「相手の意見に乗っかりすぎると、自分の意見がない、何も考えていない人に思われる気がして、
そう思われるのが嫌で、つい批判的な姿勢を取るというのが当たり前になっていたかもしれません」


以前、『コミュニケーションコース1日集中クラス』に参加された方が、
初めて体験した「イエスアンド」というワークの後に、話してくださった言葉です。

このワークは、相手の提案をまず行動し、そこから自分のアイデアを加えていくというもの。
この日は、二人ペアで「オリジナルの庭」をつくってもらいました。
もちろん、何もない空間に互いの提案を瞬時にイメージして、つくっていくのです。

この方にもう少しお話を聞いてみると、「相手の提案」を、まずは批判的、批評的に見てしまう自分がいたとのこと。
そうなると、素直に相手の言葉が聞こえてこず、自分はどんな提案をしたらいいだろう?
と、思考までストップしてしまい、アイデアを出すのが大変だったそうです。
そんな自分を振り返り、さっきの言葉へと繋がったのでした。
そして、「自分をよく見せようとして否定してしまうところがあるので、意識をイエスアンドに変えてみます」
と話してくれました。


この日は朝~夕方までの1日かけてのワークショップ。
その後、ワークを重ねるごとに、徐々に関わりに変化が現れてきました。
終盤に、再度、「イエスアンド」のワークを行いましたが、
「途中で相手から思いもよらぬ提案があったのですが、そのおかげで話がすごく膨らみました」
終わった後、そう話す様子は前半の時とは違い、「相手の提案」を体で楽しんでいることが明らかでした。
何より、彼自身が主体的に関わり、行動に移している様子が見られるようになっていたのです。
この日の最後には、2人ペアになって、ある架空の製品のプレゼンを即興でしてもらいました。
その場で生まれる相手のアイデアを瞬時に活かし、次に繋げていくさまは、
「批判的な姿勢」は全く見られず、むしろそのアイデアの掛け算を面白がり、
その結果、自分達が想像していなかったオリジナルの製品が誕生しました。
見ていた他の受講者達も、目の前の二人の掛け合いによって生み出されていく様子を楽しんでいました。


「肯定的なリアクションがあると、お互い安心して気を遣わずに、楽しくコミュニケーションが取れますね。
そう言えば、息子達とはこうやって遊んでいます。仕事上のコミュニケーションでも、意識していきます」
終了後、クラスが始まる前とは全く違う表情で、こう語ってくれました。


自分の癖に気づき、意識を変えてみる。


小さなことのようですが、大きな改革です。
少しの変化が大きな変化に繋がります。


インプロのワークショップでは、そんな場面とたくさん遭遇します。
そのたび、そこに、人々の持つ「“今”を知り、“未来”を創る」可能性を感じます。

今年も、皆さんにとってのその場所を、インプロを通じて提供していきたいと思っています。

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次回の「コミュニケーション1日集中クラス」:3月23日(日)14:00~20:30