"インプロシンキング"スタジオ報告

インプロジャパンのインプロ・ワークショップ のスタジオ報告です。

【インプロとは】「インプロヴィゼーション(即興)」の略語。「その瞬間のできごとに即興で対応しながら作り上げられていくエンタテイメント」です。詳しくはインプロガイドブック (http://impro.jp) をご覧ください。

【インプロジャパンのコミュニュケーションコース】職場や学校等、日常生活の中でインプロ・シンキングを行うことにより、コミュニ ケーションスキルの向上や発想力の強化を目指すクラスです。(人間関係力の強化に最適)人前で演じることよりもインプロゲー ムを楽しみながら様々な能力を伸ばすことを目的としています。
詳細:インプロジャパン http://www.improjapan.co.jp

【研修活動報告】「今」を見る若者たち

2025年度がスタートしました!

インプロジャパンの春は、
新入生や新入社員の皆さまと、希望に満ちた時間を共有させていただく胸高鳴る季節であり、
今年も4月半ばを迎え、すでに多くのフレッシャーズの皆さまとインプロを通じて出会いました。

ここ数年、特にこの時期に感じること。
それは、学校や企業の実施側も、ご受講される側も、以前に増して、コミュニケーションを大切に考えている方が増えたということです。
それは、「コロナ禍」により、当たり前のようにあった人との交流を制限されてしまったことが大きく影響しているのかもしれません。

そして何より、どの現場でも、若者たちの未知に向かうエネルギーを感じます。
これほど、変化が激しく、予測不能で、未来への確固たる保証がない時代にも関わらず、
斜に構えて逃げたりせずに、「今」を見ている。
その姿勢は、期待感に満ちたパワーで溢れています。

「インプロ」は、「今」を創造し続け、常に自らをアップデートしていく為、
ワークショップの中で、彼らが「今」に素直に向き合っていることを肌で感じます。

「人生は台本がない即興劇。未来には正解がなく、自分で描ける。」

インプロを始める前にこちらが語るこの言葉が、直球で彼らの元に届いているからかもしれません。 
「今」を正面から受け入れ、うまくやろうとか、正解を探さずに、目の前の「今」に飛び込む姿は、
「可能性はこういうところから生まれる」ことを改めて気づかされるほど、真っ直ぐでキラキラしています。

『台本がないインプロ』の実践は、正解のない未来を自ら描く擬似体験。
それを終えた後の彼らは、その輝きがさらに増しています。
それは、振り返りの際の言葉からも顕著で、
これから始まる新生活をどう描くか、そのワクワクが伝わってきます。

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「趣味の合う友だちとだけ話す学生生活だったので、社会人になって不安もあったけど、インプロの体験を通じて、相手を知る楽しさを知った。これからは、単に「合わない」と思うのではなく、自分を拡げるチャンスだと捉えていきたいと思うので、これから色々な人との関わりが楽しみです」

「ゼロから創る楽しさを知り、仕事が楽しみになってきた」

「受け入れることで、創造性が豊かになることを知ったので、実践していきたい」

「今を受け入れると想像が豊かになるし、笑いが絶えなくなる。人は笑顔でいると、周りにも良い影響を与えていくので、そんな社会人でありたい」

「はじめに、講師の方々が即興劇を見せてくれて、「自分たちの人生も即興」と言われた時には、なんとなくでしかなかった理解が、体験を通じて「まさしく!」と思えた。インプロでの気づきを会社だけでなく、これからの人生で実践したい」

「できないと行動する前に諦めるのではなく積極的に自分から行動したり、色んな人の意見を聞き入れることで楽しくなることが分かったので、学生生活、色んなことに挑戦したいです」

「ひとりじゃなくて、みんなで協力することで、楽しく自分の発想力も豊かにしていくことができると思ったので、これからの学校生活が楽しみです」
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インプロで次代を担う若者たちに出会うたび、未来が楽しみになります。
それは、共創を楽しむ力が素晴らしいからです。

変化が激しく、多様な価値観がある時代に育った彼らと、
大人になってからそれを知った私たち世代とは、可能性を拡げる速度が明らかに違い、早いのかもしれません。 

また、ゲーム世代でもある彼らにとって、
非現実な世界を想像し、新たな可能性を創造していくことは、
互いが受け入れ合う自由な環境さえ整えば、無限に拡げていくことができるということもあるのでしょう。


『受容と創造』が求められる現代。
「今」を想像する力こそがその助けになることを、若者たちのインプロが教えてくれます。

【受講生インタビュー90】 ~願うは「インプロ」で優しい世界~

今回のインタビューは、
2021年11月27日開講の「ベーシッククラス」を受講以来、
現在まで継続してレギュラークラスを受講してくれている『ちゃんはら』こと、
原 瑞穂さんにお話を伺いました。

『ちゃんはら』さんは、武蔵野美術大学でデザイン情報を学び、
現在は、商業施設のホームページの画像やバナー等を
デザインするお仕事をされています。

インプロを始めたのは、コロナ禍真っただ中。
実は、インプロをやることは、学生の頃からの念願だったそうです。

昨年は、インプロジャパン主催のインプロ公演ちゃんはらインタビュー1
「インプロ・ミニ・フェスティバル」にも出演し、
舞台上では、常に全力で、心と体、すべてを躍動させ、
その姿は、観ているお客様にも、共演する仲間達をも魅了します。

本日は、いつも全身からインプロへの想いが
発露している『ちゃんはら』さんにお話を伺ってみました。
大きな身ぶり手ぶりで、時に演じながら(笑)、語ってくださり、
臨場感溢れる楽しいインタビューとなりました。
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≪インプロとの出会い≫
IJ(インプロジャパン):
インプロを始めたきっかけを教えてください。

ちゃんはら(原さん):
進路を考えていた高校生の頃、
武蔵野美術大学の芸術祭に行き、
そこで「インプロショー」を観て、
「この大学に入って、このサークルに入りたい!」って思ったんです!

IJ:
では、ムサビを志望したのは、「インプロ」がきっかけとか?

