助けになっているでしょう。

そして、
心が覚えている過去だけを大切にし、体が自然と動き出す未来を創り出す。
インプロは、そんな瞬間の連続です。
いちばん大切なことは、すでに心と体がわかっっている。
それを信じて、創造の世界を楽しむようにしています。

そんな私達の動画をいくつかYoutubeにアップしました。
お時間がある時に、是非、ご覧になってください!

◆『Impro Box』youtube公式チャンネル 
https://t.co/ih1uQzaA3R?amp=1

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2020年02月06日

池上奈生美コラム 〜 「常に新しい世界との出会い」 〜 

アイデアって無限なんだなぁと、つくづく思います。

私のインプロのクラスでは、1回で最低でも10話くらいのお話やシーンを作ります。
現在私は、毎週8クラス担当していますので、
ざっと1週間で80、1年だと4,160。
外部研修、ワークショプを入れると軽く6,000は超えることになります。
それだけの数の即興のお話を見ているわけですが、
当然ながら、同じお話は1つとして生まれません。

長年続けているメンバーたちは、
同じ仲間、同じタイトルでシーンを演じることが何度もありますが、
その場合でも、全く違った内容が生まれていきます。

1度生み出した内容は、ある意味安全で、失敗のない正攻法でしょう。
しかし、それでは「つまらない」ことを私達は知っているのです。
つねに、「新しい発見、新しい経験をしたい。」
ですので、インプロのパフォーマーたちは、同じ展開になることを
自然と避け、常に、新しい道をチョイスしています。

時に、観客の前であったり、緊張する場面は、
ふと、過去の良かったアイデアが浮かんでしまうことがあります。
その時こそ、目の前のことに集中する、
そして、いま自分が演じている役になりきることをします。
そこは、絶対に”初めての世界”です。

そうすることで、目の前に新しい”なにか”が見えてきて、
その目の前のなにかにイエスアンドすることで、
過去にとらわれない、世界が生まれていきます。
『常に新しい世界との出会い』…それがインプロの醍醐味なんです。

人生もそうですよね。
同じルーティンワーク、同じ仲間であっても
そこには必ず、変化が起きています。
それを見ようとせず、頭の中の「きっとこうだ」という思い込みのまま、
判断してしまうと、自分だけが取り残されたり、
せっかく前に進もうとしている現場にブレーキを掛けてしまうことにもなりかねません。

私はよく、クラスで、
「観客の目」で観るように、とコメントします。
自分の判断で、目の前で出来上がったものを見てしまうと、
どうしても、自分のアイデアという中心軸のままその世界を見てしまいます。
しかし、「観客の目」で俯瞰して、その場を観る、
アイデアに対しても、「自分のもの」「相手のもの」という考えを一切持たない。
そのようにして、その場を観ると、すべてが新鮮で、好奇心ばかりが生まれてきます。
自分たちで創った世界であっても「次、どうなるんだろう?」と、
一歩先の未知なる可能性に身を委ねることで湧き上がる想い、
それがインプロの創造性だと思います。


日常生活でも、「きっとこうなるだろうに」と、捉われることがありますが、
その瞬間に、その考えを捨てて、
今生まれようとしている可能性を見られるようにしていきたいと思います。

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2020年01月16日

「新年のご挨拶」〜池上奈生美

皆様、2020年いかがお過ごしでしょうか?

インプロジャパンでは、新年早々ありがたいことに
小学生たちとインプロをする機会が続きました。

私たちは、ワークショップの初めにインプロのシーンを演じます。
こどもたちには、観た後に、
インプロ(つまり台本や決まり事がないお芝居をつくるということ)は、
なにが大切なのか、観ていて感じたことを聞いています。
そして、
「みんなも今言ったことをチャレンジしてみてください」
と声を掛け、ワークを始めています。

ちなみに、先日は、
「力を合わせていた」
「助けていた」
「あいてのことをかんがえてた」
「いろんな役をやっていた」
などの意見が出てきました。


とはいえ、ワークがスタートすると、もちろん、
最初は、自由に遊ぶことが優先になり、
様々なゲームの楽しさに夢中で、ほとんどの子どもたちが
「自分がやりたいこと」をやろうとします。

