今回の受講生インタビューは、以前、インプロジャパン・パフォーマンスコースを
レギュラー受講してくれていた『メグミ』こと、片山萌さんです。

彼女が、インプロを始めたのは、大学1年生の時、
演劇に興味があり、オーデション等を受けていた頃、
「インプロ」というものがあることを知り、ネットで調べて、
インプロジャパンのワークショップを受けたことがきっかけでした。


それからレギュラーで通い続けてくれていたメグミさんは、
数ヶ月後、大きな決断をします。
それは、通っていた大学を辞めて、演劇を学ぶ為に、
アメリカの大学に留学するということ。
彼女は今でも、この時の決断に、「インプロ」が大きく影響を与えたと
話してくれます。


6年が経った今。
彼女は、アメリカでの数々の経験をイエスアンドし、
この夏、アメリカの名門『イエール大学』の大学院演劇科で、
音響デザインを学ぶこととなりました。
毎年3名しか選ばれない難関を見事突破し、
さらに技量を挙げる為、新たな学びをスタートさせます。


進学を前に一時帰国した際に、インプロジャパンに遊びに
来てくれたメグミさんに、お話を伺ってみました。


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インプロジャパン(IJ):
はじめに、留学した理由を教えて下さい。


メグミさん(M):
高校の頃から、アメリカで演劇を学びたいと思っていました。
ただ、英語も話せなかったし、両親に大学は出るように言われていたので、
高校の付属であった大学に進学しました。
大学に入ってみると、周りはサークル活動やバイトとか、
授業はとりあえず・・という雰囲気で、意味が感じられず、すごく違和感を感じました。
これからの4年間、そんな学生生活を送りたくない、専門的なことを学びたいと思うようになり、
1学期の途中で思い切って中退をし、英語の勉強とアルバイト生活を経て、
翌年5月からアメリカの大学で勉強することを決意しました。


アメリカは日本と違って、ほとんどの大学に演劇専攻があったので、
その頃は「アクティング(演技)」を実践的に学び、
卒業後は先生として教えられるようになりたいと思っていました。


IJ:
演劇に興味を持ち始めたのは、いつ頃ですか?
また、なぜ、そんなに演劇が好きなんですか?


M:
小学生の頃かな。
元々は、ディズニーランドのショーから始まって、ミュージカルや映画、人形劇なども大好きでした。
音楽とストーリーが合わさって展開していくものは、なんでも大好きだったような気がします。


演劇になぜ引き込まれたかというと・・・
話がそれますが、中学校の頃、友達の言葉があまり信じられなかったんです。
今考えると、思春期だったからだと思いますが。
例えば、興味がなくても、皆で話を合わせて盛り上がっているだけな感じがして、
本当には繋がっている感じがしなくて、孤独を感じていました。


そんな時、自分が楽しいと心から思えたのは、本やミュージカルなどの舞台。
作品から伝わってくる作者の嘘がない思いは、いつも、
うわべだけでなく、ストレートに自分の心の奥底にまっすぐ届いてきました。
自分の感情が素直に動き、作品と深いコネクションを感じれたことも、
興味を持ったきっかけの一つかと思います。


高校に入ると、演劇スクールに通うようになり、
そこの先生から「自分の本当の声を使うことを学びなさい」と言われたんです。
自分をよく見せようとか「うわべの自分」ではなく、「真の自分」が他者と繋がる…
「演劇」には、自分が求めている人間性を育む世界があるんじゃないかと感じるようになり、
やればやるほど魅了されていきました。


高校を卒業し、大学に入学した頃には、演技を本格的に学びたい気持ちはとても強くなっていました。


IJ:
インプロジャパンにいらしたのは、その頃ですね。

M:
はい、あるオーディションの時に、即興で表現する場面があって、
そこで「うまく見せよう」と演じている人達がいて、「??」って思ったんです。
「即興」って、もっと嘘がないんじゃないかって。
そこで、「即興」についてネットで調べたら、「インプロジャパン」を見つけて、早速クラスを受けてみました。


そしたら、すごく楽しくて、それこそ、そこでは、本当の「繋がり」を感じられました。


ちなみに、渡米直前、一番一緒に過ごしていたのは、その「インプロ」の仲間達で、
皆にもらった色紙は、アメリカでの生活で、今でもいつも心の支えになっています。


IJ:
アメリカではインプロを観たり、やったりしましたか?