ちゃんはら:
はい。
志望した一番の決め手は間違いなく「インプロ」で、
それに、受験はムサビ一択でした。

ただ、現役の時は、落ちてしまい、
親には「浪人するなら国立!」と言われて、
1浪して東京芸大を受けることにはしたのですが、
ムサビへの想いは捨てきれずに芸大受験したら、
当たり前ながら落ちてしまって、、

それでも、諦めきれず、
親に頼み込んで2浪し、芸大とムサビを受験し、
結果、芸大は落ちたのですが、念願のムサビには合格!
「神様は見ていてくれた!」と思いました。

ところが、入学してみたら、私が2浪している間に、
「インプロサークル」がなくなっていたんです!
以来、「インプロ」のことはすっかり忘れて、
大学を卒業して、社会人になり、日々を過ごしていました。

IJ:
あ・・・では、学生時代はインプロできず、、
なのに、なぜ、今、インプロを?

ちゃんはらさん:
社会人になって5年くらい経った頃、
コロナ禍に入り、人に会えない時期が続いたり、
身の回りに悲しい出来事があったりして、
「いつ終わるか分からない人生、やりたいことをやっとかないと!」
と、落ち込む気持ちを無理やりに上げて、
やりたいことを全部書き出してみたんです。
その時、
「あ、私、そういえば、大学入る前、インプロやりたいって思ってた!」と思い出して、
検索して、インプロジャパンを見つけました。

IJ:
そこで、インプロとようやく巡り合ったのですね。
10年以上思い続けたインプロ。
実際、やってみてどうでしたか?

ちゃんはらさん:
自分に合った表現方法だと思いました。

私、小さい頃から、人に説明する時、
身ぶり手ぶりがついてきちゃうので、よく
「演じながら話すよねー」と言われていたんです。

≪伝えるには言葉だけじゃ追いつかない?!≫

IJ:
あー!
確かに、ここまでも常に体が動いていますね!
セリフ口調だし(笑)
それは、分かりやすく説明するため?

ちゃんはらさん:
というより、伝えたいことがある時、
映像がバーッて浮かんできちゃって、
脳から出てきた映像は流れているので、
伝えるには言葉だけでの説明じゃ追いつかなくて、
演じていないと間に合わないんです。

IJ:
面白い表現!
さすが、絵を描く人ですね!
伝えたいことがイメージで浮かんで、
それを具現化する手段が「演じる」。
なるほど。
それは、「インプロ」と親和性がありそう。

ちゃんはらさん:
はい、そう思います。

インプロは、お題や他の人のアイデアや言葉からインスピレーションしたことが
自分の中で映像で湧き上がってきて、
「私はこういう絵が浮かんだよ!」と演じながら伝え合えることができるので。

それに、イエスアンドでその世界がどんどん立体的になって共有できるのは、
思い描いたことを受け取ってもらってる感じがして、そこに喜びを感じます。

IJ:
そこが、継続している理由の一つかしら。

ちゃんはら:
そうですね。

あと、自分以外の人のアイデアや表現を見た時に、
「この人はそういうことを考えたのね~」と知ることも面白く、
その人の世界観に、自分がどういう風に入るかなと考えるのも楽しくて、
それも続けたくなる理由です。

≪継続して気づいたインプロの魅力≫

IJ:
みんなでつくる楽しさ、インプロならではですね。
続けてきた中で発見した新たな魅力があれば、聞かせてもらえますか?

ちゃんはらさん:
「なんでもあり」なところです。

始めた当初は、ある程度、落としどころというか正解はあるものだろうと、
無意識に正解を探してしまっていたけど、
時を経て、今は、正解とか間違いって本当に無いんだって、思うようになりました。
みんなで、出来上がっていくその世界を共有しながら創っていく、
その結果が全てなんだって。

その予期せぬ感じがワクワク、ドキドキで、
演者と観客、一緒にそれを共有して、双方向で創り上げていくのが好きです。

IJ:
正解がないということは、出来上がる作品の可能性は無限ですものね。
止められなくなりますよね(笑)

ちゃんはらさん:
もう、インプロは、私にとって、ルーティンワークの一つ。
自分を発露させる場でもあり、ストレス発散にもなっています。

IJ :
継続していく中では、気づきやご自身の変化にも出会ってきたと思いますが、
新たな気づきが行動を変化させたことはありますか?

≪マインドを変えた舞台経験≫    
ちゃんはらさん:
昨年、有料公演であるミニフェスに出演させてもらったのですが、
お客様に楽しんでいただくという気持ちは、
自分自身の行動の一つひとつをポジティブにしてくれました。ちゃんはらインタビュー3

公演はお客様に観ていただくわけなので、
稽古は、自分の為のクラスとは違って、厳しいところがあったり、
始めは、どうやったらいいか心折れそうになったこともあったんですけど、
お客様のためということを自覚するようになると、
「自分達が楽しんでいないとお客様も楽しくない」と思うようになり、
稽古の時から、「お題をもらったら、楽しい話を創ろう!」という気概を持って臨んでいて、
常に前向きに、「今を楽しもう!」と取り組むようになりました。

IJ:
気づきが行動変容に繋がったのですね。
ほかに、普段の生活の中で、インプロを続けたことでの変化を感じた場面はありますか?

≪関わり方が変わると場が変わる≫

ちゃんはらさん:
ビジネスの場での度胸がついたというか、
仕事の上で、自分の関わり方は変わったと思います。

以前の自分は、会社の会議とかで、何かを思い描いていたとしても、
それは大したアイデアではないし…と、
意見を出さずにその場が過ぎるのをただ待つというところがありましたが、
インプロで、みんなでイエスアンドして物語が生まれる体験を重ねてきた今の自分は、
アイデアの質とか関係なく、まず言ってみるようになりました。

すると、例えアイデアが粗雑でも、「いいね」と言ってもらって話が膨らんだり、
それに、私がまず言うことで、(それがいいなら・・)という感じで、
あまり意見を出さない人達も発言するようになり、
会議が活発になるようになった気がします。

あと、「何かないかな?」と上司にアイデアを求められた時に、
自然と自分にできることは何か、考えるようになりました。

それもインプロの影響だと思います。
インプロをやっていて、「助けてー」と思う時に誰かが入ってきてくれたり、
他の人が「助けてー」と思って発信している時には、
「何とかせねば!」と体と心が動いています。

ビジネスの場でも、「誰か助けてー!」と思うこともありますよね。
以前は見て見ぬふりだった自分でしたが、
この人を助けたら、誰かが自分を助けてくれる。
「徳を積む」的な感じは、インプロで身に付いたもので、
今は、助け合いの状況を楽しんでいる自分がいます。

IJ:
ちゃんはらさんの行動が、会議の場を活性化させたのですね!