しかし、徐々に、お話を作る、お芝居を演じるためには、
それではうまくいかない、楽しくないことに気づくのです。
そして、だんだん、自然とお友だちの意見を、
ちゃんと聞くようになっていきます。
なかなかアイデアが出ないお友だちには、
最初は、自分の意見を主張していた子が、
「なんでもいいよ」と、待ってあげたり、
ヒントを出してあげる姿も見られてきます。

また、私たちは子どもたちに対して、
イエスアンドという言葉は使いませんが、
子どもたちは、自然と、お友達がアイデアを出した後に、
「よし、引き継ぎます!」と言いながら関わったり、
「合体!」と言って、お互いのアイデアをプラスしたりと、
次第に、イエスアンドを実践してくれていました。

その日開催したワークショップは、
同じ学校ではありますが、皆、別々の学年やクラスの子達でした。

それぞれの意見の違いを受け入れて一つにしていくことは、
大人でもなかなかできないことですが、
子どもたちがほんの数時間で遊びながら自ら気づき、
一つのチームを作り上げている姿に感動しました。

最後には、
「みんなでやると、いっぱいアイデアが出てきて、つながって楽しい」
「みんなで見えないものを見て、力を合わせた!」
と、楽しそうに言ってくれました。

私たちは、子どもの頃、様々な「遊び」のなかで、
学んできたことがたくさんありました。
「こうしたら、お友だちと仲良くなれる」
「こうしたら、みんなで楽しくいられる」
「こうしたら、自分の考えをわかってもらえる」
どんな教科書や説法よりも、
「遊び」が、私たちの心に自然と教えてくれたものがたくさんありました。

ITやSNSの進化、またさまざまな環境の変化により、
子どもも大人も、一人の時間が増え、
大勢で心を通わせる、感情を感じ合う、お互いの意見を重ね合う
という機会が、圧倒的に減ってきているように思います。

でも、お互いに一歩歩み寄り、心を通わせる事で、
誰もが予測しなかった世界が広がっていくこと、
そしてそれを共有することの高揚感を
子どもたちに教えてもらいました。

2020年も、人の心を豊かにする場を創っていきたいと思います。
本年もよろしくお願いいたします。

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2019年12月11日

池上奈生美コラム 〜 「毎日が初挑戦」 〜 

今年は、平成から令和へ、と大きな新時代への幕開けがありました。
そして、迎える新年。
今までと違う不思議な感覚を覚えます。

今年は、何をするにも
「令和初!」と、新鮮な気持ちで向き合い、より挑戦することができました。

九州で村おこし、R50でボランティア公演、スペイン公演、一人芝居、、、
そして、今月も、
インプロジャパン年内最後となる2つの公演、ミニフェス、
BOXで新しいスタ イルを上演いたします。

しかし、そうはいっても
私たちの人生はすべてが「初挑戦」ではないかと思うのです。
同じ1日は二度とない。
昨日と同じように見える出来事の中でも、必ずなにかが変化している。
それと出会っているのであれば、全てが初体験です。

インプロのシーンでも、つい「あ、前と同じ展開」とか、
「このパターンね」と思ってしまうことがあります。
でも、そう思った瞬間から、新しい流れが生まれています。
そのたびに「いつもの同じ風景」の中にある「新しいもの」を
感じられる目が必要だと思わされるのです。
インプロでは素晴らしいシーンを作っているプレイヤーより、
ずっと挑戦しているプレイヤーの方が、
観ていても魅力的で自然と目がいってし まいます。

私たちは誰もが初めての人生を生きています。
初めての今日、初めての明日。

ならば、失敗を恐れることは時間の無駄。
すべての出会いに、初心者として挑戦していいのではないでしょうか?
そうすれば、ビギナーズラックのオンパレードかもしれません(笑)

令和のおかげで、いろんな挑戦ができたことを自信に変えて、
また来年も、新たな風を自分から起こせるようにしていきたいと思います。

そんな挑戦ができるのも皆様のおかげです。
今年一年お世話になりました。
新年もどうぞよいお年をお迎えくださいませ。

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2019年11月15日

池上奈生美コラム〜 「観ることで気づけるインプロ」 〜 

インプロジャパンのスタッフには条件があります。
インプロのパフォーマーとして、豊富な劇場公演の経験があることです。
それは、研修講師としてのスキル以上に、
パフォーマーとしてのスキルを大切にしているからです。

