現在、インプロジャパンのパフォーマンスコースには、
20代~60代まで幅広い世代の方々が通ってくださっていますが、
特にここ最近、受講者数が増えているのが50歳以上の方々です。
皆さん、年齢に関係なくお元気で、また世代を超えた交流の中から生まれる
インプロの世界を楽しんでくださっています。

今回の受講生インタビューは、その中のおひとりである「よういち」さんです。
よういちさんは、普段は都内の小学校にお勤めの教員歴30年以上のベテラン先生。
インプロをはじめて3年。
今月「インプロ・ミニ・フェスティバルvol.16」で、初舞台を踏まれます。
始めた当初は、舞台に立つことは考えてもみなかったそうですが、

なぜ、これほどまでにインプロにはまったのか、
そして、今、なぜ、インプロなのか、
よういちさんから見たインプロの魅力を伺ってみました。

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インプロジャパン(I):
インプロをはじめた理由を教えて下さい。

よういち(Y):
はじめは、インプロのゲームが書いてある書籍を読んで、教室でやってみていたのですが、
「インプロ」のゲームのやり方だけではなく、考え方を習得することで、教育の現場で、‟一人ひとりを大切にする”ことが、言葉ではなく、活動として実践できるのではないか」と思って、クラスを受講してみようと始めました。

IJ:
実際に継続受講してみて、いかがでしたか?

Y:
教員30年以上やっていますが、インプロをやり始めて、子ども達がそれまで以上に自分の周りに集まってくるようになりました。
特別支援学級を受け持っていて、クラスには自閉症やダウン症の子ども達がいるのですが、それまでは彼らの言いたいことを言葉で理解しようとしていたことに、インプロをやるようになってから気づきました。

今では、子ども達を心で理解し、感情を共有できるようになっていき、そのことで、彼らと距離が近くなってきたのだと思います。

IJ:
ステキな関係づくりですね!

クラスを受講し始めて3年ということですが、
インプロを続けてきている理由を教えてもらえますか?

Y:
まずは、違う環境で生きている人々と一つの世界を創るのが楽しいですね。

それに、インプロは、ただ即興でやるゲームに留まらず、そこでの意識がライフスタイルにも共通して使えることが多い。
ピンチをチャンスに変えるとか、何があろうとイエスアンドで関わるってみることで生まれる新しい事とか。

そして、何よりも、「インプロ」は、この歳の自分にとって、唯一「真剣に取り組めて、新しい発見や新しい自分と出会えるもの」。

IJ:
詳しく教えてもらえますか?

Y:
来年、定年を迎えますが、この歳になると、
今までできたことが、自分の中でのピークを越えて、できなくなることが多いんですよ。
かみさんとも、「前はこんなことなかったのにね~」って話してます(笑)。

それに、大抵のことは今までの経験値で対応出来たり、職場での仕事も自分の判断でやりたいようにできてしまう。
でも、インプロは、未知だらけ。
この歳にして、まだ新しいことに出会えるし、そこに可能性を感じられるのは、インプロだけ。
だから止められない!

あと、クラスを継続して受講しているのは、インプロのテクニックの指導を越えて、一人ひとりを見て指導する講師陣の姿勢も教員として、その教え方に興味があるのも一つあります。

IJ:
学校の先生にそうおっしゃっていただけるのは恐れ多いですが、、有難うございます。

さて、今回、初めてインプロの舞台に出演されますね。
その大きな決心の裏には、どんなお気持ちがあったのでしょう?
また、本番に向けての稽古はいかがですか?

Y:
初めは自分が舞台に立つなんて考えてもいませんでしたが、仲間達が出演するのが当たり前の状況の中、
「いつ死ぬんだかわからないだから、やらなかったら後悔するよ」って話になって、そうだなと思って出演を決心しました(笑)。

ミニフェス出演者顔合わせの時は、先輩方に囲まれて、熱い想いを聞き、この30人の一人になれたことに喜びを感じましたね。

そして、稽古が始まり、甘くなかったですね、大変ですよ、体がいつまで続くかな(笑)。
でも、おかげで、毎日の時間が濃くなりました。
インプロのことを考える時間が増えて、それでも、仕事は好きだから、もちろん手を抜きたくない。

エントリーする前より一層、「今・ここ」を大事にするようになっていて、
例えば、子ども達の様子にしても、今まで以上に瞬間瞬間、彼らの反応を拾うようになりましたね。

IJ:
大変な稽古!(笑)が、普段の生活にもいい影響を与えているのですね。

そのミニフェスでは、チーム対抗戦の「シアタースポーツTM」に出演されるということですが、よういちさんのチームは、50~60代のメンバーで構成されている大人のチームですね。

どんなチームですか?
本番はどんなインプロを見せてもらえるのでしょう?

Y:
我々のチームは、一人ひとりが自由で寛容。
だからこそ、信頼し合えています。

稽古を重ねてきて、今、自分が考えるインプロの魅力は、「今、この瞬間の自分を、自分で選択できる」ということ。
自分の役、感情、行動、発言、しぐさ、反応、、、、
瞬間瞬間の「自分」を選択することで出てくるのが『個性』であり、それが、互いにとって意外なものだからこそ、化学反応が起きていく。

本番では、そんな互いの個性を生かし合って、新しいものを生み出す変化をお見せできるよう頑張ります。

IJ:
今、なお、新しいこと、新しい自分を見つけようと挑戦している皆さんの姿から、我々も色々なことを教えてもらっています。

本番もとても楽しみです!
最後になりますが、今後の夢があれば教えてください。

Y:
ミニフェスが終わって落ち着いたら、講師を派遣するなど、インプロを教育現場に伝えていく方法を考えていきたいです。

「かかわる楽しさ」は、『生きる力』の原点。
インプロだったら、表現する楽しさ、みんなで創る面白さを味わえて、子ども達が「かかわる楽しさ」を知ることができるのではないかと思うんです。

また、「インプロ」を教育の現場に広まっていくことによって、‟個々の人権を尊重する”教育が、ただの活字のとどまらず、活動する、創造する実践として行われるようになっていって欲しいと願っています。