ちゃんはらさん:
場が活性化することはいいですよね。
働くマインドも変わったから、
会議だけでなく、仕事場自体にも影響しているかなと思います。

それまでは、仕事は生きる為で、深い関わりは避けてきたけど、
折角その場に身を置いているのであれば、
殻に閉じこもるのではなく、心を開いて、楽しい方がいいなって。

そうすると、他の人にもそう感じてもらいたいと思うようになってきて、
例えばビデオ会議でも大きく反応したり、
受け入れる空気感をまとって関わるようになっていきました。
インプロの場で、リアクションをもらったり、
受け入れてもらう喜びを知ったので、自然とそうなったのだと思います。
次第に、職場での雑談や会話が増えていきました。
私自身、会社での友達が増え、インプロ公演も観に来てくれた方々もいます。

自分にとって、どんな場においても、みんなが仲良くなる場が至上命題。
和やかな雰囲気が一番と思っていて、
仕事の場でも、みんなにとって、居心地の良い場にしたいという気持ちが芽生え、
行動が変わったんだと思います。

IJ:
素敵なマインドですね!

今後のお話を聞かせももらえますか?
ちゃんはらさんの夢は何ですか?

≪願うはインプロで優しい世界≫

ちゃんはらさん:
インプロの夢は、私がインプロをやっているところを見て、
やりたいと思ってくれる人いっぱい増えたらいいなぁと思います。
更に、私の姿を見て、「この人ができるなら、私にもできるかも!」みたいに、
観た方から、ポジティブな参加意欲が引き出せたらすごく嬉しいです。

そのために、今後も、舞台に出たり、宣伝していきたいです!

IJ:
インプロをやりたい人を増やしたいんですね!

ちゃんはらさん:
そもそも自分自身が居心地が悪いところがすごく苦手で、
優しい世界になったらいいなぁと常日頃から思っていて、
インプロはそんな世界を作ってくれる気がしています。

美大の予備校の時、
描いた絵を存在否定されるほどにけなされて、
絵が嫌いになってしまった人やその道を諦める人を目の当たりにしたことがあって、
言葉一つで好きだったものを手放させるなんて酷いし、その空間がすごく嫌でした。
好きな気持ちは尊く、その気持ちを踏みにじったりすることは、
その人を否定することになり、そんな人間にはなりたくないって、、
学生ながらに思ったことがあります。

世界全体が、自分も相手も、みんながありのままを受け入れる場所になってくれたら、
居心地よい優しい空間になると思うので、インプロやる人が増えて欲しいんです。

あと、インプロからちょっと離れた夢も言っていいですか?

IJ:
なんだろう?どうぞどうぞ!

ちゃんはらさん:
ディナーショーを開きたいです。

IJ:
え? ディナーショーって、ちゃんはらさんのですか?

ちゃんはらさん:
はい、私のです。
自分がやっていることを楽しんでもらえる喜びに味を占めちゃったかな(笑)

私、今は恵まれていますけど、
小・中学校の頃、人間関係に悩んでいた時期があって、
振り返ると、その頃、お笑いを見るとそのひと時だけ忘れられて、
それに救われていた気がするんです。

だから、どこかで、自分も、誰かに楽しんでもらえることを提供したいと思っていて、
それが、「ディナーショーをやりたい!」って気持ちに繋がっているのかもしれないです。

昔、友達に、
「お世話になった人とか好きな人たちを招待して、
いろんなパフォーマンスをして、一夜を過ごしてみたい!」って、
ふざけて話していたんですけど、
その友達が
「インプロをやってるんだし、やろうと思えばできるんじゃない?」と言ってくれて,
昔は冗談で言ってたけど、
「あれ?インプロをやり始めたことで、これって、実現に向けて動き出してる?」って、
思っちゃったりしています。

IJ:
大きな夢ですね!
可能性は無限ですから!

そこに向けても頑張ってください!
今後も、ちゃんはらさんの描くインプロを楽しみにしています!
有難うございました!

ちゃんはらインタビュー4

【研修報告】ご担当者インタビュー~(大阪府)八尾商工会議所青年部様

先月末、
大阪府にある「八尾商工会議所青年部様」
会員の皆様を対象とした
例会で、ぼかし1
「インプロ・シンキング・ワークショップ」を実施してきました。

金曜の夜(18時)にもかかわらず、
80名近くがほぼ時間通りに集まり、

2時間30分 終始盛り上がった会となり、

終わった後の懇親会では、
たくさんの方が質問に来てくださいました。   

中には、普段、自らアクションを起こすタイプでない方もいらして、
委員の方々が、その様子に驚く場面もありました。

そんな、躍動感にあふれた皆さまの表情を見ていて、

ご担当者の熱い想いがあったからこその
ワークショップだったことを
改めて感じされられました。


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それは、2023年秋、1本の電話からはじまりました。

 

お問い合わせくださったのは、今回、実施にご尽力くださった

「八尾商工会議所青年部」の田邊 毅氏です。

 

田邊さんは、以前、他のセミナーでインプロの体験をしたことがあり、

商工会議所の例会でやりたいと思い、

「インプロ」で検索され、我々のところにご連絡をくださいました。

 

その電話は、それはそれは熱い想いに包まれており、

まだ面識もなく、弊社のインプロを体験したこともない中でのその想いに、

大変光栄であるとともに、この想いにしっかりと応えられるよう、

出来る限りのすべてを努めたいと、こちらも心が動かされました。

 

そして、早速、その電話から1か月半後に実施されたのが、

大阪開催のインプロジャパン主催のワークショップでした。

目的は、例会での実施が承認されるよう、

田邊さんのお仲間の皆さまに、
「インプロ」を知ってもらう機会を設けようというものです。

 

「言葉で説明するより、やった方が分かる」 

とはいえ、それを知る為の体験に、皆さんが東京まで来るのは大変なこと。

「大阪では、ワークショップやらないですか?」

この一言が、我々を動かしてくれました。

コロナ禍以前には、時折、開催していた大阪ワークショップ。

久々に開催すると、以前参加してくれていた方々も集まり、
経験者と初めての方々が混じり合い、まさに「インプロ」らしく、
この日、この時だからこそ生まれた繋がりが誕生しました。