「百聞は一見にしかず」

私達はどんな研修でも、
まず私達自身が皆さんの前で実際にパフォーマンスをしています。
研修を受ける参加者の方は、ほとんどインプロを知りません。
「コミュニケーションゲーム」という程度の認識の方がほとんどです。
ですので、ただ体験するだけでは、楽しいだけで終わり、
とてももったいない時間になってしまいます。

しかし、研修のはじめにインプロのシーンを観ていただくことで
・その場で受け入れることの大切さ
・仲間を助ける積極性
・変化に対して、前向きに関わる行動力
を感じととって頂いています。

実際に我々のパフォーマンスを観て、
「何が必要だと思いましたか?」と伺うと
今まで下記のような答えがかえってきました。

・どんなアイデアでも受け入れて、前向きにつなげていた。
・瞬発力。どんなこともすぐに行動し、話に組み込んでいた。
・テンポが早いだけでなく、ちゃんとお互いの言いたいことを
確認し合っているように見えた。
・アイコンタクトして、相手が言いたいことをしっかり聞いていた。
・相手が反応しやすいように、提案していた。
・出てきたものがその時だけでなく、その後の展開に使われていた。
・言葉だけでなく、表情や身振り手振りで伝えていた。
・すべて明るく受け止めていてお互いやりやすそうだった。
・どんな場面も、助け合って、一人が仕切っているのではなく、
みんなでつくっているよう見えた。
・とにかく楽しそうだった。

これらは、日常のコミュニケーションの中でも必要なことですよね。
そして、これらはすべてインプロを体験する前に、
みなさんがお気づきになったことです。
インプロは、やることも大切ですが、
観ることで気づき、学び、身につくこともあります。

ありがたいことに、
継続してご依頼いただく担当者様の中には、
「みなさんのパフォーマンスを観るのも楽しみなんです。」
というお声をくださる方々もいらっしゃいます。


研修を受けなくてもインプロを観ることができます。
そして、インプロ観ることでも多くの気づきが得られます。

来月は、7日・8日に新宿で、
そして、17日には秋葉原で、私自身がパフォーマンスします。
是非、観にいらしてください!

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2019年10月01日

〜ご挨拶〜 池上奈生美(インプロジャパン代表取締役)

本日、インプロジャパンは18歳になりました。
この期間、どれだけの方に助けられ、
イエスアンドをしていただいたかわかりません。
本当に、感謝の思いでいっぱいです。
ありがとうございます。


先日、スペインに行ってまいりました。
バルセロナから車で3時間ほどの場所にあるオンダで開催された
「FIVO」というインプロフェスティバルに出演するためです。
インプロジャパンを起業した頃は、飛行機代も宿泊費もすべて自費で
さまざまな海外のフェスティバルに参加していましたが、
今ではすべて招待で、出演料もいただき参加できているのは
とてもありがたいことですし、
スペインでは、インプロが一流の興行として成り立っていることを
羨ましくも思います。

海外での公演はこれで、6ヶ国目になりますが、
実は、毎回あまり国の違いを感じないのです。
インプロ以外の時間に観光をしたり、食事をするときには、
その違いを感じるのですが、インプロをしていると、
「どこも同じ」と思います。
それは、どこの国のインプロヴァイザーも「イエスアンド」をしてくれているからでしょう。
インプロをしている時だけではなく、どんなときでも、
異国からきた私を、そのまま受け入れ、歓迎してくれています。
そのおかげで、私はどの国にいても、その場に合わせようと無理をしたり、
頑張りすぎること無く、自然な”そのまま”でいられ、
ステージでも私らしさを発揮できたと思います。

どの国も、その国ならではの常識、文化、価値観がありますが、
それを、自らのそれと比べたり、1つの視点で理解しょうとする前に、
まず”そのまま”イエスアンドすることで、違いが楽しくなっていきます。
そのことで、自らの常識、文化、価値観も広がっていくことでしょう。

また、海外に行くことによって日本の文化を改めて知ることができました。
私は日本にいる時、アイドルやアニメにあまり興味がありませんでした。
しかしBABYMETALやドラゴンボールがショーを盛り上げてくれたこと、
お伝えしておきます。
海外に行くと、自らの文化に偏見を持っていた事にさえ気づかされ、
受容していくことの大切さを教えてもらいます。

来年は、オリンピックも始まり、より多くの文化と出会え、
ますます「イエスアンド」が楽しめる機会ですね!

