今月のインタビューは、インプロジャパン公認講師でもあり、
パフォーマーとして活躍している”カヨ”こと峰松佳代です。

普段、インプロジャパン主催のクラスで、小学生から成人まで指導し、
学校や企業での研修講師もしています。

7月に行われるインプロ公演「IMPROJAPAN PROJECT 2017」には、

毎月指導しているミュージカル団体SAC(※)のメンバー達が出演します。
http://www.improjapan.co.jp/ijp2017/#sac

今回のインタビューでは、普段、SACのメンバーと接している中で、
感じていることを聞いてみました。


※SACとは…
都内にある特別支援学校の表現活動部の卒業生達によって結成された団体。
インプロは2003年から「コミュニケーション力向上」「心の解放」
「発想力を身につける」等を目的としてスタート。
以来、14年にわたり、月1回、インプロのトレーニングを行っている。
9月には、世田谷シアタートラムにて、ミュージカル公演が控えている。
http://sac-musical.com/

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インプロジャパン(IJ):
もともと子役であり、舞台や映像で活躍していたカヨですが、
インプロジャパンに入ったきっかけは、自分が演じることではなく、
演劇を通じて、子どもたちに教えたいということでしたね?

カヨ(K):
はい。
それも、演劇に興味がある子や子役ではなく、
一般の子ども達に…です。


大学も演劇系に行ったのですが、たまたま教職をとり、
中学校に教育実習に行く機会がありました。
そこで初めて、演劇に関係ない子ども達と出会いました。
まだ「不登校問題」が存在しない時代でしたが、
「学校、つまんない」と話してくる生徒達が何人もいて、衝撃を受けました。


子どもの「つまんない」という悲しい言葉って、切ないですよね。
その時初めて、「何とかしてあげたい」・・って、考えるようになりました。


IJ:
「演劇」を活かしたいと思ったのはなぜですか?


K:
私も、もちろん、人並みに、思春期には、人間関係で悩むこともありましたが、
その辛い思いの何十倍も笑って、自分の羽根を大きく広げて、過ごしていた気がします。
それは、子どもの頃、「演劇」を経験してきたことが、大きな影響を与えてくれたんだと思うのです。
「自分」という人格形成の上で。

委縮することなく、色んなことを感じ、表現し、集団の中にいる自分を楽しんでいる・・
これは、「演劇」で自由に自分を表現させることで培ったものだなって。

その後、芝居の道に進みながらも、
「演劇で、子ども達の羽根を広げてあげたい」
その想いは、ずっとどこか忘れられずにありました。


IJ:
そんな思いで2004年からインプロジャパンでインプロを学び、
徐々に指導する側になっていき、今では子どもから大人までたくさんのクラスを受け持っていますね。


SACについては、2008年からということですが、
ダウン症や知的障害のある方々にインプロを指導するのは初めてだったと思います。
指導している時に、気をつけていることはありますか?


K:
みんながエネルギーを出しやすい場作りを意識しています。
その為に、まず講師である私自身がエネルギーを出して、みんなを巻き込むようにしています。


IJ:
メンバーたちのインプロの特徴はありますか?


K:
人に対して「こうしてほしい」がなく、全てをありのままに受け入れていることでしょうか。
それは、私自身、皆から学んだことでもあります。


できあがったストーリーに対しても、「こうしたかった」という人はおらず、
どんな世界になっても「こんな世界もありだよね。」と、面白がっているんです。
だからと言って、自分がやりたいことを我慢することもなく、今生まれている世界の中で、
やりたいことをやっています。

それに、どんな世界になってもやりたいことをやれているので、
自分ができない事にフォーカスすることがないのです。


IJ:
10年以上指導しているわけですが、皆さんのインプロは変化しましたか?


K:
以前は、いいお話を作るために私が手助けをしていました。
でも、最近は自分が関わらない方が、ずっと面白くなると思っています。
ですから、今は、皆がやっていて、迷子にならないように、
出来る限り、皆がやりたいことを優先するようにしています。


IJ:
では、インプロ以外で感じる皆さんの成長は、どんなところですか?