この日のおかげで、田邊さんや他の方々に、
「インプロジャパン」がお届けするワークショップをご理解いただき、
その後、皆さまのお力で、無事、理事会での承認を得て、
今回の実施に至ったのです。

そして、今、実施を終えたところで、田邊さんに感想を伺ってみました。

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(大阪府)八尾商工会議所青年部 
資質向上こよなく委員会 委員長 田邊 毅 氏                       


今回インプロシンキング・ワークショップを導入された理由をお聞かせください。


会員の資質向上を担う例会(勉強会)の設営を任されることになり、
資質とは何かと改めて考えた時に、
会話にこそ個人の資質が顕著に現れるのではないかと考えました。
例えば、言葉の発し方、言葉選び、気持ちのコントロールなど様々な要素がありますが、
これらを総合的に学ぶ方法はないかと探していた時に「インプロ」に出会いました。



即興演劇ということで、当初は私たち一般人には距離を感じるもので、
例会としては成立しないのではないかとも考えておりましたが、
お問い合わせ後、実際に体験してみると、
その全てが日常会話で活用できるものばかりで、
間違いなく資質の向上に繋がるだけでなく、交流も図れると判断できたので導入しました。

田邊さんが最も記憶に残っている出来事があれば、合わせてお聞かせください。


私が最も記憶に残っているのは、「エクステンド会話」と「ワンワードストーリー」のワークです。

エクステンド会話:相手の話を掘り下げながら聞くペアワーク。
ンワードストーリー:チームで、一文節ずつ語り物語を語るワーク。


まず、エクステンド会話はお互いを深く知れるというのは勿論あるのですが、
自分の過去のエピソードを語っていた時に、
相手から深く考えた事もなかった部分についてエクステンドされた事で、
その瞬間、自分はあの時何を考えていたのか、相手の感情はどうだったのかなど、
当時の情景が一気に蘇ってきて、
まるで映画を見終わったときのように、
自分の気持ちが整理できていない、
スムーズに会話が出来ない状況に陥りました。

その時は何となく時間を無駄遣いしてしまったような気持ちになったのですが、
交代して逆の立場になり、相手のエピソードを聞く中で、
その方が、自分がそうだったように、同じように過去の自分と向き合い、
呆然としている様子を見た時、
その人の事がより好きになりました・・・。少し変ですかね・・・?(笑)


そして、ワンワードストーリーについては、
昨年、インプロジャパン主催のワークショップで体験した時のことになります。

ストーリーとして、ドラマチックに終結させよう・・・と複数の方が感じられていたのか、
ただ一文節ずつ繋ぐだけでなく、インプロ経験者も多くいたこともなり、
どんな展開もイエスアンドしていて、
見事に最後の人が綺麗に物語を終結させたことが記憶に残っています。
あれは本当に感動しました。
皆さんが頭の中で同じ映画を見ていたのでしょう・・・。
日常会話でもあんなことが出来ないものかと思いました。

◆実施前と実施後で皆様に変化はありましたか?あれば、具体的な様子をお聞かせください。

LeaderReaderの役割について、臨機応変に対応し、                          ぼかし2
両方使い分けることが大切であることを学びましたが、
その後の集まりの際に、
「俺、Lやるわ!」 「そしたら僕はRやります!」と、
楽しみながら打合せをしていたのを見て嬉しくなりました!

 

また理事会では、(立案者が提示したものに対し)違う意見が出た時、
以前はその場で即反論していた会員が、
「一旦持ち帰って委員会メンバーと再検討します」
というような場面がありました。

本人に確認したわけではありませんが、
意識の中にイエスアンドがあったのかも知れません。

◆実施後に、ご受講の方々から聞いた印象的なコメントがあればお聞かせください。


印象的だったコメントとしては、
イエスアンドが大切であることを理解してもらう為に、
わざわざ時間を取って、否定だけを体験、肯定だけを体験を行いましたが、
あれが大変良かった。という参加者が複数おられました。
私自身もそれを聞いて、改めてそこに時間を費やす意味を理解しました。

その他、アンケートでは、このような声がありました。

・普段、あまり話をしない人と、深い話をすることができた(その人について新しい発見があった)。

・コミュニケーションの難しさと楽しさを知りました。

・言語的コミュニケーションも、非言語コミュニケーションも両方大切だと分かりました。

・楽しくて、時間があっという間に過ぎました。

・体を動かすだけでなく、その行動原理の意味や捉え方、捉えられ方を学べる良い機会でした。

YESばかりでも、その後の発展がないことに気付かされました。

・相手に(自分の意志を)伝える難しさに、改めて気付かされました。

◆ご受講の皆様に、「インプロシンキング」を今後どのように活かされることを期待されますか?

普段あまり話す機会が少ない人に対しては、
エクステンド会話を活用して欲しい、私自身もそうしようと思いました。
考えてみれば、飲み会の席などでは自然とそういう少し深い話になっていますので、
日常会話でも、意識して落とし込んで欲しいと思いました。

また、上司であっても、状況を見てさっとReaderを演じられるようになって頂きたいです。

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熱いの想いが人を動かす。

人と人とのぬくもりと心がこもったコミュニケーションを
存分に味合わせていただいたワークショップでした。

皆さまとまたお会いできる日を楽しみにしています。

ぼかし3



【受講生インタビュー89】 ~インプロが起こした「行動変容」~

今回のインタビューは、
2018年1月から継続受講をしてくださっている「あき」こと、笹知亜希さん。

平日は、システムエンジニアとして働くあきさんですが、
毎週日曜午前中は、
「ベーシッククラス」受講から6年半、
ずっとインプロの時間として、通ってくれています。
ここ最近は、基礎クラスのアシスタントをしてくれたり、
また、ゲームクラスも並行受講するなど、
『インプロ』に益々ハマっているそうです。

インプロの劇場公演への出演や
イラストや漫画の販売会に出展経験があるなど、
興味あることは率先して挑戦して、
自分の幅を広げている印象があるあきさんですが、
インプロを始める前は、
興味があっても、そこに「足を踏み入れる」なんて考えられなかったそうです。

インプロを通じて、どんな変化があったのか、
あきさんから見た「インプロ」について、お話を伺ってみました。

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ロプンpng1(インプロジャパン):
あきさんがインプロを知ったのは、お友だちがきっかけですよね?