インプロジャパンも19周年に向けて、
もっともっとあたたかい「イエスアンド」を発信していきたいと思います。

今後ともご指導、ご鞭撻よろしくお願いいたします。


池上奈生美のツイッターはこちら
http://twitter.com/naomiikegami

2019年09月12日

池上奈生美コラム〜「昭和時代のインプロ創造力」 〜 

今月15日に、46歳〜67歳のミドル・シニア世代による
インプロショーを開催します。

ただいま、稽古の真っ最中です。
今回出演するこの6名は、プロの役者ではなく、
それぞれ、仕事を持っております。
SE、介護士、カウンセラー、など、仕事が終われば、スタジオに来て、
稽古着に着替え、連想ゲームなどをしながら、
頭を左脳から右脳に切り替えています。

もともと「演劇をやってみたい。」
というより
「コミュニケーションが上手になりたい」
「上司として人と動かせるようになりたい」
「積極的に自己表現できるようになりたい」
「なんか、楽しそうだから」
という目的で、
「ショーに出たい」ということではなかったメンバーがほとんどです。

始めた頃は、ショーに出るなんて全く想像していなかったことでしょう。
今でもこれらの目的はあると思いますが、
それだけではなく、インプロを実際に経験したことで、
確実に変化した自分を感じ、
「同じ世代の社会人を元気にしたい!」
「いくつになっても成長できることを伝えたい!」
という目的が強くなっているそうです。

そのことこそが、このIJ SOUL PROJECTを開催する要因となりました。


稽古をするたびに、このあつい思いに私自身心動かされています。
彼らのもつその思いは、時に自らをさらけ出し、
泥臭く一生懸命という形で表れ、
今なお成長する大人達の世界をリアルタイムで見せてくれます。

また、この世代はすごく創造力があると思うのです。
それは、昭和という時代が、様々なものを生み出してきたからではないでしょうか?
だからこそ、平成はもっと人の心に寄り添うことを問われていたように思います。

昭和は、目に見えるものを生み出した時代であり、
平成は、目に見えないものを育んできた時代、

今回のメンバーは、まさにこの2つの世代を生き、
その生きざまをインプロで表現してくれる人たちです。

インプロは、台本芝居のように、
稽古を重ねてできあがる完成形を見せるものではありません。
その瞬間に初めて誕生する作品を楽しめるとともに、
その場に生きる人間が、進化、成長していく過程を見ることもできるのです。
昭和と平成を生きた、この世代の社会人が、心を全開にし、成長しながら仲間と協力し、生み出していく世界をどうぞ、お楽しみください。

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2019年08月19日

記事タイトル池上奈生美コラム 〜「インプロで異文化コミュニケーション」 〜 

オリンピックに向けて、都内はどんどん変化していますね。
ホテルが日に日に増え、道路も整備され、
あちこちに外国語の案内が見えてきました。
街には外国人の方もたくさん増えてきました。
いろんな文化が集まっていて、ワクワクします。

インプロジャパンのレギュラークラスにも、
フランス人、トルコ人、中国人のメンバーが居ます。

でも、彼らがインプロをしている間は外国人ということをみんな完全に忘れています。
シーンが終わってから、「ししおどしって何?」のような質問をされて、
「あ、そうだ日本人じゃなかったんだ」と思いだすほどです。

とはいえ、やはり外国でその国の人とインプロをするのは、とても難しいことでしょう。
言語や知識はもちろんですが、その国ならでは習慣、ジェスチャーなど、
わからないことのほうが多いはずです。
私も海外でのワークショップを何度か受けていますが、私のように一時的に滞在しワークショップを受けるのとは違い、
3人は、日本で仕事をし、日本の文化を知りたいという目的があります。
また、日本人は高文脈文化のため、曖昧な表現が多く、はっきりと言葉にしない事が多いので、戸惑うことばかりだと思います。