M:
はい、大学の授業でもありましたし、ショーも観にも行きました。


IJ:
アメリカのインプロと日本のインプロの違いはありますか?

M:
そもそも文化の違いもありますが、アメリカのインプロは個人の魅力が目立ち、
日本はチームワークや一緒にやっているプレイヤーへの思いやりを感じます。


逆に同じだと思ったことは、イエスアンド。
お客様のレスポンスも含め、その場の空気をもイエスアンドしていけば、
必ず、その時その瞬間にその場に居合わせた人たちにしか作れない素敵なものが生まれると感じました。


IJ:
文化や育った環境が違う人達とでも作れるのは、「イエスアンド」があったからですね。

さて、留学中、日本でのインプロ経験が活かされたことはありますか?


M:
インプロをやっていたおかげで、異国の地でも、人とすぐ仲良くなれました。


あと、「何が起こっても大丈夫!」って思えてました。
インプロのクラスを受けていた時にダントツに好きだったのが、
「それはちょうどいい!」という考え方。
起こることを無駄にしないという原理をインプロで培ったと思います。
例えネガティブな出来事でも、それを踏み台にしてこれたのは、
インプロのおかげ。
それをいいきっかけにすればいいと思えるようになっていました。


IJ:
きっと、その為にも、起こった出来事に対して、
意味を持たせる努力もしてきたのでしょうね。


アクティングの勉強から始まり、脚本を学び、書く機会が生まれ、
その後、舞台監督も勉強する中で、「音響デザイン」という仕事と出会って、
大好きな「ディズニーワールド」で音響スタッフとして働き、
そして、この夏からは、あの「イエール大学」で学ぶとは、、、
6年前、まだ学生になりたてのメグミさんからは、
想像もしていませんでした(笑)
たった6年で、、、本当に、素晴らしいですね。


M:
人って、時に自分が前に決めたゴールに縛られることがあるけど、
古い事への執着をなくし、タイミングを掴むことも大切だと思います。


『迷ったらやる!』
やらないで後悔したくありませんからね。


アドバンス(展開)させることへの躊躇がなくなって、
その波乗りの仕方がうまくなったのも、インプロのおかげ。


人の生き方はそれぞれで、筋がある程度定まっているほうが、
のびのびと生きられる方もたくさんいらっしゃると思うんですが、
私の場合は、インプロ的な人生が合っているのだと思います。
大きな目標は持つけど、あんまり計画は立てないというか。
色々すぐ変わっちゃうので。


IJ:
メグミさんにとって、インプロって何ですか?

M:
私にとって、インプロは「philosophy(哲学)」。
自分に何かがあった時、迷った時、インプロの考え方を思い出します。


今、舞台の音響デザインの仕事をもらっていますが、
「相手のオファーを無駄にしない・それがあってこそ」という考え方で仕事をしています。
だって、色んな人とのコラボで、自分だけでは作れないものができるんですから。
そのおかげで、自分に仕事を依頼してくれる人達がいます。


この仕事のプロセスも、まさにインプロです。


IJ:
最後に、メグミさんのこれからの夢を教えてください。

M:
個人としては、色んな人とコラボ(イエスアンド)したいですね。


大きな夢としては、演劇を通じて、個々を活かし合う世界を創りたいです。


人って、得意不得意それぞれあるじゃないですか。
自分が苦手なことをどうにかしようと頑張るのは辛くて大変ですが、
でも、自分が得意なこと、好きなことが、他の人は不得意で苦手だったりして、
そこに需要があったりもしますよね。
それを皆が見つけて活かし合える場や手段があれば、
もっと多くの人がhappyになれると思うんです。


アメリカに行って、私は、「音響」という天職と思える仕事と出会えましたが、
「演劇」は様々な分野の総合芸術で、人それぞれの得意を活かせる世界です。


そんな「演劇」や、「演劇的な経験」を広めていくことで、人々の幸福感で満ち溢れてくれたら、、
と思っています。