あきさん:はい。
会社の同期で仲の良い友人が、インプロジャパンのクラスを継続受講していて、
よく発表会や劇場公演を観に来ていました。

ロプンpng1:やることになったのは、観ていてやってみたくなったのですか?

あきさん:いいえ。
「自分にはムリ!」って思っていました。

皆さんがポンポンと発想しながら、
劇をその場でつくっていて、すごいなぁと思っていましたが、
自分がやるなんて考えてもいなかったです。

人前で話すことが苦手で、例えカンペがあっても緊張でぶるぶる震えるし、
しかも何もないところに飛び込むなんて、自分にはできるはずがないと思っていたので、
「観る専門」と決めていました。

ロプンpng1:「観る専門」から、やってみようと思ったのはなぜですか?

あきさん:演劇自体は、子どもの頃から連れて行ってもらったりしていて、観ることは好きだったのと、
学生の頃には、「自分」とは違う人物になることへの憧れから「声優」に興味があって、
社会人で構成された「アフレコサークル」に入ったこともあったのですが、
「インプロ」は何も決まっていないので、
ハードルが高く、自分がやることは想像していませんでした。

でも、ある日、インプロをやっていたその友人から、
「インプロ仲間と朗読劇をやるから一緒にやらないか」と声を掛けてもらい、
台本もあるし、面白そうだからやってみようと挑戦することにしたんです。
その稽古での初めてのインプロが楽しくて、その時、
「インプロをやる」ことへのハードルが少し下がったように思います。

友人からは、レギュラークラスを誘ってもらっていましたが、
家庭のこともあるし、週一回通うのは難しいかなぁと思って、
その頃は、月一回、仲間内でやっているインプログループに参加したりする程度でした。
ただ、そのうち、
「やって終わり。は、もったいない。
楽しかっただけでなく、基礎を知って、できることを積み上げてみたい」
と考えるようになり、
旦那に「3か月だけお願い!」と言って相談して、
2018年1月から「ベーシッククラス」を受講してみることにしました。

ロプンpng1:それから今日に至るまで、およそ6年半。3か月はとっくに過ぎましたね(笑)。

続いている理由は何だと思いますか?

あきさん:いくつかありますが、
一つは、やるたびに自分で「これがやれるようになりたい」と課題を見つけ、
できた時にその達成感を味わえる。それを繰り返せているからです。

『(自分に)これができていたら、こんな可能性があったかも!』と思うと、
できるようになりたくなって、頑張る。。それがずっと続いています。

ロプンpng1:課題発見能力が高いですね!

あきさん:元々は、「できないことはムリ」と思ってしまうタイプで、
そこに可能性があるなんて考えてもなくて、、、
インプロやってからです、その思考は。

インプロは、否定されない場で、「しなきゃダメ」がないので、
それが「インプロ」を続けている理由に大きく影響しています。

自由に表現できて、どうするかは自分次第。
だからこそ、そこに自分の可能性を感じ、
「できるようになりたい」と思うようになりました。

それと、そこには、ずっとクラスを一緒に受講してきた仲間たちの存在も大きいです。
インプロの中で、互いに活かし合う経験が、自分自身を自由にさせてくれたし、
「まず、やってみる」という気持ちにさせてくれました。

ロプンpng1:そうでした!
 
あきさんのクラスは、ずっと同じ時間帯、ほぼ同じメンバーで構成されていますね。
中でも、あきさんを含めた4名は、「ベーシック」からずっと一緒で、
2022年には劇場公演「インプロ・ミニ・フェスティバル(※1)」デビューも一緒に果たしましたね!

あきさん:「ミニフェス」出演のお誘いをもらった時は、正直、どうしようと悩みました。
あがり症の自分にとって、以前なら「出演するなんてムリ!」とやる前から諦めていたでしょうが、
お話をもらった時には、
「出演したら、自分はどうなるんだろう?」
「積み上げてきたことを人前でやったらどうなるんだろう?」
「舞台に立つのはどんな感じだろう?」と、
興味が湧いていました。

最終的には、その先の自分が観たくなり、やることにしましたが、
実際は、 一緒にやってきたメンバーとの挑戦だったので、
仲間との繋がりと安心感が、最後の最後に力をくれました。

「公演」向けての稽古は、クラスの時と違う、お客様に見せるためのトレーニングが続き、
途中「なぜ出るって言ったんだろう・・」と思ってしまうほど大変だった時もありましたけど、
最後には「この人たちとならできる!」と強い気持ちになれて、
本番は、稽古を超えたものが出せ、アドレナリンが出まくりでした。

みんなで乗り越えた公演で、繋がりが更に強くもなりました。

公演後の爽快感はすごくて、
「人に見られるのが苦手だった自分」が「見て――!」という気持ちになり、
楽しんでもらえる喜びを得た自分になっていて、
ミニフェスという大きな出来事で、自分の苦手なことも克服できました。

この経験で、
「やらない後悔より、やる後悔」が私の座右の銘になりました。
経験しなければ、マイナスかゼロ。
でも、経験すれば、何かしらがプラスになる。
と考えるようになりました。

ロプンpng1:『ミニフェス』は、あきさんにとって、マインドチェンジの大きな機会だったのですね。

あきさん:そうですね。
なので、翌年の2023年の出演については、
迷うことなく、「出る!」という決断をしました。

逆に、今度は、今まで観ていたすごい先輩方とご一緒することになり、
緊張して、はじめはどう関わるか、距離感がつかめずにいましたが、
「このままでは舞台に立てないし、自分に納得できない」と思って、
平日の稽古も調整して参加するようにし、できることをやるだけやってみると、
徐々に、皆さんの意図や呼吸、それぞれの個性が見えるようになり、
これまでとは違うチームづくりを知ることができました。

そもそも、自分には完ぺき主義なところがあり、
「こうありたい」「できないと恥ずかしい」という意識が強くて、
やらないことを選択していたように思うので、
これは大きな変化だと思います。

ロプンpng1:「インプロ」の経験が、あきさんに影響を与えたことは他にもありますか?

