今月の受講生インタビューは、現在、パフォーマンスコースをレギュラーで受講していらっしゃる
古谷真由さんです。

現在、障害者施設にお勤めの真由さんが、インプロジャパンでインプロをスタートしたのは2008年の秋。
今年で10年を迎える彼女は、インプロジャパンの劇場公演へ出演の他、2011年春からは、
SAC(ミュージカルカンパニー)のワークショップの時に、アシスタントをしてくれています。


SACとは、都内の特別支援学校を卒業したOB・OGによって結成されたミュージカルカンパニーで、
2年に一度、劇場公演もやっている団体。http://sac-musical.com/
我々インプロジャパンは、2003年より、メンバーの皆さんのトレーニングの一つとして、
インプロ・ワークショップを毎月1度やらせてもらっています。


今回は、SACのアシスタントとして、メンバー達を側で見てきて、
どんなことをお感じになっているかを、伺ってみました。
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インプロジャパン(IJ):
SACのワークショップでは、いつもアシスタントをしてくれて、有難うございます。
手伝ってもらうようになってから、今年の春で7年ですね。
今日は、アシスタントをしていて、お感じになっていることを聞かせてもらえたらと思います。

まず、アシスタントをしていての率直な感想を聞かせてください。


真由さん(M):
始めた当初は、アシスタントいう立場で、受講者のサポートをすると思っていました。
でも、今、7年経って思うことは、私はSACの皆さんの手助けをしてきたのではない、と。

一緒にインプロをやることで、私自身が教わり、時に救ってもらっているなと思っています。
と言うのも、皆さん、自分の想いの伝え方が優しいんです。
インプロで皆さんとお話創りをしていると、どんなアイデアもとても楽しいのです。

それは
アイディアを、いつでも受け止めてくれる仲間、だから。
アイディアを、いつでも受け取りたくなる仲間、だから。
それが、SAC。


他者のアイデアを聞くのが面白いと再度気づかせてくれたのは、SACの皆さんとのインプロです。
おかげで、私のささいな悩みを吹き飛ばしてくれたり、「信頼」を体で感じることが出来たり、
インプロが更に好きになったり、、、
そう考えると、本当に、皆さんのインプロに出会えて良かったなと、思います。


IJ:
真由さんから見た、皆さんのインプロについて、もう少し詳しく聞かせてもらえますか?


M:
どんな瞬間も、純粋に楽しんでいる姿を見ていると、オフの時間(余暇時間)の大切さを感じます。


これは、今の仕事をするようになって感じていることですが、
障害があるということで、「◯◯をしよう」と行動を起こすにも、より制限が伴うことがあります。
本人が、やりたいこと、好きなことをするにしても、
情報を集め、段取りや準備を介助者と整えて取り組む必要が多いと感じています。
また障害故に、初めての活動はより緊張する、より不安という制限がかかることもあります。

なので、オフの時間についても、今まで馴染みのある決まった活動
(例えば介助者も慣れている図書館に行く、家から近い駅ビルでお茶をする)を過ごす方々もいらっしゃり、
本人にとって、変わらない活動をすることが楽しい…という方もいらっしゃいます。


でも、オフの時間を、やったことがない初めて挑戦する、
自分で自由に選んで感情を発散できる時間(ストレス発散)にするのもいいのでは、と思うんです。
自分が好きなこと、やりたいことを存分に楽しめるように、経験していく時間にすることも大事だと
私は思っています。


インプロは、お話を創り表現できる活動…しかも、いつも決まったお話や、
人を演じるわけではないですよね。即興ですから!
SACの皆さんは、その好きなインプロの中で、やりたい役を演じ、創りたい物語を創るという、
その場その瞬間の自分の感情で選択し、想いを叶えている場があるんですよね。

自分のやりたいことを純粋に楽しめるこの時間が、皆さんの明るく楽しそうな、イキイキとした表情に
繋がっているのではと思います。


IJ:
真由さんから見て、皆さんが、その経験を通して、変化していることはあると思いますか?

M:
出会った時と明らかに変化してきています。


さっきもお話しましたが、障害があるということで、それまではより良い生活のためにと、
学校や家庭で、少なからず制限や決められたレールがある中で過ごしてきたメンバーも
いたのではと思います。
だからこそ、決められていないことを楽しむ「インプロ」の場の存在は大きいと思います。

ただ、最初は、「何でもいいって、なんだろう?」と、躊躇する様子やこわばっている姿も見られました。

でも、今は、「自分で選択する」「やりたいことを伝える」といった楽しかった経験を何度もすることで、
枠から解放され、「自由」になったと思います。
そして、リラックスし、個々の魅力を存分に発揮しているように見えます。


皆さんのステキなところは、そのお互いの「自由なアイディア」をどんな時も、楽しみあえていることです。
それは、それぞれが枠に捉われずに、お互いの「個性」を見て、想いを尊重しているからだと思います。


その姿から、私自身の障害がある方々への見方も変わりました。


IJ:
具体的に教えてもらえますか?


M:
極端に言うと、障害があるという枠でくくって決めつけたり、思いこんだりせず、
「個人」を見るようになりました。


皆さんのインプロを見たり、一緒にやっていると、その場で感じていることを素直に表現しています。
そして創ったお話の人間模様は、リアルで、共感できることが多いのです。
だから、一緒になって心を動かし、楽しめる。
そこでは、障害があるから出来ないという枠を感じることはありません。
皆さんを見ていると、素直に「楽しい」から関わる、もっと「面白く」したいから共に創る、
という瞬間をたくさん見ます。
それがお互いの助け合い、協力に繋がっているんです。


そんな姿を見ていて、出来ることだけをやるというのではなく、
方法によって、誰でもが自由に可能性を広げ、変化していけると思うようにもなりました。


IJ:
「枠がない」とは、「同じ舞台にいる」とも言えるかもしれませんね。
それも、SACの皆さんとインプロで数々の物語を創ってきた経験が教えてくれたのでしょうね。


最後に、真由さんにとって、インプロの好きなところを聞かせてもらえますか?


M:
インプロの「あなたのアイデアを受け入れます」「あなたを助けます」という精神が大好きで大切にしています。


相手を分かろうとする為に確認をする。
相手に分かってもらおうと伝える。
インプロの中で自然とやっていることが、安心感を生んでくれていて、
その空間や感覚が私は大好きです。


自分を振り返ると、
インプロをやってきたおかげで、相手の想いに気がつけるようになったり、
相手を受け入れた上で、自分の想いを伝えるように伝え方も変わってきました。
そうすると、自分が伝えたいことだけでなく、相手への意識も生まれるので、
視野が広がってくるんですよね。
仕事でも、関わる人達の求めることを客観的に受け止められるようになったと思います。

考え方を否定されたら、それは「変」となりますが、
受け止めてくれると、それは「変」ではなく、
その人の「オリジナリティ」になり、
それが、「自分」というものの意味づけに繋がるんじゃないかと。


インプロジャパンの仲間やSACの皆さんと一緒にインプロをする中で、実感しています。


IJ:
個人を見て、お互いの想いを受け入れ合う関わりこそ、
オリジナリティ溢れる自由で、創造的な環境が生まれるのでしょうね。


これからも一緒に、インプロを通じて、そんな場をたくさん創っていきましょう!

有難うございました。