しかし、彼らのインプロを見ていると、
瞬時に受け入れることで、単なる言葉の理解を超えた深い共有をしていることに気づきます。
日本の文化の正解を確認する前に、そこに飛び込んでしまい、
その瞬間、思ったことを一番ダイレクトに相手に伝わる方法で表現する。
そのことで自然と馴染んでしまう、理解を超えた共有をしているのです。
もちろん、シーンの後には確認していますが、
文化の違いを超えるどころか、違いを生み出さない交流をし、
一つのチームになっている姿に尊敬し、深い感動を味わわせてもらっています。


どんどん国際化していく日本であり、
街を歩くと、違った文化のマナーに戸惑うことがありますが、
彼らのインプロのように、その違いに対し、
「それ面白いな」
「そういう方法もあり!」
と、受け入れてしまってから、自分がするべきこと、できることを探し、
イエスアンドしながら、お互いの個性を活かし合うドラマを創っていきたいと思います。

そして、来月はスペインに行ってきます。
スペイン語も、スペインの文化もあわてて勉強している状態ですが、
スペインのインプロヴァイザーたちは、必ず異国の私をイエスアンドしてくれるので、全く心配していません。
スペインでの異文化交流を楽しんでまいります!

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2019年07月22日

池上奈生美コラム〜「自らの姿勢で伝えていく」 〜 

先日IMPROJAPAN PROJECT2019が無事終わりました。
ご観劇くださった皆様、応援してくださった皆様
ありがとうございました。
今回は、3日間で7公演開催しましたが、
その中には、キッズとR50のメンバーとの無料発表会がありました。

実はその中に2組の親子がいたのです。
2組とも、親御さん自身が、まだ独身の頃からインプロをやっており、
子どもにもやらせたいと思っていらっしゃいました。

お母さんやお父さんのそんな想いと共に通い始めた「キッズクラス」でしたが、
いつしか彼女達にとっても、インプロは親子で楽しむものになっていきました。

とはいえ、受講しているクラスはもちろん別々。
自分が楽しんでいるインプロを、お母さんやお父さんも楽しそうにやっている姿を見て、
そのうち、彼女達に自然と生まれてきたもの、それは、
「いつか一緒に舞台でインプロ共演をしたい」という想いでした。

そして、そんな親子の夢が、今回令和元年の七夕に叶いました。


発表会は、親子で一緒にステージでインプロをする時間もあれば、
キッズだけ、大人だけの時間もあるので順番に客席から観ることもありました。

お互いに観ているときのほうが緊張していたようです。
しかし、終わってからは誇らしげに家族で寄り添っていました。

子どもの発表を親が見ることはよくあると思いますが、
親が発表する場を子どもに見せることはなかなかないことです。
しかも、同じインプロですので、その難しさもお互いによくわかっています。

それを思い切り楽しそうに、観客の前で、
猿になったり、お姫様になったりと、いろいろ演じている姿を、
赤裸々にお子さんに見せるというのは、とても素敵だと思いました。

「お友だちと仲良くする」
「自分の意見をはっきり言う」
「自分の思いに素直になる」
「想像することを楽しむ」

こういうことを口で説明するより、ステージという特別な場所で、
親が挑戦している姿を見せることは、まさに百聞は一見にしかずでした。

こうなってほしい様子や挑戦を、自分から率先して行い、
その姿を見せることで導く
それは、親子だけに必要なことではありません

先生と生徒、上司と部下、先輩と後輩

自らの姿勢で伝えていくことで、より心に伝わるものがありますし、
自ら挑戦することで、その大切さも難しさも理解してあげられます。
私も指導者として、「こうなってほしい」を積極的に挑戦していきたいと思います。

最近ではキッズたちのほうがインプロに夢中になっていて、
もっとたくさんの人たちにインプロを知ってほしいと、
手書きのポスターを作ってくれたり、学校で話したりしてくれているのです。
親子で、クラスの取り合いなんてこともあるそうです(笑)

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2019年06月27日

池上奈生美コラム 〜「出会いの意味」 〜 


「インプロと出会えてよかった」

嬉しいことに、よく聞く言葉です。
この言葉を聞くたびに、とてもありがたく思います。

そして、私たち講師がありがたいと思うのは、
インプロだけではありません。
それは、この言葉を発したご自身と、その方の周りにいた仲間たちです。
インプロには「受け入れる」というルールがあります。
でも、「ルールだから受け入れる」のであれば、
そこに感謝の思いが生まれてくることはありません。