あきさん:仕事面でも、自分の変化は感じます。
新卒当時から知っている上司には、舞台に出たり、主体的に動く姿を見て、
「こんなキャラだったっけ?」と言われたこともあります。

インプロやる前の自分は、
会議で「誰か、これやれる人いない?」と、
全体に対して役割を求められる場があっても、
そこで、手を挙げるなんて考えられませんでした。
直接的に相談されたら「はい」とやりますが、
全体の場では静観して、自ら「やりましょうか?」と声は出せませんでした。

そんな自分が、今では率先して関わり、提案もするようになっています。

例えば、
後輩が「あがり症で、うまく伝えられないので、説明力を上げたい」と、
悩んでいることを上司から聞くと、育成係を自ら買って出たり、
また、システムエンジニアは、クライアント先に派遣されるので、
「会社への帰属意識や社員同士の繋がりを深める為の研修をやってはどうか」と、
人事に提案し、内定者研修で、主体的に動くための研修を担当させてもらったりしました。

そういった点で、自ら提案するとか、自分の考えを伝えることも増えていますが、
その時に、話の構成というか、話し方も変わったと思います。
以前は、つらつらと話して、「結局何が言いたいの?」と、
相手に思わせてしまうこともありましたが、
今では、どうすれば伝わるかの意識をもって、話すようになり、
相手に伝わりやすくなりました。
これは、インプロを継続したからこそ身についた力だと思っています。

ロプンpng1:お手本のような行動変容!

その変化を自ら明確につかめているからこそ、
「課題」を「自分の中にある可能性」と捉えられるのでしょうね。

今では、出会った頃のあきさんが上書きされて、
「率先して自分を切り拓くことを楽しんでいる」印象の方が強いです。

あきさん:「興味あっても、やらない」より「まずやってみる」
の方が、心が楽です。

「とりあえずやる」が身につき、自信がついたのだと思います。
おかげでフットワークが軽くなって、得たものは3倍も4倍もあります!

プライベートのことでいうと、
「イラスト」を描くのは以前から好きでしたが、
どこかに発信するなんて発想、全くなかったです。
それが、「インプロ」を始めて、
同人誌販売会である「コミックマーケット」や「コミティア」に初めて行き、
そこでの交流に刺激を受けたことで、作品を創ってみたくなり、
その後、販売するまでに至りました。

ロプンpng1:コミケなどには、インプロを始める前から行かれていると思っていたので、ビックリです!

日常生活の充実にも繋がっていたんですね。
元々素敵な笑顔のあきさんですが、確かに、始めた当初より、
その笑顔や笑い声がより増えましたよね!

そして、最近、更に「インプロ」を楽しんでいるように見えますが。

あきさん:インプロのクラスを継続して受けてきたことで、
その時期によって、楽しみ方が変わり、
今は、今までで一番のインプロブームです(笑)

インプロを始めた頃、「イエスアンド」の存在を知り、
クラスのアシスタントの方達が自分のアイデアを活かしてくれる成功体験で、
身体が「イエスアンド」を理解し、色んなゲームが楽しくなっていき、
できることが増えてくると、先輩達への憧れから、
課題をクリアするやりがいや、
やってきたことが積み上がっていくことが楽しみになっていきました。

そして、ロングフォーム(長編インプロ)をやるようになると、
これまでと違うアプローチで、
はじめは混乱して、出来るのかな?と思っていましたが、
クラスが進むにつれて、
自分達が創るインプロの中で生まれる起承転結のドラマが、
主人公を成長させていくのが楽しくなってきました。
みんなで様々な経験をしながら進んでいき、
演じながら、物語を読んでいる感覚がして面白いんです。

 今は、アシスタントさせてもらったり、
基礎のクラスを受けることで、新たな視点も感じられるようになり、
「楽しみ」が尽きないです。

ロプンpng1:そんなあきさんにとって、「インプロ」とは?
そして、今後の楽しみは?

あきさん:私にとってインプロは、「人生の一部」。
なくてはならないもの。

身体が動く限りやりたい。
やめたら、自分の可能性が止まっちゃう。
まだまだこれから出てくる自分への課題が楽しみです。

あと、自分がインプロをやることで、
「インプロを知っている人」から「やる人」が増えることも
今後、楽しみにしたいです!

ロプンpng1:あきさんのようにですね!

これからもあきさんのアップデートを楽しみにしています!
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(※1)「インプロ・ミニ・フェスティバル」とは・・
インプロジャパンが主催する、インプロジャパンメンバーによる インプロの劇場公演。

【研修活動報告】~「笑い合う仲間と前へ踏み出す」~

新年度に入り、企業での新卒新入社員研修や
学校での新入生オリエンテーション講座が続いています。
15名の少人数での実施もあれば、
145名の企業研修や学校での100名を超えた講座等、大人数が一斉に集っての実施もあり、
この春だけで、就職や進学など、新しいステージでの日常がスタートした500名以上の方々と出会い、
新たな息吹とエネルギーをいただいています。

インプロを通じて、これからの人生の共演者となる同期や同級生と共に、
一歩前に踏み出し、創造する楽しさを掴む受講の皆さん。
当たり前ながら、一つとして同じ研修や講座はありませんが、ただひとつ、共通していることは、
最初は互いに「同じ空間にいる人同士」なのが、最後には「笑いあう仲間」になっていることです。
特に、この時期の新入社員や新入生の講座では、その変化が明白で、
同時にその姿からは、新しく始まる道への期待感も伝わってきます。

今年の新卒新入社員研修では、より強くそれを感じます。
というのも、大卒者の場合は、コロナ禍での大学入学。
入学当初から自宅待機が続き、始まってからもしばらくオンライン。
規制が緩和されてきた頃には就活で、大学生活で密な仲間づくりする経験が少なく、
それだけに、多様に交流を図る機会を心が欲していたのかもしれません。
どなたも、その場その空間への受容が素直で、実に能動的にコミュニケーションを取っておられ、
また、研修を通じての気づき、発見を楽しむ姿勢も見えました。

気づきといえば、以前は、
「イエスアンド」について身につけたいというコメントが多かったのですが、
今年は、
「思い込みや先入観を捨て、あるがままを受け入れ、
そこに主体的に関わる発信をしていく『イエスアンド』が、想像を超えたものができるあがるので面白い」
といったコメントする受講者が、以前より格段に増えたように思います。

