538 :1/3:2014/03/20(木) 02:20:14.22 ID:lVf4Za0Z0.net
うちの地方じゃインコババアっていう妖怪がいる。インコババアは 
婆さまの見た目をしているんだが、インコのような頭をしていて、 
誰かの言ったことをそのまま繰り返すっていう、笑えるんだか怖いんだか 
よくわからないキャラ設定なんだよ。 
おそらく、いろんな人の目撃談が混じってそんな想像上のババアを 
作り上げたんだろうけど、爺さま婆さまはインコババアをたたりのように 
恐れていて、何かよくないことがあったら、「インコ様の祟(たた)りじゃ」ってんで 
お払いに行くわけ。まぁ、よくないことが起こったら誰かのせいにして 
厄落とししたい気持ちもわかるけど、インコババアはないわなwお笑いだよww 
田舎の因習(いんしゅう)ってやだやだって思うだろ?実際俺も思ってた。 
出たんだよ、インコババアが。 
田舎っつっても若い衆が5、6人いるんだが、あるとき寄り合いというか、 
村の集会があったんで、そのあと5、6人で集まって、神付岩っていうでっかい 
岩の前でだべってたんだ。神月岩の周辺っていうのが鬱蒼(うっそう)とした森で、 
ちっちゃな社以外はなーんにもないんだけど、まぁ少し雰囲気のあるところで。 
朽ちた像とか、左手の欠けたお地蔵さんとか、しめ縄とか、曰くのありそうな 
ところなんだよね。 
俺たちはこえーとかギャーギャー騒ぎながら、そこらで楽しんでたんだ。


539 :2/3:2014/03/20(木) 02:20:46.20 ID:lVf4Za0Z0.net
「おほっ、ユーレイとか出そうじゃね?」 
誰かが言ったんだけど 
「おほっ、ユーレイとか出そうじゃね?」 
そっくりそのまま繰り返すやつがいるんだよね。酒も入ってたし、誰かの冗談かと思って 
「おい、ふざけんなよ?」 
って俺が言ったんだけど 
「おい、ふざけんな!」 
微妙に違うトーンで返してきやがる。正直俺は、おしっこちびりそうだった。 
てか、半分ちびってた。インコババアが出ると何か祟りが起こるって話だったし、 
ビビって膝ガクガクだった。 
俺の仲間で、タイチっていう一番度胸が座ったやつが、暗闇の方に向かって叫んだ。 
「てめーふざけんな!!出てこい!」 
タイチの度胸をこのときばかりは呪ったね。ユラユラと明りの方に向かって 
何かが動いてくるんだ。街灯の薄明かりにぼんやりと人影が映ってきて。 
「てめーふざけんなよ!」 
脳裏(のうり)に響(ひび)くようなモヤモヤした声で、そいつは言ったんだ。 
ボイスチェンジャーっての?ああいう声。 
怒ってる!何か知らないけどこいつは俺らに悪意を持ってる!

540 :3/3:2014/03/20(木) 02:21:27.84 ID:lVf4Za0Z0.net
考えるよりも早く誰かが走り出した。俺もそいつに続いた。足が自分の物じゃない 
みたいだ。フワフワと地面を飛ぶ感じ。俺らが”オダイジンさま”って呼んでる 
そこに辿り着いたときには、足がガックガクで手に力が入らなかった。 
タイチも、当然そこにいると思った。 
ところが、あとから辿りついたやつらを見ても、タイチだけ見当たらないんだよ。 
「タイチは?タイチは戻ってこなかったん?」 
俺は全員に聞いたが、みんな青白い顔して首を横に振る。タイチと一番仲の良かった 
ユウジに聞いてみたが、彼もタイチの行方を知らなかった。 
「タイチは…タイチはアイツの方に向かっていった。俺、やめろって叫んだんだけど 
 ババアにやめろって言われて。怖くなって…」 
ユウジは泣きながら叫んだ。 
「ババア、インコの顔のくせに笑ってやがった。くちばしのはし歪めて」 
俺は、ユウジの肩に手をのせて慰(なぐさ)めた。 
「ユウジ、きっと大丈夫だよ。誰か人を呼んでこよう」 

「ユウジ、きっと大丈夫だよ?」

元スレ:ほんのりと怖い話