インプロジャパンの研修では、必ずトレーニングが始まる前に、
インプロのパフォーマンスを見ていただきます。
それは、ほんの2〜5分程度のものです。
劇場とは違う空間ですし、まさに1回勝負なので、
必ずしもいいお話が生まれるわけではありません。
しかし、必ず参加者のみなさんは私たちのパフォーマンスを見て、
「どんな瞬間でも受け入れあっていた。」
「相手がわかりやすいように伝えあっていた」
と、気づいてくださいます。

そして、受け入れあえば、こんなに想定外の世界も楽しくなるんだと、
思ってくださり、研修は「思いがけない変化」で溢れていきます。

誰しも「こうしたい」という思いがあります。
「思いがけない変化」によって、
そうならない瞬間には、「え?」「なんで?」と、
ブレーキが掛かったり、反発したり、コントロールしたくなります。
でも、その「え?」と思った瞬間に、
「それもありかも!」と受け入れてみると、
そこにも道があることがわかります。

インプロによる学びの多くは、外から教えられるものではなく、
受け入れられるから引き出されてくる、自分の中の輝きです。

「インプロと出会えてよかった」
この言葉が、
「私は本当はこうしたかったんだ」
と聞こえてくるときがあります。
そして、そう言えたのは、紛れもなくその方を受け入れてくださった仲間の皆さ んのおかげです。

私たちは誰もが、「受け入れたい」「受け入れられたい」
という思いがあります。
悲しいかな、諸々の事情、環境、目的のために、
それがかなわないことがありますが、
そもそも、私たちは「受け入れられる」ために生まれてきたはずです。
それを思い出させてくれる「出会い」が、インプロは生まれやすいのだと思います。

いつの時代も、世の中には悲しいニュースが絶えません。
そのたびに、「この方にも、私のような出会いがあったら」
と思い悲しくなります。
と同時に、こんな出会いをもっと生み出していけるようになりたいと思うのです。

来月は、公演があります。
私たちがお客様と出会える場です。
その場で生まれる、一瞬一瞬の奇跡の中に、
お客様の人生をほんの少しでも照らす「出会い」を創れるように、
「この瞬間に出会えてよかった」と、思っていただけるように、
出演者スタッフ一同、精一杯がんばります。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2019年05月20日

池上奈生美コラム〜「自然と生まれる幸せな物語」 〜

令和元年、皆様いかがお過ごしでしょうか?

インプロジャパンでは、ゴールデンウィークに2つの特別なクラスが
ありました。
1日の親子ワークショップと、6日のR50(45歳以上)クラスで、
6か月の赤ちゃんから、67歳までの出会いがありました。


親子クラスでは、かつて中学生だったメンバーが息子を抱いてくる姿や、
インプロジャパンで出会って結婚した二人が娘を抱いてくる姿に、
嬉しくなりました。
その場に集まった親たちは、みんなインプロ経験者です。
さすが、イエスアンドの達人ばかりで、子どもたちが何をしようと、
危険なことや誰かに迷惑をかけること以外は、
まずはだめとは言わず、子どもたちがやりたいことを受け止め、
より安全な方法、楽しめる方向に自然と導いていました。

2歳以下のまだ話せない幼児たちは、最初は親からなかなか離れなかったのですが、大人たちが真剣にインプロを演じはじめたら、途端に目を輝かせ集中してじーっと見ていました。

仲良しクマさん3匹が、きりんさんと出会い、苦手な海に潜って人魚を助けるというお話が生まれました。
動物になったパパママをじーっと見て、危険な場面になると自然と応援し、
ハッピーエンドに喜んでいました。

そして、5月6日のR50クラスでは、男性5名女性5名が集まり、
発表会では、フィーリングカップルのパロディから始まりました。
殆どが初めて出会った方々で、
最初は緊張している方もいらっしゃいましたが、
発表会ではみなさんノリノリでした。

そして、最後は、
まごころを神に捧げることで、健康を幸せが約束されている南の島に、悪者たちが襲ってきます。しかし、彼らすらもまごころで救い、さらに優しい島になっていくというお話が生まれました。