これも、コロナ禍が明け、自らが動き出すことで可能性は広がると期待感の下、
このスタートラインに立っているのでしょうし、
そして、何よりも、企業や学校といった彼らがいる環境では、
大人たちがそれを全力でサポートしていることをとても感じ、
それに触れるたび、我々も、その一助になる機会を与えてもらえることが有難く、
それだけに、毎回毎回、一期一会を大切に、
目の前の受講者一人ひとりとリアルにコミットしてイエスアンドし、
唯一無二の研修、ワークショップを創造するよう努めています。

新入社員研修、新入生講座は、この後も、しばらく続きます。
どんな出会いがあるか、楽しみです。

【受講生インタビュー88】 ~先に何かあると教えてくれるインプロ~

今回のインタビューは、昨年行われた「インプロ・ミニ・フェスティバル」
に初出演した、くもちゃんこと、生雲 智帆さんです。

普段は、一般企業の相談窓口業務に携わるくもちゃんは、
これまで演劇自体やったことがなかったそうで、ミニフェスが劇場での初舞台。
しかも、同時期にご結婚もされ、
2023年はくもちゃんにとって一生忘れられない年となったそうです。

稽古期間中の昨秋は、お仕事もお忙しい時期と重なっていましたが、
折角掴んだミニフェス出演の切符。
諦めることなく、見事、最高のデビューを果たされました。

聞くと、「生活のバランス」を大切にされていて、
以前のくもちゃんであれば、これだけ色々なことが重なる状況は
避けるタイプだったそうです。

2023年を経て、新たな自分と出会ったくもちゃんに、
インプロについてお話を伺ってみました。
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IJ(インプロジャパン):
まずはインプロを始めたきっかけを教えてください。

K(くもちゃん)
あるスクールで出会った人がインプロをやっていて、
話を聞いていたら面白そうで、やってみたいと思い、
その方に聞き、インプロジャパンのワークショップを受講しました。
実際にやってみたら楽しくて、
まるで「社会人になったらできないあそび場のある世界」に感じました。 

同時に、もっと継続してやってみたいと思い、
パフォーマンスコースのベーシッククラスを申し込みました。

IJ:
それが2015年7月ですね。
演劇とかやったことなかったんですよね?
パフォーマンスすることに抵抗はなかったですか?

K:
演劇やっている人ばかりだったら、引いていたかもしれないですが、
自分のように、演劇はやったことないけどインプロが面白くて参加している
という方が多かったので、一緒に成長できる場かなと思えて、
その抵抗はなかったです。
それと、当時は、パフォーマンスするというより、
「生活の中にできたあそび場」に見えていました。

IJ:
くもちゃんは、一度、留学された時期にお休みされていましたが、
その後戻っていらして、それからはずっと続けてくださっていますね。
続いている理由は何だと思いますか?

K:
初期のころを振り返ると、パソコンに向かう仕事で、
インプロをすることで人と関わる感覚を取り戻していたように思います。

それと、私は、生活の上でのバランスを大切にするタイプで、
日常生活が人とあまり交わらず、同じリズムで固い感じだったので、
週1回のインプロというみんなとキャッキャ言いながら遊べる世界で、
心のバランスを取っていたのかもしれません。

ただ、最近は、「あそび場」だけではなくなってきていて、
たとえ生活の中でのそれぞれの比重がアンバランスであっても、
粘って続ける先に何かがあると感じていて、続けています。

IJ:
なるほど。その辺りをもう少し詳しく聞かせてもらえますか?

K:
先ほどもお話しましたが、
元々自分自身が、バランスが偏らないように、
忙しくなりそうな時は、前もって調整するところがあるのですが、
昨年は、まさにその逆を体感しました。
仕事、結婚、稽古と大きな比重のものが3つ重なりましたが、
諦めずに継続して歩み続けたら、その先にこれまでに体験したことがない
ミニフェスのステージという新しい世界に出会うことができました。

意識してそうしたわけではないですが、それまでの「インプロ」経験が、
先が決まっていない一歩を歩み進めると、
その先には新たな世界があるということを教えてくれていたからだと、
ミニフェスが終わってみて思います。

IJ:
ミニフェスの経験が気づかせてくれたのですね。
そのミニフェスの感想を聞かせてください。
初めての劇場でのインプロ公演。いかがでしたか?

K:
来てくれた人たちが楽しかった、面白かった、と言ってくれたのがとにかく嬉しかったですし、
また、一緒にやったメンバー達がこのミニフェスで初めて組む人達が多かったのですが、仲
間となれ、最高の場を一緒につくれてよかったなぁと。

正直、興奮していて、当日の記憶はあまり残っていないんですけど、
ただ、とにかく、終わった後、自分を褒めたくなりました。
仕事も忙しい中、稽古に本番、よく頑張れたなぁーと自分をねぎらいました。
こんなこと、初めてでした。
「目標に向けて、焦点合わせて、全力出し切る」
こんな経験を大人になってできたことが嬉しいです。

IJ:
そんな今の自分が、過去の自分に「未来の私はこんな風になっているよ」と、
伝えるとしたら、何と伝えます?

K:
「すんごいのがあるよ!」って(笑)。

バランスを重視して、整えて前に進むために石橋を叩いて渡る私に、
「たとえ、その先、石橋が崩れても、足場が目の前で崩れていっても、
髪ふり乱して、バランス崩してでも、今にしっかりいれば、
ベストパフォーマンスはできて、その先に新しい世界が見えて、逆に面白いよ!」

IJ:
面白い表現ですね!
それは、くもちゃんにとって、インプロをやっての大きな変化なのかもしれないですね。

K:
そうですね。
ミニフェスは稽古から本番までの経験が、自分自身の変化に気づく機会でもありました。

普段のクラスでは、週1回の筋トレのような感じで、徐々に力がついていて、
その変化に敏感になっていませんでしたが、ミニフェスは負荷が数段上がった状態で、
変化がくっきり出たように思います。

仕事上でも、例えば、対応方針などに関する自分の考えを発言することに対して、怖くなくなり、まずは伝えてみるようになりました。
以前は、自分の発言に対して、相手のネガティブな声を勝手に想像してしまっていたところがあったのですが、
今はネガティブな思考に押しつぶされることも減り、その辺りもミニフェスの影響だと思います。