K:
成長というより、私から皆への発見の方が多い気がします。
それこそ、私自身、皆から学んだことですが、
皆の「ありのまま」の凄さを楽しませてもらっています。


変化という意味では、仲間と一緒に創る楽しさの実体験が増えてきて、
前は、自分がやりたいことだけを優先していたメンバーが、
みんなと一緒に作る世界の中でやりたいことを見つけたり、
仲間に対して賞賛する姿が見えるようになりました。


また、視野が広がったなと感じるメンバーもいます。
男性メンバーの中に、「電車」がとても好きなメンバーがいるのですが、
以前は、どんな場面でも車掌役で入ってきていました。
例え、そこが海底であっても、宇宙であっても・・
ただ、インプロで物語の世界が作られていく過程の中にいることで、
少しずつ、皆と一緒に創った世界に興味を持つようになり、
その世界に、いそうな役を想像していくようになりました。
今では、「車掌役」が年に1、2度しか、見れなくなり、
こないだは、私のほうがリクエストして、久々に見ることができました!(笑)


他にも、「職場が辛かったけど、インプロやってから、楽しくなったんだよ」と
休憩中に、笑顔で嬉しそうに話してくれるメンバーもいます。


IJ:
そんなメンバーたちと関わって、カヨ自身が変わったと思うことはなんですか?


K:
彼らと関わることで「可能性」という言葉の意味が変わっていきました。
それまでは、目の前の人がこれから変化していくであろう「成長」に対して
人の可能性を感じていましたが、SACのメンバーを見ていると、
そのまま、ありのままの「存在」にすでに多くの可能性があるんだと、教えられます。

彼らは特別支援学校出身者で、社会の側から見ると支援が必要な人達になります。
でも、彼ら側から社会を見ると、支援など無くても一人ひとりの魅力をそのまま活かせる道が必ずあるはずです。
私自身は、彼らに対して「障がい」を感じたことがないので、
今ある魅力をYes andした社会づくりをしていきたいと思っています。


IJ:
カヨのパフォーマンスも変化しましたか?


K:
こだわりがなくなりました。
以前は、自分の想定外のアイデアが飛び込んでくると、
心の中で「なぜ、そっち?!」と突っ込んでいましたが、
今は、本心で「そういうことね!」と受け入れられるようになりました。


IJ:
そんな皆さんのインプロ公演が7月2日にありますが、お客様に何を楽しんでもらいたいですか?


K:
今回13名出演しますが、一人ひとり魅力が違うので、是非、全てを見逃さないでほしいです。
彼らには、どんな瞬間にも、関わり方に優劣がありません。
それも、私が皆から学んだことです。

そこに生まれる空気を心の底から楽しみ、自由に表現し合っています。
「助ける」「助けられる」
「フォローする」「フォローされる」
と、思ってインプロをやっているのではなく、
『皆と居ることを楽しんでいる』
ただそれだけで、カラフルな色が混じり合った1つの物語が出来上がります。


そんな姿から出来上がる世界を、一緒に楽しんでいただきたいです。


IJ:
早くSACの公演が観たくなりました!

さて、そんなカヨも今回7月1日に出演するのですよね?
最後に、パフォーマー峰松佳代として、7月1日の宣伝もお願いします。


K:
はい。
「impro × life -women's time- 」。
 女性達だけで、ロングフォームという長編の即興ドラマをお届けします。

今回のスタイルでは、『選択』から生まれる2つの未来をご覧いただきます。
舞台上で生まれ、遭遇する出来事や関わりに対して、
我々が、瞬間瞬間、どんなふうに心を動かし、未来を紡いでいくのか、
お客様にも、リアルタイムで、心を動かしてもらえたらと思います。

そして、その未来の先には、何が待ち構えているのか。
是非、一緒に、プーク人形劇場で、その時を迎えましょう!


お待ちしております!!


IJ:
2度と観ることができないお芝居ですね。
是非、たくさんのお客様に観ていただきたいですね。