両クラスを開催し、あらためて思ったのは、
素直な気持ちで、お互いを認めあっていると、自然と幸せなあたたかい世界が
生まれる。ということです。
「子どもがいるからいいお話にしなきゃ」と思っている人もいませんし、
「他の人に迷惑かけちゃいけない」と、壊さないようにおとなしくしているわけでもありません。
みんなで楽しく、お互いに受け入れあうことで、自然と誰の心にもある信頼、
愛情、尊敬という感情が引き出されていくのでしょう。

R50のクラスの振り返りでは、自分たちが創ったお話のあまりの美しさに、
おもわず涙ぐまれている方もいらっしゃいました。


「令和には、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている」

令和を歩み始めている、そう心から思えたGWでした。

新しい時代に、人と人とが心でつながり、
新しい世界をたくさん創造していける場を、
もっともっと生み出していきたいと思います。

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami

2019年04月16日

池上奈生美コラム 〜「伝え方を学ぶ」 〜

人に何かを伝えるということは、
とても、難しいことですよね。
それも、AならB、CならDのように答えがあることを伝えるのではなく、
その場で生まれるものについて、自分の思いを伝えるのは、
本当に複雑なことです。
でも、私たちの日々のコミュニケーションの殆どは、
この答えのない思いを伝えあうことですよね。

その時、一番大切なのは、
「フォーカスが相手にある。」こと。
だと思います。

講師として、指導をしている時、つい
「こうなってほしい」を
「こうあるべき」と勘違いし、
気持ちが先走り、感情だけで伝えようとしてしまうことがあります。
でも、それでは、
「こうあるべき」という押しつけだけになってしまいます。

本当に相手に分かって欲しいのなら、その方が理解できる伝え方をしなくてはいけません。

インプロのパフォーマンスをしている時にも、
「こんな世界を創りたい」だから、
共演者に対して「こう動いて欲しい」とか「こんな台詞を言って欲しい」
等、思うことがあります。

それを、進行し続けるシーンの中で伝えることは、本当に高度な技術が必要です。
いくら自分がこう思っていても、相手に伝わらなければ無意味どころか、
逆に、そこにこだわることで、互いに視野が狭くなり、マイナスになってしまいます。
その結果、矛盾が生まれてしまうこともあるかもしれません。

「伝えたいことを相手に伝える」

難しいことではありますが、 その為に大切な3つのポイント、
それは、TPOだと思います。

Timing:相手の方が受信できるタイミング
Perfomance:相手の方に合わせた言葉や表現
Object:相手の方の目的

この3つのフォーカスを相手の方に持つことが大切なのではないでしょうか。

<Timing>
相手の方に聞く余裕、見る余裕、理解する余裕があるときを見定める。
いくら自分が伝えたい衝動があっても、相手の方に別の目的がある時では、
聞きそびれてしまったり、見あやまってしまったり、と中途半端な伝わりになってしまいます。
そのために、「これから伝えますよ」というちょっとしたアクションも有効です。

<Perfomance>
相手の方が理解しやすい言葉や、表現を見定める。
いくら自分の思いが強くても、そのままでは自分本意な意味になり、
ミスコミュニケーションが生まれます。
相手の方に寄り添い、相手の方が普段使う言葉に合わせたり、
相手の方の表情を見て、理解しているか確認しながらの表現が大切です。

<Object>
相手の方の目的を見定める。
自分がこうしたいと思うように、相手の方にもこうしたい目的があります。
それを否定するのではなく、それを受け入れるからこそ伝えられる思いがあるはずです。
できれば、お互いの思いを相互作用できたら素敵ですよね。

誰にでも伝わる伝え方の絶対正しいマニュアルはなく、
常に、目の前の方との1対1の中から生まれるコミュニケーションに、その方法があるのです。
この1対1のTPOを大切にすれば、
「こうあらねばならない。」
の押し付けではなく、
「こうなる事ができる。」
という信頼の証になり、愛情を持った導きが伝わるのでしょう。

講師として、パフォーマーとして、
思いがしっかりと伝わる表現を
目の前の方にフォーカスして学び続けたいと思います。

池上奈生美のツイッターはこちら
https://twitter.com/naomiikegami