IJ:
ミニフェス出演が大きな節目になったようでうれしいです。
改めて出演してくれて、有難うございました。

最後に、くもちゃんにとってのインプロについて聞かせてください。

K:
私にとって、インプロは、
以前だったら。「あそび場」と答えていたと思います。

童心に帰って、一緒につくる人たちとワイワイキャアキャア、面白いねーと言い合える空間。
そして、インプロの中で生まれる感情だけにとどまらず、
観ている方達の笑い声、リアクションだったりとか、感情がうごめく場所であることも面白い。
そんな「あそび場」。
体動かして、こね回して遊ぶ。
「今、ここ」でしかできない経験で、
「あそび」をもらうのではなく、自分で掴みに行く感じの場所。

ただ、今の自分は 一言では難しいです。
一つ言えることは、この先長く積み上げていきたいなと思うものが「インプロ」です。

楽しい時も、大変な時も、そういう日々も何かに繋がっていき、
継続していれば、先に新たな世界と出会える。

インプロを続けてその体験を豊かにすることで、   
これから先の生活や人生もいい方向に向かっていくだろうなという期待があります。

【受講生インタビュー87】 ~輪郭がはっきりする「アハ体験」のようなインプロ~

今回のインタビューは、今冬、ご受講歴8年となる
ドイこと、土居 誠さんです。

普段、会社員としてお勤めをしながら、
平日週2回、長年一緒にインプロをやってきた仲間たちとその時間を楽しんでいるドイさん。

ここまで長く続いているのは、創造空間を共有する仲間の存在が大きいと
第一声おっしゃるドイさんに、その楽しさについて伺ってみました。
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インプロジャパン(IJ):
7年にもわたってインプロを続け、数年前からインプロ公演にも
出演するようになったドイさんですが、インプロをやる前には、演劇などの体験はあったのですか?

ドイさん(D):
演じること、演劇には全く興味なかったです。
そもそも、子どもの頃から映画や演劇などのエンタメを観ることもほとんどなく、
特に、「演劇」は別世界のものと思っていました。

というのも、通っていた大学が演劇サークルが盛んなところで、
当時、構内で見かける彼らの演劇に対する思い入れの強さに若干戸惑っていたのかと思いますが、
「演劇とはかくあるべき」という自分の中の演劇観を強く持っている人が多いというか、
演劇の話になると冗談が通じなさそうな雰囲気を勝手に感じていて、
自分とは違う世界と思って、あまり近寄らなかったくらいでした。

IJ:
そうだったのですね!
そのドイさんが、演劇に触れることになったのは、どんな経緯で?

D:
社会人になってから、通っていた社会人講座で、
たまたま見つけたある有名劇団のワークショップが、コミュニケーション力向上とうたってて、
それをみて、興味が湧き、参加したのが、演劇を知るきっかけです。

それも、今考えると、それより以前に、他の劇作家の方が「ワークショップ」について書いた本を読んだことがあり、どこかで「ワークショップ」というものに興味があって参加したのかもしれないです。

それまで、毛嫌いしていた演劇だったけど、その体験で、印象が変わり、
面白いのかも?と思って、演劇を観に行くようになりました。

IJ:
具体的にどんなことを感じたのですか?

D:
それまでは、演劇は「内に秘めるものを出す」印象だったんですが、
そのワークショップで感じたことは、「外に対する集中」。
相手を意識したセリフ回しや、リアクションとしてのセリフなどに面白味を感じました。

それから、演劇を観に行ったりする中で、偶然、図書館で、
区が主催する講座の中で、インプロ講座を見つけ、即興という言葉に、
より面白さを感じて、やってみることにしました。

IJ:
それがインプロとの出会いなんですね!
その後ですね、インプロジャパンに出会うのは。

D:
はい、最初はゴールデンウィークの3日間集中クラスで、
ベーシッククラスは、その年の秋かな?

最初は、区主催の講座の発表会がその年度末にあり、
月1回の練習では足りないと思い、どこかインプロを学ぶところがないかと探して、
インプロジャパンを見つけ、クラスを受けたのがきっかけです。

IJ:
そこから、7年。
以降、レギュラークラスをずっと続けてくださっていますね。

D:
一番の理由は、仲間の存在です。
ベーシックからずっと一緒のクラスを受講している仲間もいて、
彼らとのインプロが楽しいから。

先が決まっていない、何もないところを、みんなで一緒に体験し、
その空間を多角的に見ていく中で、ある時、急に明確な道が浮かび上がり、
一斉にそれに気づき、まるで同時に「アハ体験」をするかのような感覚が、楽しいです。

IJ:
ドイさんが思う、インプロの魅力って何ですか?

D:
色んな意味で「発見」があるところかな。

自分一人ではなく、他の人との関わりや協働でつくっていくので、
意外なところからのアプローチに、思わず出てしまう自分自身がいたりして、
そんな時、自分にこんな面があったんだとか、こんなこと考えていたんだと
「発見」することもあれば、
また、さっき言った「アハ体験」みたいに、
「まさかこんなことにはならへんやろうなぁ」と思うような展開が起こって、
みんなでそのドキドキやワクワクを味わう中で、
ある瞬間、ハッと、物語の中にナニカを「発見」することもあって。

自分がそれまで思っていたことと違う見方、捉え方で、
ぼんやりしていたものが、急にビビットに見えてくる感覚が、面白い。

日常で、あまりイレギュラーなことはしない、冒険しないタイプだけど、
インプロではそんな疑似体験ができるのもいいですよね。

本を読むのも好きで、それもその先を期待しながら読むけど、
それは直線的で、流れをたどる感じで、
演劇のインプロは、自分たちの感覚を通してその世界を皆で共にいき、
つくっていくので、立体的になっていくので、そんな体験ができるのも魅力ですね。

IJ:
ビビットに見えた時のその発見を実感として味わえているのは、
演劇だからこそ、ということがあるのかもしれないですね!

7年。これまでたくさんの『発見』があったでしょうね。
継続することで、ご自身にあった変化があれば教えてください。

D:
「プレゼンス」が濃くなったというか、
今ここに存在しているという自分自身の輪郭がはっきりしたような気がします。
周りからも、以前は弱々しい印象だったけど、堂々としたと言われたこともあり、
自分の特徴というものがくっきりとしてきたのかもしれません。

IJ:
「自分自身の輪郭がはっきりする」
素敵な表現ですね!

まるで、先ほどお話されていた「アハ体験」のようですね!

ドイさんが舞台上でお仲間たちと共にするリアリティある発見からの
「アハ体験」を一緒にできることを楽しみにしています!



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